【怪奇大作戦】     怪奇大作戦
俺なりのストーリー説明(1〜9話)です。
わかりにくく、さらに見にくいかもしれませんが我慢してくださいませ。

01  02  03  04  05  06  07  08  09


 
【第1話:壁抜け男】 1968.9.15 制作第2話
●脚本:上原正三 監督:飯島敏宏 特技:的場徹
 宝石や仏像を盗むという予告状を出し、その通りに犯行を重ねる怪盗キングアラジン。今回の獲物は黄金の仏像。厳重に敷かれた警戒網の中へ難なく忍び込み、まんまと仏像を手にし逃走を企てるが、張り込み中の警官に見つかってしまう。だがアラジンは警官を嘲笑い、その目の前で壁の中に消えていった。
怪盗キングアラジン  警視庁からの依頼を受けたSRI。三沢は原子の網の目をくぐれる原子人間ではないかと言うが、牧はそれは飛躍しすぎと反論、消えたのは目の錯覚ではないかと言う。
 続くアラジンの挑戦状。今度は町田警部を含む数人の警官の目の前で地中へと消えて行った。
 原子人間説について、アラジン自身が壁抜けをするのはともかく、盗んだ仏像まで一緒に抜けることは出来ないのではとの的矢所長の一言で、原子人間説は否定される。決定的な結論が出ないまま、アラジンからの次なる予告状が届く。歌舞伎の小道具として使用する、時価1億5千万はするという鬼玉を盗むというのだ。
 歌舞伎会場で張り込む警察とSRI。やがて舞台は始まり、鬼に扮した二人の役者が玉を奪い合う。どちらかがアラジンとにらんだ警察が舞台に飛び出し、玉を手にした一人を押さえつける。だがそれは本物の役者で、もう一人こそがアラジンであった。玉を奪い取ったアラジンは舞台上空へ浮き上がり、警察とSRIの前で姿を消すのであった。
 会場から脱出し、セスナに乗って逃げるアラジン。牧や町田警部たちもヘリで後を追う。が間もなくセスナから鳩の群が飛び出し、次の瞬間セスナは火を噴いて転落した。その様子を記録していた牧。本部に戻りフィルムを再生すると、飛びだした鳩といっしょにアラジンが脱出していたのが判明。フィルムを見た的矢所長はその顔に見覚えがあった。かつての人気奇術師・一鉄斉春光であった。

キングアラジン  記念すべき放映第1話。作中、犯行予告を出すアラジンに対して「アルセーヌ・ルパンじゃあるまいし」と言う住職のセリフや、SRI本部でさおりの「まるで怪人二十面相じゃない」というセリフがある。前者は外国の、後者は国産の怪盗。飯島監督のアラジンのイメージは怪人二十面相的キャラクターだったという。なるほど、華麗な怪盗テクニックとは言え、ルパンというよりもオドロオドロした乱歩的世界観のあるキャラクター、キングアラジン。
 この話、全話LD−BOXの前に発売されたジャンル分けシリーズでは「恐怖人間SP」に収録されていた。このLDには、人間が怪人(恐怖人間)となって犯罪を犯すというジャンルの話が収録されていた。人間の怨み・想いなどから怪人化した恐怖人間たち。これこそが橋本洋二プロデューサーの追い求めた「怪奇大作戦」か。

 アラジンの正体と壁抜けのトリックを暴いたSRIは警察と共に春光宅へと向かった。問いつめるもひたすらとぼける春光だが、妻・紫乃に正体をバラされてしまう。さらに隠れ蓑を使い隠れようとするが、牧の用意したスペクトル破壊器によってその仕掛けも打ち破られてしまう。追いつめられた春光は室内にガスを散き逃走する。用意しておいた潜水箱に乗り込む春光。
 天才奇術師と呼ばれた男も、一度の失敗で転落への一途をたどり、ノイローゼとなる。男はもう一度拍手喝采をあびたかった。そして沈みゆく潜水箱の中で、幻の歓声を聞くことが出来た。
 さらなる幻の歓声を求め、かつて失敗した海底からの箱抜けマジックに挑む春光。深度調整のハンドルを回し、潜水箱はさらに沈んでゆく。だが水圧のためか箱は歪みはじめ、地上からも制御不能となる。モニターに映る、苦しみ歪む春光の顔。箱はさらに潰れ、海底に沈んだ。

