京都府京丹波町のフリースクール「丹波ナチュラルスクール」の傷害容疑事件で、逮捕された経営者の江波戸聖烈(えばと・せいれつ)容疑者(60)らが入所者に、お守りづくりなどの内職や農作物の収穫をさせ、多額の利益を得ていたことが京都府警の調べでわかった。入所者に報酬を一切払っておらず、府警は営利目的でただ働きさせた疑いもあるとみている。
府警によると、江波戸容疑者と責任者の森下美津枝容疑者(55)は4年前から、入所者に収穫させた栗や、飼育させるなどしたカブトムシ、クワガタムシなどの昆虫を近くの「道の駅」の農産物直売所で売っていた。
「道の駅」関係者によると、年会費などを払えば直売所で農作物を販売することができる。栗だけで、多い年は1シーズン150万円ぐらいの売り上げがあったという。ラベルには「丹波栗」と表示していた。
府警によると、入所者らは外から施錠された寄宿舎に監禁状態に置かれ、神社のお守りづくりや電気部品の組み立てをさせられていた。入所者は報酬を受け取っておらず、江波戸容疑者も現金を渡さなかったことを認めているという。
施設側は入所前、保護者たちに「予備校以上の勉強をする」「京都大学に合格した子どももいる」などと説明していたが、実際にはほとんど勉強させていなかった。
府警によると、施設は保護者から入所料200万〜550万円と月謝10万〜15万円を受け取っていた。府の調査では、1年で700万円払った保護者もいた。しかし、入所者は、江波戸容疑者の親族が経営する店から仕入れた賞味期限切れの弁当やカップラーメンなどを食べ、水の使用も制限されていたという。一方で、両容疑者は高級外車に乗り、江波戸容疑者は数年前に自宅の新築もしていた。