平安時代初期の仁明天皇のころ、当時130歳の舞の名手が天皇の前で舞楽を舞い称賛されたという。年齢的にまゆつばものだが国の正史「続(しょく)日本後紀」に記されているそうだ 「老」の文字には尊敬の念が込められ人間的に熟達したという意味も持っている。だから江戸幕府の大老、老中、若年寄などの役職も、経験豊かで人望があり、先頭に立って仕事ができる人をさしている 瀬戸内寂聴さんは本紙連載の「寂庵より」で言っている。老人は「厭(いや)がらせの年齢」と開き直り、言いたいことを言って、気に入らないことは気に入らないと言えばいいと 100歳以上の高齢者が過去最多を更新した。女性は初めて3万人を超え86%を占める。県内の女性は360人で約89%だ。高齢化が進む一方で頼りの年金は社会保険庁の入力ミスで目減りもあるという。人生の実りを楽しむには心細い限りだ 先の舞の名手は「老人だといって引っ込んでいられましょうか」とうたったという。意気盛んである。きょうは敬老の日。若者に負けるものかという気骨を受け止められる懐の深い国でありたい。
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