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【さらば革命的世代】(9)日本のレーニンが知った労働 (3/4ページ)
このニュースのトピックス:さらば革命的世代
自身が出所した平成元年はバブル景気のまっただ中だった。70円だったハイライトは270円になっていた。学生運動や左翼運動の熱気が失われていたのもショックだったが、飲食チェーンやコンビニエンスストアの乱立など世の中が豊かになっていたことにも驚いた。以来20年。赤軍派結成以降、塀の中と外の生活をほぼ半分ずつ過ごしたことになる。
「獄中では、革命について思索を重ねる観念的な日々を過ごした。出所したときはまるで浦島太郎。いまなおリハビリ中と思うこともある」
■ミク友は600人
塩見さんが働く駐車場は駅近くのショッピングセンターに隣接し、休日は約1000台が利用する。時給は1000円だったが、4月から「副々班長」の役職手当で50円上がった。
「役職に就くのは労働者を管理する側に回ることであり、刑務所でも班長への就任は断固拒否したが、ここでは仕方がない」と主張する一方、「働くとは、すばらしいことだ。社民党や共産党の幹部も理論だけでなく実践したらいい」と、自身の「初めての労働」をうれしそうに語る。
「車両の誘導自体は単純作業だけど、発券機の操作などは経験も必要。一番困るのは駐車券を無くした人の処理だな。掃除のおばちゃんや、出入り業者の運転手たちとのささやかな会話も楽しみの一つだ」
最近では自身のホームページに加え、若者に人気のインターネットの会員制サイト「mixi(ミクシィ)」にも熱中する。ハンドルネームは「預言者」。「宗教ではなく、社会科学の力で未来を導くという意味」といい、「『ミク友』と言うんでしょうか、ミクシィを通じた若い友達は600人以上いるね」という。