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産業銀、リーマン買収交渉を中断

リーマン株1日で45%下落、10年ぶりの安値

 産業銀行は10日、米国系投資銀行リーマン・ブラザーズ株の買収交渉を中断したことを発表した。産業銀はこの日配布した報道資料を通じ、「現時点では取り引きの条件に意見の違いがあり、国内の状況と金融市場の状況を考慮した上で交渉を中断した」と明らかにした。

 しかし産業銀が「現時点」としたのは、今後機会があればリーマン株の買収に再び乗り出す可能性もあると解釈されている。

 産業銀がリーマン株買収交渉を中断したのは、韓国政府が反対の意向を示していることが強く作用したという。

 政府は今後新たな負債が明らかになる可能性に備えて確かな保証条件を要求したが、リーマン側はこれに応えるだけの回答を寄せてこなかったという。金融委員会の関係者は「今年8月初めに1回目の交渉を行った際、双方が買収の価格と条件では合意に至ったが、実際は価格が非常に割高だったにもかかわらずこれといった保証条件もなかったため、政府は買収の承認を拒否した」と明らかにした。

 また、産業銀がリーマンを買収した場合には産業銀の民営化に問題が生じる可能性があり、さらに買収後に新たな負債が明らかになって国庫の損失が発生すれば、政府関係者が責任を取るべき状況も起こり得るという点なども、政府が反対の立場をとった理由として挙げられている。

 当初は大統領府(青瓦台)の一部や企画財政部がリーマン買収に反対し、交渉初期に間接的に後押ししていた全光宇(チョン・グァンウ)金融委員長も最近になって立場を変え、買収の放棄を主張している。

 政府はま、たリーマン買収に数十億ドル(10億ドル=約1080億円)を支出した場合、外国為替市場に悪影響を及ぼす可能性があるとの点も考慮に入れた。

 一方、米国現地時間で9日のニューヨーク株式市場は韓国からのニュースで大きく動揺した。産業銀によるリーマン買収交渉について、8日には「全光宇金融委員長がリーマン株買収には慎重」との立場であることが伝えられ、さらに同じく現地時間の9日に「交渉決裂」というニュースが入ったことから、米国金融市場の不安が拡大したのがその原因だ。この日リーマンの株価は45%も下げ、10年ぶりの安値となる7.79ドル(約850円)にまで落ち込んだ。この日の下げ幅はリーマン・ブラザーズ150年の歴史上、最も大きな下げ幅となった。この「リーマン・ショック」によりニューヨーク市場のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500指数は3%以上の大幅な下げを記録した。

全洙竜(チョン・スヨン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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