 田口計氏扮するキングアラジンが床や壁に消えていくシーンの撮影にはけっこうな時間がかかったそうだ。ぜひとも当時の思い出を聞いてみたい出演者の1人だ。
 アラジンといえばその奇妙なポーズ。サーカスの少女たちならいとも簡単にこなしてしまうポーズだろうが、やはり奇妙だ。ブリッヂをしたまま頭を足の間から覗かせるポーズ。プロレスの、スモール・パッケージ・ホールドのちょうど逆な感じだ。その格好のまま(後方に)ゴロゴロと転がるのだから、初めて見た人は夢でうなされるかもしれないほどのインパクトである。一般人で出来たらそのまま隠し芸として立派に通用するだろう。
 春光の妻・紫乃役に岩本多代氏。野村&次郎が参考にと訪ねる奇術師役に、「ウルトラセブン第23話/明日を捜せ」で運勢見・安井与太郎役を演じた木田三千雄氏。


 
【第2話:人喰い蛾】 1968.9.22 制作第1話(B)
●脚本:金城哲夫 監督:円谷一 特技:的場徹
人喰い蛾の犠牲者  特別賞与を手に帰路を急ぐマルス自動車の設計技師・西条。ハイウェイを走行中、一台のマイクロバスが停止しているのが見えた。ライトが点けっぱなしだが運転手はいない。事故かもしれないと周囲を見回す西条。そこへ飛んできた数匹の蛾。気持ち悪がった西条は手で振り払うが、蛾の羽からこぼれ落ちる鱗粉を浴びてしまい、そのとたん西条の体は泡状に溶け白骨化してしまった。
 同様の事件はこの夜だけで3件もおきており、死体からは、アメリカで家畜を一夜にして全滅させてしまったというチラス菌が検出された。警視庁はSRIに調査を依頼した。
 別の日の夜。同僚の死を哀しむマルス自動車の倉本技師は、ヨットハーバーの船上で西条に向けグラスを傾けていた。そこに蛾の群れが、船上の灯りを求めて飛んでくる。倉本も西条同様に振り払うが、足を滑らせ海上に転落。さらに鱗粉を浴びていたために倉本の体も溶けてしまう。
 倉本の遺留品からチラス菌と、リン種目の粉=鱗粉が摘出された。牧は、事件が夜に起きていることから蝶ではなく蛾のそれであると断定し、チラス菌を持った新種の蛾が発生したのではとにらむ。だが三沢は、前回今回と被害者の中にマルス自動車の社員が二人も含まれていることから、マルス自動車の社員を狙った犯行ではないかとにらむ。しかし牧はそれは偶然で、チラス菌を持った蛾が自然発生したものとして聞かない。対立した三沢は単独調査を始める。
 三沢の調査でマルス自動車の技師にはもう一人、主任の新田技師がいることが判った。三沢の予想が当たっていれば、次に狙われるのはこの新田技師。一方、牧の方でもチラス菌を持った蛾の自然発生があり得ない事が判明。この報告を取り合った後、三沢は犯人グループに拉致されてしまう。
 牧は野村とともに新田技師の家へ向かう。そこで新田技師宅の脇から逃走する不振な車に遭遇した牧は野村に後を追わせた。新田技師宅。牧が話を切り出すと、奥から新田夫人の悲鳴が。そこには赤ん坊の眠るベビーベッドのカーテンにとまる、一匹の大きな蛾がいた。

恐怖の人喰い蛾  鱗粉というと、思い出すのは「ウルトラQ/変身」ですね。巨蝶モルフォの鱗粉を浴びて巨大化してしまうというあの話。色々あって今現在蝶や蛾が大嫌いなわけだが、この「変身」も幼き日の俺に恐怖を植え付けたエピソードの1つです。数年前、虫好きな小学生の女の子が自分の腕にでかい蛾をとまらせているのを教育TVで見た。蛾はたぶん沖縄のヨナグニサンとかだと思うが、俺にとってはおぞましいことこの上ない映像だった。
 脳内変換されたその映像は、女の子を鷹匠に見立てて、蛾も鷹サイズ…。(ひ〜)
 因みに蝶好きの岸田森だが、この方も蛾はやはり好きではなかったそうだ。

