農林水産省は16日、米粉加工販売会社「三笠フーズ」(大阪市)によるカビ毒や基準値を超えた農薬を含んだ事故米の不正転売問題で、同社の汚染米の流通先が現時点で延べ約370業者に拡大したと発表した。さらに、三笠フーズ以外で、政府から事故米を購入していた「島田化学工業」(新潟県長岡市)が不正転売していたことを公表した。
同省はこれまで、延べ85業者としていたが、約4倍に増えた。今後、さらに膨らむ可能性もあり、問題の深刻な広がりを裏付けた。農水省は16日中に社名を公表する方針。
また、同省はこの日、汚染米の売買中止を柱とする再発防止策を発表した。汚染米の流通先が保育園や病院にまで拡大するなど「食の安全」を根幹から揺るがす事態に発展したことを受け、消費者保護の姿勢を前面に打ち出す。
太田誠一農相はミニマムアクセス(最低輸入量)米で汚染米が出た場合、輸出国に返品する方針を既に表明。保管中の輸入米や国産の備蓄米で出たカビ米についても、入札資格を厳格化するなどして、工業用のり業者など実需者に販売先を限定するなどの考えを示しており、農水省が流通システムの見直しを急ぐ。