サンフランシスコの空の下
Party of Five
レイシーのデビュー作。1994年から放送開始。1995年にはゴールデン・グローブ賞ベスト・ドラマに輝く。残念ながら2000年5月3日の第6シーズン最終話で打ち切りとなってしまった。
日本では、WOWOWで第1シーズンが放送された。現在は、CS局CSN1ムービーチャンネルで第2シーズンが放送中。(あと栃木テレビかどっかでやってるのを見た記憶がある…)
サリンジャー家の三男ニ女物語
今のところ、僕が見たのは第1シーズンの前半と第2シーズンの最初あたりなので、人間関係とか今イチわからないところも多いんですが、その辺大目に見て読んでください。
さて、『サンフランシスコの空の下』がどんなお話なのかというあたりからいこう。基本的に、これはサリンジャー一家の涙と愛の物語である。家族構成は、長男チャーリー(マシュー・フォックス)、次男ベイリー(スコット・ウルフ)、長女ジュリア(ネーブ・キャンベル)、次女クローディア(レイシー・シュベール!)、三男オーウェン(ジェイコブ・スミス)の5人。ずいぶんな大家族だ。
えっ、兄弟しかいないのかって? そのとおり。実は、両親が自動車事故で急死してから、数週間後(?)という時点で第1話が始まる(僕の記憶では両親は、回想シーンでさえいっさい登場しない)。なかなかドラマチックな開幕である。
残されたサリンジャー兄弟だが、長男のチャーリーはまだ定職がない、ほかの兄弟はみんな学生。一番下のオーウェンにいたっては赤ん坊! 普通なら一家離散というところだが、実は父親は高級レストランの経営者で、サリンジャー家はかなり裕福な家庭なんだよね(この辺が僕的には今ひとつノレないポイントである)。というわけで、親戚が経営を引き継ぎ、兄弟にはとりあえず困らない程度の生活費が渡される。というと恵まれてるようだが、兄弟だけでうまく暮らしていけないようだと12才のクローディアとかは親戚に引き取られて兄弟離れ離れになる可能性があり、緊張感が漂う展開。第1シーズンはこのあたりが大きな焦点になって家の中がガタガタする(チャーリーがいいところを見せようとして逆に詐欺にあって大損こくとか)。
チャーリーは、はっきり言ってボンクラである。マスクよし、ガタイもよし、と見栄えはバツグンの男だが、仕事はとりあえずペンキ職人(の見習い?)。みごとなブルーカラーである。育ちはいいので、性格は温厚、というかノンビリ屋。世間知らずのボンボンが、思わぬ両親の死で世間の荒波にもまれるってわけである。演じてるマシュー・フォックスは、可もなく不可もないレベルの俳優。ほかに目立った出演作もない。
次男ベイリーは、高校フットボールの花形プレーヤーである。つまり、典型的なジョックス(スポーツ・エリート)。上背はないが、体格はがっしりしてる。スポーツマンらしく、ほがらかで女性関係も派手。ところが、試合中にタックルした相手が意識不明になる事故(その後回復)があってからは、思い切ってプレイできなくなる(ありがちな展開である)。童貞を奪われた相手がヤク中の破滅型オンナで、さんざん振りまわされたりして、けっこうひどい目にあう。しかも、本人もその後アル中になって暴れるらしい(第3シーズン?)。演じてるスコット・ウルフは、マイケル・J・フォックスをたくましくしたような感じの若手俳優で、たぶんこのドラマの男性出演者では一番有名だと思う。頭の悪そうな演技が悪くない。
長女ジュリアは思春期まっただなかの女子高校生。クラスではイヤミなぐらいの優等生で通っていたが、不良っぽい同級生が男友達とパーティなんか楽しんでるのが実はうらやましくてたまらず、背伸びして仲間に入ろうとするのがほほえましい。どうも家族の苦境とかあまり目に入らない性格のようで、パブでバイトしたり、ボーイフレンドと痴話ゲンカしたりで、かなりイロモノっぽい天然キャラ。オツムの方はアニキ2人足したよりよほど出来がいいのに、ホルモンのせいで判断力が鈍っている。いやもうギラギラしちゃってて、この人。そんなビミョーな年頃を演じるのがネーブ・キャンベル。説明の必要はなし。『スクリーム』のたくましさに感心してたが、実は初めから太かったということが『サンフランシスコの空の下』見るとよくわかる。むしろ今よりポッチャリ感は上である(ちなみにパブでバイトしてるときに、オーナーが売り上げ増を狙ってウェイトレスにセクシーな制服─ほとんどSMBD─を着せる話があり、このときいやいやそれを着たネーブ・キャンベルのむっちり具合は鼻血ダラダラものだった。ファン必見とはこのこと!)。
