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【グローバルインタビュー】北朝鮮民主化を語る(4) 延世大学の洪晟弼教授 (2/3ページ)
――解放に向けた動きもない?
「(北を脱出した)脱北者問題は北朝鮮の外側の問題だが、いまは内部の問題を語る時期に来ている。国連では北朝鮮人権特別報告官が活動しているが、一度も北朝鮮に入ることさえできていない。そのくらい北朝鮮内部の問題は依然、手がついていない状態なのだ。韓国、米国、日本など国際社会がこの問題に関心を持っているにもかかわらず、北朝鮮内部の状況については何もできない状態が続いている」
――閉鎖された独裁国家、北朝鮮に入れないためか
「韓国に脱北者は約14000人いるが、政治犯収容所から脱出して韓国入りしたのは30人に過ぎない。彼らには世界に発信する力が不足しているし、証言が少ないということだ。
北朝鮮の人権問題は(北が建国されてからの)60年の歴史がある。金日成政権がスタートした直後から人権問題が生じている。しかし具体的に公開の場所で論じられたのは1998年が初めてだった。その理由はいろいろあるのだが、(1)世界が事実を知らなかった(2)人権状態があまりにもひどく、(世界が改善に動くことを)あきらめていた−ためだった。現在、政治犯収容所問題がそうだ。韓国だけでなく各国政府は存在を知っているが、状況があまりにもひどく、問題として取り上げようとの動きをあきらめているのが実情だ」
――政治犯収容所は世界の旧共産圏に存在してきたが
「私は北朝鮮の政治犯収容所問題を地球上に残っているさまざまな人権侵害、人権問題のなかでも、特筆すべき、歴史的な課題だと考えている。思想、宗教、社会、階級すべてにわたる『弾圧の50年』が収容所である。もちろん旧ソ連、中国、ナチス、キューバ、チェコなどにも政治犯収容所は存在したが、半世紀にわたって現在も続いて存在するのは北朝鮮が唯一だ。ひどい状況をどこが一番だ、といっても意味はないが。それにしても、それらの国は1950年代−60年代の戦争と混乱の時代に近代に存在したのであって、2008年ではないのだ。