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心神喪失者医療観察法:受け入れ病院が不足 県内5医療機関、患者増で限界に /茨城

 重大事件を起こし、「心神喪失」などで不起訴や無罪となった人などを入・通院させる心神喪失者医療観察法の対象となる精神科病院の不足が深刻化している。県内では、5カ所の通院医療機関が診療にあたっているが、患者数の増加で手いっぱいの状態だ。県などは協力先の掘り起こしに追われている。

 05年7月の同法施行から3年余り。これまでに水戸保護観察所が扱った入・通院のケースは約30件にのぼる。

 同観察所によると、通院は原則3年間で、通院開始直後の患者に対する診療は平均で週1回程度必要。さらに各市町村や障害福祉サービス業者との連携、濃密な医療、定期的な評価資料提出などが求められ、受け入れられる患者数は限られる。6月末現在で通院中の患者は11人だが、患者の退院後の生活、通院環境を整える同観察所の社会復帰調整官は「患者数に対して医療機関が不足している」と危機感を募らせる。

 また、五つの病院は県北、県央に集中。ほとんどの患者が通院に1~2時間かかり、大きな負担になっている。

 水戸保護観察所や県障害福祉課は新たな受け皿となる病院を探しているが、理解を求めるのに時間がかかるという。通院医療機関の一つである県央の精神科病院長は「6人の患者の社会復帰を目指して治療をしているが、これ以上増えれば回らなくなってしまう」と訴える。【山崎理絵】

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 ■ことば

 ◇心神喪失者医療観察法

 心神喪失・耗弱の状態で殺人、放火、強盗などの重大事件を起こし、不起訴または無罪になった精神障害者を社会復帰させるため、国が医療費を負担して病状の改善を図る制度。地裁裁判官と精神科医が合議で、入院▽通院▽入・通院の必要性なしを決める。

毎日新聞 2008年9月15日 地方版

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