農薬などに汚染された事故米を食用に転用していた米販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の冬木三男社長らが05〜06年、農林水産省近畿農政局大阪農政事務所の当時の消費流通課長(62)を、大阪市内の飲食店で接待していたことが14日、わかった。元課長は朝日新聞の取材に対し、飲食接待を受けたことを認めたうえで「三笠フーズに便宜をはかったことは一切ない」と話している。
同消費流通課は大阪府内の米の流通業務全般を管轄し、政府が保有する輸入米や備蓄米の販売・入札、業者の監督・指導をしている。輸入米を購入していた三笠フーズの調査は同課が業務としており、接待は同社が事故米を食用と偽って不正転用していた時期と重なる。
元課長は04年4月〜06年3月末に消費流通課長を務め、現在、大阪府内で農業コンサルタントをしている。
元課長によれば、接待は課長時代の05〜06年に2度受けたという。同社が経営する大阪市北区の居酒屋で、鳥料理やビールなどを飲食し、1人当たり数千円の代金はいずれも三笠フーズ側が支払ったという。出席者は、元課長のほか、三笠フーズの冬木社長ら同社側の数人だった。
元課長は、接待の場でのやりとりについて「仕事の込み入った話はなく、世間話が大半だった」と釈明。接待を受けた経緯については「たびたび冬木さんたちから誘われた。国の米を売るという立場で、業者に悪い印象を持たれたくなかった。約40年間、米行政に携わっており、大阪農政事務所で最古参だったから、何か情報をもらえると期待していたのかもしれない。今となっては、あかんことをしたと思っている」などと話している。