え?「
SCAPIN677」?いえいえ、今回取り上げるSCAPINは
「SCAPIN 1778」と「SCAPIN 2160」です。
この二つの指令は、竹島を米軍爆撃訓練区域として取り扱うことを決定した指令です。
これらの指令に共通する点は「竹島を米軍爆撃訓練区域として用いること」と「訓練実施を行う場合、日本政府に通達を行う」という2点です。なお「SCAPIN 2160」は「SCAPIN 1778」を引き継いだ指令です。
ではこれらの指令は、竹島の領土問題にどのように関連するでしょうか?
今回は「米軍爆撃訓練区域としての竹島」という視点で説明します。
「SCAPIN 1778」と「SCAPIN 2160」により竹島は米軍爆撃訓練区域となりました。
同時にSCAPINとは「占領軍の指令」ですから、日本の主権が回復(SF条約の発効)したときに効力を失います。
ですからSCAPINの効力が切れる前の1952年7月に、日米行政協定に基づき設立された日米合同委員会で「竹島を引き続き爆撃訓練区域に指定」するように決定されました。
この「日米行政協定に基づき設立された合同委員会」とは「日本国内の施設又は区域を決定する協議機関」です。つまり「日米合同委員会」で竹島が「爆撃訓練区域に指定された」ということは「竹島は日本の領土である」という事を意味します。
さて繰り返しになりますが「日米合同委員会」で竹島が取り扱われたということは「竹島が日本領土である事を意味」します。しかし同時に竹島については韓国もその領有権を主張していました。
このために「日米合同委員会で(日本の領土として)竹島を取り扱っても良いのか?」という疑問が生じます。
さらに「訓練による竹島への爆撃で韓国人が死亡したこと」について大韓民国政府がアメリカに対して抗議を行った時、竹島の地位についてはっきりさせる必要がありました。
その結果、「1952年11月5日 アメリカ国務省から北東アジア課長代理への外交文書」において竹島の地位についてこのように記述されました。
「
1952年11月5日 アメリカ国務省から北東アジア課長代理へ
From:米国国務省北東アジア課L.バーマスター
To:北東アジア課長代理マッククラーキン、ダニング
東京の「リアンクール岩に韓国人」と題する1952年10月3日付け伝達書659号およびマーフィー大使あて1952年10月16日付け初刊に添付された釜山の「領有権が争われている領土(独島)の実射訓練場としての使用」と題する1952年10月15日付け覚え書を読みました。
国務省は、この島が日本に属するとの立場をとり、その旨をワシントンの韓国大使に伝えたようです。日本平和条約の起草課程において大韓民国の見解が求められ、その結果、韓国大使は、1951年7月19日付け初刊を以て国務長官に、条約草案第2条a項を修正して日本が朝鮮の独立の承認に伴い権利権原請求権を放棄すべき島に、済州島、巨文島、鬱陵島と並んで独島(リアンクール岩)と波浪島を含めるよう要請しました。韓国大使に対する返答として国務長官は、1951年8月10日付け書簡で、彼の情報によればリアンクール岩は朝鮮の一部として取り扱われたことが決して無く、1905年から日本の島根県隠岐支庁の管轄下にあり、かつて朝鮮によって領土主張がなされたとは思えないので、提案に関わるリアンクール岩に関する修正に同意できないと述べました。その結果、平和条約第2条a項には、次の通り、リアンクール岩が言及されないことになりました。
「日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島、および鬱陵島を含む朝鮮に対する全ての権利、権原および請求権を放棄する。」
それゆえ日米合同委員会によるこの島の日本政府としての指定は正当化できます。竹島(リアンクール岩)を含む種々の島嶼地域に対する日本の施策を「停止した」(Suspended)1946年1月29日のSCAPIN677に基づく領土主張を韓国はしていますが、これによって日本がこの地域に永続的に主権を行使することが排除されることはありませんでした。後続のSCAPINである1947年9月16日付け第1778号は、同島を極東空軍の射撃場として指定し、さらに、該当射撃場の使用は、日本の文民当局を通じて隠岐支庁および本州西部の住民に通告した後に初めて行われると規定しました。
北東アジア課長
」
この文書の前半では「1951年8月10日付け書簡(ラスク書簡)がアメリカ国務省の決定」であること。そのラスク書簡で「竹島が日本に属する」という決定を韓国大使に伝えたことを説明しています。
そして後半ではSCAPINについて記述されています。
まず、アメリカは「SCAPIN677に基づく領土主張を韓国が行っている」ことを理解していますが、その主張が「根拠のない主張」であることを述べています(つまりSCAPIN677は領土決定ではない。と書いてある)。
そしてSCAPIN1778を引き合いに出し「訓練実施を行う場合、日本政府に通達を行う」という点を根拠として「日米合同委員会による竹島の日本政府としての指定」が正当であることを指摘しています。つまりSCAPIN1778を根拠の一つとして「日本が竹島を管理する(日米同委員会)」ということが正当であると記述しています。
この決定を受けて、アメリカ大使館は大韓民国外交部に対して1952年12月4日付け通牒を送付しました。
「大使館は、外務部の通牒にある「独島(リアンクール岩)は…大韓民国の領土の一部である」との言明に注目します。合衆国政府のこの島の地位に対する理解は、ワシントンの韓国大使に当てたディーン・ラスク国務次官補の1951年8月10日付け通牒において述べられています。」
このように、SCAPINによる竹島の取り扱いは「日本が竹島を管理する」という内容に変化していた事が理解できます。特にSCAPIN677が根拠にならないと述べられている点は韓国人に是非知ってほしい点です。
しかし一番大切なことは「SCAPINは領土決定ではない」ということです。
SCAPINが定めたのは管理(Administrative)であり、領土を定めているのではないのです。
また「連合軍」は、「国際法上の国家の主体」ではないために、国家の主権である「領土」について決定することは出来ません。
さらに「竹島の領土権」という権原を転移させるためには、国際法上「日本の同意」が必要です。SCAPINは連合軍による指令であり、日本はSCAPINによる領土の転移に同意していません。
つまり「SCAPINは領土決定ではなく管理を定めている」のですが、その「管理」という分野においても「竹島は日本が管理」するという根拠になっているのです。