 脱出した三沢によりSRIと警察に報せが入る。追いつめられた犯人・宇野はアジトに逃げ込むが、アジトには解き放たれた蛾の群がいた。室内の明かりに反応して羽ばたく蛾。あせった宇野はアタッシュケースで蛾を追い払うが、逆に蛾の羽からチラス菌を含んだ多量の鱗粉を浴びてしまう。
 野村の活躍で逮捕された男の証言から、事件の背後に外国車メーカーの日本進出計画があることが明らかになった。宇野は金で自社を裏切り、この外国車メーカーの手先となっていたのだった。

 それまでのウルトラシリーズでは王道を歩んでいた円谷一と金城哲夫。しかしこのシリーズではそれがアダとなったのか、本作は『怪奇』と言うよりも『スパイアクション』性が感じられる仕上がりとなった。たしかに人が溶けるという描写には、怪奇的・猟奇的なものを感じるが。“制作第1話”ということもあるのか。
 もう1本の第6話「吸血地獄」は題材的にも本作よりは怪奇的だが、あまりにも「怪奇」というニュアンスが直球すぎるせいか、やはり他の怪奇大作戦カラーとはいささか違って感じる。結局円谷一はこの他に第8話「光る通り魔」を手がけただけで、金城哲夫の方も第3話「白い顔」を手掛けただけ(途中で上原正三にバトンタッチ)で終わっている。ウルトラの変化球こそが怪奇の直球。怪奇大作戦の奥の深さが思いうかがえる裏話である。
 普通ならメインタイトルとサブタイトルは同じBGMが使われているのだが、この回だけ何故かサブタイトルのBGMが違っている。これも“制作第1話”ならではだろうか。
 猫好きの俺にとってはこの話、蛾にじゃれてチラス菌を浴びて溶けてしまうにゃんこがかわいそうである。にゃんこは動くものにじゃれるからね。んでこの猫。最初のカットと、次以降のカットでは別の猫になっているのにお気付きだろうか。

 宇野役に杉田康氏。倉本技師役に杉裕之氏。この人は第20話「殺人回路」でも出演。新田技師役に、ジャン・ギャバンの吹き替え声優や「シルバー仮面」のナレーター役の森山周一郎氏。最近では「紅の豚」と言った方が通じるか。円谷同時期作品の「マイティジャック」では秘密組織Qの幹部役としても。冒頭のサイケバーの客として円谷一監督がチョイ出演。


 
【第3話:白い顔】 1968.9.29 制作第3話
●脚本:金城哲夫,上原正三 監督:飯島敏宏 特技:的場徹
 とある商社ビルの中。岡田は同僚の水上順子をデートに誘うが、あっけなく断られてしまう。気落ちした岡田は一服しようとタバコを取り出しライターを点火した。途端、岡田の体は炎に包まれた。その頃水上順子は地下駐車場で不気味な白い顔の男に遭遇していた。
 調査にあたるSRI。岡田の遺留品であるライターに針先ほどの穴を発見するが何の穴かはわからなかった。牧・三沢・野村の3人は、事件の直前まで岡田と一緒にいた水上順子を訪ねて箱根の山荘へと向かうが、順子は知らないの一点張りだった。
白い顔の男  順子は山荘に住む父親が唯一の肉親だった。順子は父親を愛し、父親もまた順子を愛していた。順子の父・水上幸一郎は実験で顔に大やけどを負い、それ以来人目をはばかり、顔に包帯を巻いて生活していた。この包帯は順子の前でも決して取ることはなかった。そんな父に順子は不満を感じていた。
 順子は父に“会ってほしい人”がいることを告げた。幸一郎は快く承諾した。しかし翌日、その恋人・池谷は順子の前に姿を現さなかった。箱根へ向かう途中に事故で死んでいたのだ。
 その頃SRIではライターの穴がレーザーによって開けられた事、池谷が順子と恋人同士である事、この池谷の事故もレーザーが原因である事、さらに順子の父・水上幸一郎がかつてレーザー研究の権威であったことを掴んだ。牧と三沢は事件解明のために箱根の水上父娘のもとへ急ぐのだった。