天才少女レイシー
さて、お待ちかねの次女クローディアは12才の少女。神童とまでうたわれたバイオリンの天才で、一流の先生のレッスンを受けて将来を嘱望されていたが、両親の急死のためバイオリニストの夢を断念する(実際にレイシーはバイオリン弾けるのだが、さすがに放送では別人の演奏に吹き替えされてた)。微妙な年頃にそんな大事件に襲われ、しかも上のアニキ、アネキは頼りない、ということでずいぶん精神的に鍛えられたのか、えらく大人びた子供になってしまう。一人正論を吐いて兄弟を絶句させたりするのが痛快である。頭の回転もいい。かなり難しい役どころだが、演じるレイシー・シュベールの演技力は素晴らしいの一語。見れば見るほどそれを感じる。ただし、すごいアニメ声(ロリ声?)なので、その辺は好きキライが分かれるところかもしれない。声は気にならないけど、僕的にはシリーズ当初のレイシーはあまりに幼過ぎてちょっとなー。『ロスト・イン・スペース』ぐらいがちょうどいいね。
最後が三男のオーウェンくんだが、なにせ赤ん坊なので印象もクソもない。第6シーズンぐらいになると、さすがにボーヤに成長してるが、どんなキャラクターなのか不明。シリーズ的には彼の役どころがポイントになってきてもおかしくはないが。
というレギュラー陣にからむ準レギュラーだが、まずはオーウェンのベビーシッターとして登場し、あれよあれよという間にチャーリーの世話もするようになるカースティン(ポーラ・デビック)。のんびり屋のチャーリーと違って、几帳面で神経質、理屈っぽくてハッキリいってキツイ女だ。ことあるごとに彼と衝突するが、そのたびに愛が深まる(恥ずかしい言いまわしだなぁ)展開で、ついに婚約! ところが結婚式の当日にチャーリーが怖気づき、「結婚したくない」とか言い出して大騒ぎになる(この持ってき方は納得いかんのだが…)。で、別れてしまうのである(ところがその後よりを戻したのか第6シーズンにも出てきてる)。
次男ベイリーの彼女サラとして登場するのは、ご存知ジェニファー・ラブ・ヒューイット。子供のころからCMなどで活躍(日本でもビクトリアのCMで王貞治と共演!)していたが、実は『サンフランシスコの空の下』で出世した(これはネーブ・キャンベルと同じね)。さぞかしセクシーダイナマイトぶりを発揮するのかと期待してたら拍子抜け。すごい生真面目なキャラなのである。片思いのベイリーに健気にアタックする姿は『ラスト・サマー2』でカラオケ歌いまくる彼女と全然ダブらない。しかも、養子であることが祖母の不注意から発覚し、ショックに大きな胸を痛めるという展開だ。意外に泣かせる好キャラであった。
ほかに準レギュラーとしてジュリアのボーイフレンドが数人出てくるが、くっついたり別れたりが激しくてよくわからないのでパス。第2シーズンになってようやくバージンを捨てたジュリア(それまではなんのかんのと綺麗ごと並べて彼氏の忍耐を極限に追い詰めていたが)。その後はセキを切ったかのようにエッチざんまいの日々を送っている。チャーリーとカースティンの結婚式が大もめにもめてる最中も、2階で若いエネルギーを発散してるのには爆笑であった。唯一イロボケしてないクローディアには白い目で見られてる。これからもいろんな男がネーブ・キャンベルとからむのだろう。
でもなあ…
うすうす感じてるかもしれないが、僕自身は特別『サンフランシスコの空の下』のファンではない。コンサバでありきたりのファミリードラマである。登場するのは中流以上のハイソな白人ばかりで、シリアスな色恋沙汰の連続には少々うんざりする。出てくるのは美男美女、基本的に悪人はいない。まあ、たしかによくできてるし、出演者も悪くない。でも、レイシーが出てなければ見ないだろう(というか、レイシーしか目に入ってないんだけどね)。
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