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【記者ブログ】さよなら北京 福島香織 (1/2ページ)
■引っ越しの準備、どうしても会いたい人へのあいさつまわり、送別会などで、いそがしくずっとブログ更新を怠っていました。本日14日は、私の北京特派員としての最後の1日となります。15日の昼には東京の成田空港に到着しているはずです。北京の国際空港に降り立ったのは、2002年4月30日午後のことでした。期待より大きな不安をかかえてひとりタクシーで京倫飯店にはいったことを覚えています。いま、帰任を前にして、やはり建国門外の京倫飯店に宿泊し、このブログをかいていると、長かったような短かったような特派員生活が走馬燈のように思い出され、鼻の奥がつーんとしてきました。
■本当は、今晩、以前から会いたいと願っていた老革命家と会ってもらえる予定でしたが、さきほど、キャンセルの電話がはいりました。なんでも、急に体調が悪くなり、入院されたとのこと。もともと外国記者とはあわないことで有名な方なので、私もやはり避けられたのかもしれません。しかし、もう相当のおとしなので、
私が再びこの地に特派員としてやってくるときには(そういうときがあったとして)、果たしてご存命なのかどうか、ひょっとして、もうお会いできるチャンスはないかもしれない、と思うと悲しくてなりません。
■この国には、激動の歴史の渦中にあり、あるいは目の当たりにしながら、その経験を誰に語ることもなく墓場までもっていこうと決心されている方があまりにも多い。伝えるべきこと、伝えたいことを伝えることかなわず、沈黙を守り通すことを強く求められる、怒濤の勢いで国際化がすすむ中国は、依然そういう部分がのこっている社会であることは確かです。私はそういう人たちにできるだけ多くあって、発表するしないは別にして、いろんな話を聞きたかったのですが、結局、そういう腰をすえた仕事はほとんどかないませんでした。ああ、もっと、いろんな人にあっておけばよかった。時間も人の命も限りがあるのに、日常の仕事(これが結構忙しい)にかまけて、せっかくの北京勤務のチャンスを有効に使えなかったな、と後悔ばかりが残ります。しかし、いつまでも北京を引きずってはいられないので、ここで切り替えて、新しい仕事のことを考えねば。