使用楽曲
「お前ら全員燃えてしまえっ!!!」
本編が終わった後、もし次に『グレンラガン』を作る機会があったらスピンオフ的な作品を作りたいね、という話はしていたんです。それで今回の企画が決まった時に、いくつかあったアイデアの中でも、ロージェノムの過去のエピソードが使えるんじゃないかと考えたんです。パラレルワールド的なものよりも、そのほうがファンに喜んでもらえるんじゃないかとも思いました。音楽もそれに合わせて、劇的な起伏のある「お前ら全員燃えてしまえ!!!」を選びました。
最初は、アンチスパイラルの視点で、生命の誕生・進化から破滅に至る過程を描こうかと考えたんですが、それだと俯瞰すぎて、グレンの世界から離れすぎてしまうので、ロージェノムの側に視点を置いて描くことにしました。本編のシモンたちは、自分たちの思いに忠実だったけれど、アンチスパイラルが提示した「滅び」の可能性について、正面からは答えていないですよね。その点で、かつてのロージェノムの考えのほうが理にはかなっているように思うんです。だから、シモンたちが歩まなかった、もう一つの『グレンラガン』というような気持も込められていますね。
ただ、本編の重要な部分を描いてしまう、ということについては多少の躊躇はありましたね。だから核心部分は説明せず、視聴者の判断に委ねるような作りにしています。
一番最初に出てくる公園の遊具が螺旋型をしているのは、ラストのロージェノムの玉座とつなげるためですね。本編でもそういうイメージの反復というのをやっていたので、もうちょっといろいろイメージを織り込みたかったんですが、尺の関係もあってあまり入れ込むことはできませんでした。少年のロージェノムがニアに似ている部分は、意識して描いた部分ですね。
映像的なカタルシスを優先したために、アクションが多めになってしまいましたが、できればロージェノムの葛藤などのストーリー部分も描きたかったですね。絵コンテの時は、一人で原画を全部描くつもりだったんですが、最終的にはすしおさん、久保田誓さん、今石(洋之)監督に手伝ってもらっています。おかげでなんとか完成することができました。
「グレンラガン」は音楽に助けられている部分が大きいと思います。瑣末な矛盾や描写不足を吹き飛ばし、見るものの感情を流れに乗せてしまう勢いとパワーがある。そんな楽曲に対する恩返しの気持ちも込めつつ作らせていただきました
このPVでお客さんの想像力をより膨らませる事が出来れば幸いです(談)
(プロフィール)
よしなり・よう
主な作品に『新世紀エヴァンゲリオン』(原画・メカ作画監督)、『忘却の旋律』(メカニックデザイン)、『トップをねらえ2!』(原画)など。『天元突破グレンラガン』ではメカニックデザイン、原画を担当。
(C)GAINAX・中島かずき/アニプレックス