 たった二人の父と娘。お互いを愛し、慕う父と娘。妻は火傷を負った顔の為に自分のもとから去っていった。そんな孤独な心の支えはたった一人の娘。妻のように自分のもとから去ってしまうことを心底恐れ、素顔は見せず。そして年頃となった娘に迫る男を片っ端から…。

 箱根で白い顔の男と対峙する牧と三沢。三沢はワナで足を負傷し、牧も白い顔の男を追うも、乗っていたボートにレーザー攻撃を受けてしまう。
 ボートの爆発を逃れ、水上邸に戻った牧の前に姿を現す白い顔の男こと水上幸一郎博士。秘密を知った牧を地下室で始末しようとするが順子に阻まれ、そのはずみで実験装置がスパークしてしまう。さらにそれが原因となり邸が炎に包まれてしまう。
 後日、警察の手によって逮捕される水上博士。その顔は包帯が解かれ、ヤケド跡を露わにした顔だった。順子が初めて見る素顔の父。だが娘は母親とは違い、父親に抱きついた。父への愛は不滅だった。

 事件解決後、SRI本部では次郎少年にレーザーを使った実験を披露する。この後次郎少年の顔にケーキがぶつかってしまい、クリームを拭うと白い顔(マスク)が出てきてEDへとなだれ込む。なかなか面白い見せ方である。
 水上幸一郎役に森幹太氏、娘の順子役に市川瑛子氏。
 この話は撮影開始時に諸事情によりスタッフが総入れ替えとなり、撮影も福沢康道から稲垣涌三へと変更になったが、EDのクレジットではその修正がされないまま。


 
【第4話:恐怖の電話】 1968.10.6 制作第4話
●脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄 特技:大木淳
炎上する水野  とある夜、滝口家にかかってきた1本の電話。応対をした滝口令子は父へと取り次ぐ。二言三言の会話の後、異様な音がしたと思った瞬間、父親の体は炎に包まれていた。
 早速調査にあたるSRI。焼けこげた電話機。牧は令子の証言から空中放電ではないかと仮定する。そして起こる第2の事件。被害者は保険外交員の水野。タバコ屋の店先に設置された赤電話での会話中に炎上した。一緒にいた令子はまたもショッキングな場面に出くわしてしまう。三沢は、なぜ水野と一緒にいたかを令子に問うが、令子は答えようとしない。
 牧は現場検証で、タバコ屋の婆さんから異音が聞こえたと聞くが、どんな音かは耳が遠いためによくわからなかったと言われる。この音を確かめるために牧は令子を無音室へ入れ音を確かめさせる。しかし三沢はその行為をやりすぎと非難し令子を解放、牧とは別行動で調査を開始する。牧は音の正体が超音波であること、そしてその超音波を受話器の増幅器を使い熱線に変えた犯行であることに気づいた。
 三沢は町田警部から、令子の父と水野は戦友であり、先頃戦友会で会っていたことを知らされた。戦友会出席者は他に小川時計店店主と大和電気社員岡島の4人。
 その頃牧は、超音波の発信元が団地の空室で、以前そこには大和電気社員の岡島が住んでいたことを突き止めた。

無音室の令子  マニア大喜びの実相寺監督作品。でもこの話、個人的にはあまり好きくなかったりします。スンマセン。

 三沢は大和電気で岡島に会っている令子を見つけた。だが令子は何か後ろめたいのか、逃げようとする。三沢は令子を病室に送り届け話を聞こうとするが、やはり口をつぐむ令子。そこへ岡島から令子宛に電話がかかる。間一髪で飛び込んできた野村の助言でたたき落とされた受話器は次の瞬間火をふいた。自分までもが狙われていることを知った令子は、それまでかたくなに閉じていた口を開いた。
 戦時中、南の島で奪った財宝を小笠原に隠していた令子の父たち。小笠原がアメリカから返還されるのに伴い、それを取りに行く相談をするために戦友会を開いていたのだという。令子はそんな父の過去を恥じ、父が絡んでいた事を秘密にしてくれるよう、水野たちに会っていたのだという。だが岡島はそれを独り占めするために仲間を次々と…。
 令子殺害に失敗し、小川時計店への電話も逆探知をされて居場所を突きとめられてしまう岡島。SRIと警察に追いつめられた岡島は車で逃走を謀るも、ハンドル操作を誤り壁に激突してしまうのであった。

