きど・あつむ 大阪府出身。毎日新聞の大阪、東京両本社編集局長や主筆を経て00〜03年に大阪本社代表。04年10月から府教育委員。
いむら・まさよ 元中学教諭。北京五輪ではシンクロナイズドスイミングの中国代表のヘッドコーチを務めた。96年10月から府教育委員。
私には「人は信じるに値する」という信念がある。しかし、知事は頭から人を疑ってくる。国際児童文学館で職員の仕事ぶりをビデオで隠し撮りしたのもそうだ。人は信用されたら頑張る。疑われたら嫌になる。
北京五輪の中国代表の振り付けでは、中国雑技やクラシックバレエの人も含め多くの人に意見を求めた。全部聞き入れるわけじゃない。でも意見を頭に入れて心をがらがらと揺さぶって、やはりこっちにしよう、この点は採り入れようと考えた。自分ひとりでは限界があるからだ。
教育も知事ひとりでは何もできない。教育非常事態宣言で示した学力向上などの提言は正しい。それを誰が実行するのか。現場の先生や教育委員会ではないか。ねぎらうよりたたくやり方では、がんばっている先生の意欲をそいでしまう。
「ご苦労様。頼むよ。ともにがんばろう」。この姿勢こそ真のリーダーの姿だ。(聞き手・十河朋子)
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■教育や教育委員会をめぐる橋下知事の発言■
昨年度の全国学力調査の結果について「何を大騒ぎしているのかわからない。英数国理社が好きなら一生懸命やればいいし、スポーツや絵、音楽が好きならそっちをやればいい」(07年12月、朝日新聞の知事選立候補予定者座談会)
「(教育委員は)ビジョンが全く感じられない」(08年8月26日、教育委員5人との懇談)
「(教育委員は)機能を果たしていない」(同日、懇談後に記者団に)
「このざまは何だ。教育委員会は最悪だ」(8月29日、全国学力調査の結果を受け記者団に)
「最悪。ビジョンも何もあったもんじゃない。(教育委員は)みんなお飾りだ」(8月30日、大阪府貝塚市でのシンポ)
「あのクソ教育委員会のメンバーが、過度な競争が生まれるという理由で発表しない」(9月7日、ラジオ公開生放送)