「押し紙」や販売店の強制改廃など
の問題が多発するなか、新聞販売問題に取り組む弁護団が制作したパンフ。近々、発行される予定。
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最高裁が昨年末に販売店主としての地位を保全したはずのYC広川(福岡)店主・真村久三氏を、読売新聞社が7月31日付で解任した。真村氏は改廃通告を受けた1カ月前から対策を練り、7月下旬に福岡地裁に地位保全の仮処分を申請、第1回審尋が8月7日に行われる。地位は再度認められる可能性が高いが、それを不服とする読売がさらに訴訟を続ける可能性も高い。狙いは司法制度を悪用した個人攻撃と考えられ、読売の司法軽視の姿勢が改めて見えてきた。
【Digest】
◇読売の勘違い
◇部数増への病的なこだわり
◇安易な強制改廃に対する警告
◇読売が主張する改廃理由
◇過去にも司法判断を踏み倒す
◇裁判の悪用か?
8月1日の早朝、YC広川に新聞を積んだトラックはやってこなかった。予測していた事態ではあったが、真村久三さんは、販売店主としての地位を奪われたことを実感したのである。販売店にとって、新聞の供給停止は、「死」を意味する。
新聞は情報を売り物とする商品なので、日付が変われば、商品としての価値がなくなる。在庫品では代用できない。それゆえに新聞の供給がストップすれば、販売店はたちまち廃業に追いこまれるのだ。
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マイニュースジャパンにたびたび登場いただいた真村久三さん。今後も、新聞販売の問題解決に取り組む。
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真村さんは、新聞の到着に備えて店舗に待機していた配達員たちに、これまでの経緯を説明して、
「長いあいだありがとうございました。また、仕事をお願いすることもあるかも知れませんが、自分の道も探してください」
と、労をねぎらった。
午前4時半、配達員たちは店舗を後にした。明けがたの闇がとけはじめていた。
華々しい「ANY」のかけ声のもと朝日、読売、日経による販売網の整理・統合が進むなか、販売店の強制改廃が急激に増えている。昔はヤクザ(整理屋)がいきなり販売店へ押しかけていき、有無を言わさずに改廃することもあったが、現在では新聞社の法務関係者が改廃の役割を担っているようだ。
◇読売の勘違い
しかし、YC広川の改廃には特殊な側面がある。他のケースとは若干性質が異なっているのだ。
真村さんには、読売を相手に7年に渡る地位保全裁判を戦った経緯がある。そして昨年の12月、最高裁判所が読売の上告受理申し立てを拒否したことで判決が確定し、真村さんは店主としての地位保全を認められたのだ。それゆえに一連の流れを知る者は、こんなふうに呟かざるを得ないだろう。
「えっ!どうして真村さんが?半年前に最高裁が地位保全を認めたはずなのに・・・」
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弁護団が福岡地裁に提出した仮処分命令申立書の中の「事実関係」について述べた部分。真村さんが受けた差別扱いなどが詳細に記録されている。
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読売社員は司法について、どのように教えられたのだろうか?大メディアの足下にも及ばない存在として受け止めているのではないか?
筆者を含め、読売という大集団に違和感を感じている人も多く、たとえばある新聞関係者が次のように話す。
「あの社(読売)は裁判所なんかなんとも思っていないのではありませんか。自分たちこそ世界を動かしている勢力だと勘違いしているのかも知れませんね。もう少し謙虚になるべきでしょう。だれもが警戒してこの集団を批判しないから、おかしくなってしまったのではないでしょうか」
◇部数増への病的なこだわり
真村さんと読売の係争は、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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真村裁判の高裁判決の一部分。販売店をむやみに改廃してはいけない旨が記されている。
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