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【コラム】サムスンの危機、突破口はあるのか(下)

 これら外憂だけではない。サムスンは業績悪化や新製品開発の不振などで内部的にも苦戦している。半導体や液晶などの主力製品が同時に不振に陥っており、「エニーコール神話」を打ち立てた携帯電話も、中国やインドなどの新興市場でノキアなどのライバルに押され気味だ。今年5月半ばごろに76万ウォン(約7万1600円)だったサムスン電子の株価は現在、50万ウォン(約4万7000円)台中ごろにまで落ち込み、わずか4カ月で20万ウォン(約1万9000円)ほど値を下げている。

 英国の市場調査専門機関ミルワード・ブラウン・オプティマーが最近サムスンのブランド価値を昨年の127億ドル(約1兆3300億円)=44位=から、14ランクダウンの118億ドル(約1兆2400億円)=58位=とするなど、サムスンの価値を下方修正している。またサムスン首脳部は米国のメモリーカードメーカーであるサンディスクの買収を検討するなど、危機から抜け出すためにさまざまな手を尽くしているが、これといった突破口を見いだせていないのが実状だ。

 サムスンのある関係者は「李健熙(イ・ゴンヒ)会長の突然の辞任でリーダーシップに空白が生じている上に、新しい成長エンジンの発掘もうまく行かず、これまでにない危機的状況にある。今の状況を打開できるだけの強い求心力やチャレンジ精神が失われているのが問題だ」と指摘した。

 主力企業の社長らで構成された社長団協議会がグループのコントロールタワーとなっているが、全体をまとめるパワーや推進力が大きく欠けている、と内部からも指摘されている。財界の一部では「数十年以上も殿様経営システムに慣れ切って禁断症状を起こしている」との指摘もある。

 サムスンの不振は韓国の産業界全体の活力喪失につながることから、決して軽く取り扱うべき問題ではない。今年で創業70周年を迎えたサムスンの社員が現状に安住して早老化に陥ることなく、第2、第3の創業を行うという覚悟で今一度復活することを期待したい。

産業部=宋義達(ソン・ウィダル)次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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