「連行される尹奉吉」の写真をめぐる10年論争(中)
その後も疑惑は提起され、昨年2月、「韓国近・現代史」教科書を発行する金星出版社は問題の写真を教科書から外した。出版社は「代わりに異論がない写真を載せることにした」と語った。さらに昨年4月、文化財庁は問題の写真に対する宝物指定を解除した。「新聞の複製本で、文化財としての価値はない」という理由からだった。
これに対し尹奉吉の甥ユンジュさんは最近、「連行写真、尹奉吉義士に間違いない」という冊子を出して反論した。記者との電話インタビューでユンジュさんは、「写真の中の人物が尹奉吉ではないという証拠はどこにもない」と主張した。
専門家の分析はどうだろうか。モンタージュの専門家である明知大情報工学科の崔昌石(チェ・チャンソク)教授は、「尹奉吉でないにしては、類似した点があまりに多い」という。崔教授は、連行写真と義挙3日前の写真(写真2)、死刑執行直前の写真(写真3)を比較・分析した上で、こうした結論を下した。
崔教授が指摘した類似点は、垂れた頬骨、鼻の長さ、微笑線、耳たぶ、吊り上がった目だ。崔教授は「ただ、頭の形が少し異なっているが、髪がもつれてそのように見えるのか、確認するのが難しい」と語った。顔面研究所を運営する韓南大のチョ・ヨンジン教授も、「骨格と目鼻立ちを見れば、尹奉吉に間違いない」と語った。
しかし二人の専門家の間にも意見の相違はある。崔教授は2枚の写真の人物が一致しているという理由に耳たぶを挙げたが、チョ教授は「尹義士は耳たぶが大きいのに、写真の中の人物はそうではない」と指摘し、一致していない例として耳たぶを挙げた。
ユンジュさんの要請で国科捜に写真鑑定を依頼した国家報勲処勲功審査課は、「尹奉吉を独立有功者として認定する資料の中に、議論となっている写真も含まれている。独立有功者に認定されたということは、写真の中の人物を尹奉吉だと判断していることになる」と語った。
申晶善(シン・ジョンソン)記者
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