2008/09/11 17:45
昭和22年(1947年)2月11日付け「繊維を採取する目的による大麻の栽培に関する件」という覚書の後半部分です。
この覚書(メモランダム)を国内規定として整備し、同年4月23日に「大麻取締規則」が制定され、後にこれを基本に「大麻取締法」が整備されることになります。つまり、大麻取締法の先祖のひとつといえるものなのです。
四、右の規則を施行し、要求された記録の整備及び提出のために、厚生省麻薬課及び各県の麻薬関係官を置くに要する予算と人員に関する条項を定めること。
五、参照覚書に掲げた大麻の定義を左のように訂正する。
大麻の語は、その生育したるものと否とを問わず、Cannabis Sativa L.の草の一切の部分、その種子、大麻草のいかなる部分より抽出したるとを問わず、その樹脂、及び大麻草、その種子又は樹脂を以って配合、製造、塩化、分出、混合又は調合した一切のものと解するが、大麻草の成熟した茎、その茎より採取した繊維、大麻の種子で製した油又は油糟、その他成熟した茎(但しそれより抽出した樹脂を除く)を混合、製造、塩化、分出、混合又は調整したもの、繊維、油、油糟、発芽不能の種子は含まない。
六、この法令の規定に違反した者に対する罰則を規定すること。
七、日本帝国政府は、当司令部公共衛生福祉部補給課、麻薬統制官に対し、第一回報告の月以後毎月末迄に、次のような大麻統制に関する概要月報を提出すること。
イ 各県別、登録数。
ロ 各県別、大麻栽培ヘクタール数、栽培地の数を示す。
ハ 各県別、採取した成熟茎の数
ニ 各県別、抽出した大麻繊維の総量
ホ 各県別、大麻草及び種子の取引数及び額
七、大麻に関する違反事件は、当司令部覚書、一九四六年五月二十三日付、AG四四一、一PH、「日本における有効な麻薬統制制度の確立に関する件」に示した条項に従い報告すること。
八、本覚書公表後十日以内に、交付すべき大麻統制規則の英訳文を、当司令部、公共衛生福祉部補給課、麻薬統制係に提出すること。
上記の条項中、大麻の定義の部分を読んで気づくのは、これがアメリカの物質規正法がいう大麻の定義とよく似ていることです。私が知っているのは、USC タイトル21セクション802に掲げられている現行の物質規正法の条項であり、1947年当時と同じかどうかは調べていません。とりあえず、現行のものを下に掲げます。日本語文は私が個人的に翻訳したものです。
GHQのメモランダムですから当然といえば当然なのですが、私にとっては、新しい発見です。
Title 21 United States Code (USC)
Controlled Substances Act Section 802. Definitions
(16) The term "marihuana" means all parts of the plant Cannabis sativa L., whether growing or not; the seeds thereof; the resin extracted from any part of such plant; and every compound, manufacture, salt, derivative, mixture, or preparation of such plant,
its seeds or resin. Such term does not include the mature stalks of such plant, fiber produced from such stalks, oil or cake made from the seeds of such plant, any other compound, manufacture, salt, derivative, mixture, or preparation of such mature stalks (except the resin extracted therefrom), fiber, oil, or cake, or the sterilized seed of such plant which is incapable of germination.
USC タイトル21
物質規正法 セクション802 定義
(16)マリファナとは、生育しているか否かを問わずカンナビス・サティヴァ・エル植物のあらゆる部分:その種子、いかなる部分であれその植物から抽出された樹脂、その植物のあらゆる化合物、製品、塩、派生物、混合物、調製品、その種子または樹脂をいう。この用語には、その植物の成熟した茎、その茎から製造された繊維、その植物の種子から製造された油脂及び油脂糟、その成熟した茎の化合物、製品、塩、派生物、混合物、調製品(それから抽出された樹脂を除く。)、繊維、油脂、油脂糟又は発芽しないよう処理されたその植物の種子は含まれない。
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