 よく、「怪奇大作戦では牧をヒーローとして見ていた」という人がいる。たしかに牧の活躍は目立つし、例えば第12話「霧の童話」のように三沢がメインを張る作品でも牧は脇でサポートする係りとして活躍をしている。しかしこの回、令子を無音室へ入れ、音を調べる場面では狂気すら感じさせる。苦しむ様を見かねた三沢が令子を部屋から出すが、牧は実験を中断させられた事に怒り、さらに顔色一つ変えずに「」のセリフ。
 元々この話は怪奇大作戦の前身案「チャレンジャー」の一編、「死神と話した男たち」として書かれた話。そのためキャラクターの性格付けなどが後の本編とは若干違っているのだ。

 滝口令子役に、ウルトラQで江戸川百合子、ウルトラマンでフジアキコ隊員を演じた桜井浩子氏。それまでの桜井氏の演じたキャラクターとは性格が正反対の役柄である。桜井氏はウルトラセブンでは欠番の第12話に、マイティジャックでは第9話(制作第1話)にもゲスト出演していて、Q〜怪奇と言う円谷特撮黄金時代作品郡を制覇したすごい人だ。(快獣ブースカにももちろん出てます。)
 岡島役に武藤英司氏、小川時計店店主役に湊俊一氏、タバコ屋の婆さん役に三戸部スエ氏。


 
【第5話:死神の子守唄】 1968.10.13 制作第5話
●脚本:佐々木守 監督:実相寺昭雄 特技:大木淳
 謎の猟奇殺人事件発生。被害者の女性は見事なまでに凍っていた。調査を始めたSRIは、被害者の身体から強烈な放射能を検出する。そんな中、三沢は現場に集まった野次馬の中の一人の女が目に付いた。彼女はヒット曲「死神の子守唄」を歌うシンガー高木京子。事件は彼女の歌のとおりに起こっていた。
 検屍に立ちあった牧は、被害者の白血球と赤血球が入れ代わろうとしている様を見せつけられた。それは原爆病を治すと言われている“スペクトルG線”を浴びせた血液の特徴であることを知る。しかしスペクトルG線は水爆以上の熱量を必要とするため、実験は取り止められたはずであった。牧はそれを逆に超低温度でスペクトルG線を考え出した人物がいるのではないかと考える。
 高木京子は山中に住む科学者の兄・貞夫に会いに行き、人体実験を始めたことを問いつめた。はじめは否定する貞夫だが、ついに実験を認める。猟奇殺人はこの男が犯人だったのだ。そしてまた一人、高木京子の歌の通りに女性が死んでゆく…。
 三沢は高木京子に接触し歌の方面から、牧はスペクトルG線の方面からそれぞれ事件を追い、麻生博士という放射線医師のもとで合流する。そして、スペクトルG線の研究をしていた吉野貞夫という男が5年前に姿をくらませたこと、高木京子は、戦時中広島にいた母親の胎内で被爆していて、重度の白血病患者であるという事がわかった。
 本部に戻った牧は、さおりの芸能雑誌から高木京子の本名が吉野京子であることを知る。吉野京子と5年前姿を消した吉野貞夫。超低温度のスペクトルG線を用いたと思われる連続猟奇事件。全てが一本の線でつながった。

 第4話に続く実相寺−佐々木コンビ作品。とにかく暗い。そして体内被爆というあまりにも重いテーマを扱った作品である。子供番組とは思えないほどの内容だ。欠番のウルトラセブン第12話(監督/脚本も同じ)も似たようなテーマと言われているが、本作に比べたら全然子供向けの『テレビまんが』である。それはセブンが『空想特撮シリーズ』、怪奇大作戦が『現代の怪奇シリーズ』である事を言ってしまえば一目瞭然だ。

 妹を思うが故の無差別人体実験。たとえそれが無差別殺人になろうとも…。
 吉野貞夫が犯人である事をつかんだ牧による説得シーンは見所のひとつ。
 「
吉野「君に答えられるかっ!?
牧「………  「
 「
 「
 「
 「
 「
 「
 「
 劇中歌「死神の子守唄」のギターメロが悲しげにかかる1シーンである。

