第13回 馬王4
- 「そこで勝つ馬より、長い目で見てプラスになる馬を見つけるのが大切です」荒井俊也
-
東京都出身、50歳。印刷会社勤務のかたわら、X6800用のグラフィックソフト「マチエール」を開発。その後、競馬ソフト「馬王」をリリースし、現在はフリーのソフト作家。写真や囲碁を趣味とし、囲碁は対局用サーバを自宅に設置して公開中。
インタビュー記事 インタビュアー/市丸博司(2008/2)
カスタマイズとデータベース操作
「馬王4」はデフォルト設定のまま予想に活用しても高回収率の期待できるソフトだ。しかし、ユーザが独自にデータを分析し、より効率的な予想得点の算出式や推奨馬券の選定方法を発見できれば、一層馬券作戦に役立つ一本となる。そこでこのページでは、これらカスタマイズについて簡単な例を用いて解説する。ヘルプにはより詳細な利用法が掲載されており、そちらも併せて参考にして頂きたい。
また、「現在は入手困難かもしれない」(荒井氏)とのことだが、「ネット競馬で稼ぎまくれ!」という「馬王4」の解説本も出版されている。カスタマイズの入門、ヒント的な要素が多く掲載されているので、デフォルト設定から「もう一歩」を踏み出す際には大いに役立つことだろう。カスタマイズを極めれば、ここで紹介する例とは比較にならないほど細かい分析と、精度の高い予想が可能だ。
予想や推奨馬券のカスタマイズは、メインメニューの[予想]−[予想法カスタマイズ]で行う。画面7-1は[得点・予想タイム指数の設定]タブを開いた例で、ここでは得点計算式、および馬券評価順位(予想印)の計算式をカスタマイズできる。「得点計算式」の「得点V1」「得点V2」、そして「予想タイム指数」の「タイプ1」「タイプ2」の違いについてはヘルプをご覧頂きたい。
画面7-1では「得点計算式」で[ユーザ定義]を指定し、「得点V1」に少々手を加えた例だ。この例では、前走着順が10着から18着、つまり2桁着順に敗れた馬については元となる「得点V1」からマイナス2点とする、という計算式を入力している。「馬券評価順位の計算式」はデフォルトのままで、得点の高い順に高評価となり(得点 DESC)、同得点の場合は予想タイム指数上位馬を上位とする(予想タイム指数 DESC)設定だ。
画面7-2は推奨馬券のうち、枠連と馬連の抽出条件を設定する[枠連・馬連]タブ。画面はデフォルト状態の設定である。「抽出条件」にある式を解説すると、まず1行目で組み合わせる2頭の得点を掛けた結果が80点以上と指定。続いて2行目でオッズが10倍から200倍までと指定している。この式で抽出されるのは、たとえば得点の乗算結果が100点で、連勝オッズが20倍というケース。高得点になってもオッズが10倍を切るような場合、あるいはオッズが10倍から200倍に収まっても得点の計算結果が80点未満の場合は、推奨買い目から外される。
[画面7-1] 「予想法カスタマイズ」の「得点・予想タイム指数の設定」タブ。利用する得点計算式やタイム指数、そして馬券評価順位の設定が行える。
[画面7-2] 「枠連・馬連」タブのデフォルト設定。組み合わせる2頭の得点を掛けて80点以上、かつ、連勝オッズが10倍から200倍という条件に合致する組み合わせが推奨馬券となる設定だ。
このように、「SQL」の式を入力することで、予想や買い目はカスタマイズ可能だ。しかし「カン」で数字や式を入れても好結果は期待薄。カスタマイズするには、まず数字や式を考える根拠となるデータが欲しい。
そんな際に役立つのが、「単複データ分析」(画面7-3)や「連勝データ分析」機能だ。それぞれ、メインメニューの[分析]から呼び出して利用する。画面例は「単複データ分析」から2000年以降の重賞競走について、単勝5〜18番人気の馬を予想タイム指数順位別に単勝回収率を計算したものである。表の中で比較的高い率の多い5〜11番人気、予想タイム指数順位2〜4位をマウスで選択(背景黄色)すると、画面左上「選択範囲の集計」で単勝回収率は123.2%となった。
この例はかなり簡単なもので、実際は騎手や調教師、出走する各馬のデータなど、より多くのデータを組み合わせ、さらに計算式も研究して検証を進めてゆく。「連勝データ分析」の場合も同様である。そういった研究で得られた結果を「予想法カスタマイズ」に反映させることで、精度の高い予想が可能になるのだ。
また、「馬王4」では「SQL」で直接データベースを操作する「データベース操作」機能も用意されており、[ファイル]−[データベース操作]から利用できる。画面7-4は、データベースからサンデーサイレンス産駒を抽出し、「本賞金累計」順にソートした例。「SQL」欄の1行目の「SELECT」で表示するデータの内容、ここでは「馬名」「父馬名」「馬主名」「本賞金累計」をカンマ区切りで指定し、2行目では「競走馬T」テーブルから父馬名が「サンデーサイレンス」に合致する馬を抽出。3行目は本賞金累計の数字が大きい順にソートする指定を行っている。
ほかにも、「馬王4」には馬券収支の管理や注目馬、騎手等の設定、表示機能など様々な機能がある。自動運転機能を利用する場合は、「インターネット時刻調整」機能で、パソコンの時計を常に正確に保ちたい。Windowsにも標準で同様の機能が用意されているが、同期する間隔が長すぎるのが難点。「馬王4」では同期間隔を調整できるので、これを有効にしておけば「パソコンの時計が狂っていて自動運転に失敗した」などという事態を招く心配はないだろう。
[画面7-3] 「単複データ分析」画面。単勝5〜18番人気馬について、予想タイム指数順位で重賞での回収率を計算した例である。
[画面7-4] 「馬王4」は、データベースを直接扱う「データベース操作」機能も搭載している。画面はサンデーサイレンス産駒を抽出し、本賞金累計順に表示した例。「SQL」を習得すれば、ありとあらゆるデータ分析が可能だ。