 野村の通報により警官隊が吉野を取り囲む。そして逮捕され、後は麻生博士に頼めと言い残し、連行される吉野。だが実験が完成しないことを悟ったのか、それとも万に一つの可能性にかけたのか。
 「
 三沢の目の前でそうつぶやき、京子は自分にスペクトルG線を発射する。凍ったその躰は眼下の墓地の柵に刺さった。
 蜂に刺されて4人目が死んだ…。

 タイトルでもある作中曲「死神の子守唄」。その作詞は脚本担当の佐々木守によるもの。始め10人で旅立った娘たちが1人ずつ死んでゆくというとんでもない内容で、作中ではその歌詞どおり、歩道橋をガケに見立てて娘が落ちて死んだり、ショベルのバケットを熊に見たてて熊に食われて死んだりと(「食われて」だから熊の口と見立ててるのか)。
 吉野貞夫役の草野大悟氏は、岸田森氏らと劇団「六月劇場」を立ち上げた盟友。高木京子役に深山ユリ氏。麻生博士役に戸浦六宏氏。隠れキャラ(?)として、ウルトラQの一平こと西条康彦氏が楽屋番として出演している。


 
【第6話:吸血地獄】 1968.10.20 制作第6話
●脚本:金城哲夫 監督:円谷一 特技:的場徹
吸血鬼  ドライブを楽しむ恋人同士の山本周作とニーナ朝倉。だがその最中二人の乗った車が事故を起こしてしまい、ニーナは死んでしまう。浅倉家で行われた葬儀の場で悲しむ周作。しかしニーナの養父は周作を敵のように怒鳴りつけ、邸から追い出した。
 雷鳴轟くその晩、ニーナは息を吹き返した。それも血を求める恐ろしい吸血鬼となって…。
 他人の血を吸わないと生きていけない体となった吸血鬼ニーナ。48時間ごとに新鮮な血液を求めるその牙は、ついに養父に向けられた。血を抜き取られた変死体であるという事からSRIにも調査依頼がされた。聞き込みで、浅倉夫人から犯人は周作だと聞かされる。その周作は、蘇生したニーナと共に姿をくらませていた。
 その頃別府で似たような事件が起きていることが判り、牧と野村は大分へと飛んだ。現地の刑事と合流した二人は偶然にも周作とニーナを目撃する。牧は野村に二人の後を尾行させる。
 ニーナは朝倉夫妻がポーランド大使館勤めの頃に養女として迎えた子で、孤児院の話では雪の中で凍死していたにもかかわらず息を吹き返したのだという。この事を本部からの連絡で聞いた牧は驚愕した。赤ん坊の頃に一度死に、蘇生した娘。そして今度の事故。2度までも息を吹き返したニーナという娘は一体何者…???

吸血鬼ニーナ  シナリオタイトルから「吸血地獄篇」と明記されることも。

 2人の宿泊先ホテルを押さえ、部屋を見張る野村。しかし背後から周作に襲われ捕まってしまう。その時野村の見たものは、醜い吸血鬼に変貌したニーナの姿だった。探しに来た牧の声に気付いた周作とニーナはその場から去り、野村はピンチを脱する。ニーナが吸血鬼だということを牧に笑い飛ばされた野村は再度2人の部屋に赴くが、そこには周作の書いた置き手紙が残されていた。

 異形のものとなったニーナに安住の地はない。そんなニーナを愛した周作にも。二人の逃避行は続く。たとえ終着点がこの世にはないとわかっていても。
 無人島へ逃げた2人を追う警察とSRI。血を欲するニーナに自らの血を与える周作。そして覚悟を決めた周作はニーナを抱きかかえ、ガケから身を投げて別世界へと旅立っていった。
 浜辺に倒れたニーナの顔は、元通りの娘の顔に戻っていった。ニーナは本当に吸血鬼の末裔だったのか、それとも事故のショックで何らかの病気となってしまったのか。それは誰にもわからない。

ニーナと周作  ジャンル別LDでは「恐怖人間SP」に収録されていたこのエピソード。人間が怪人になるという点では確かに「恐怖人間」だが、内容的に「現代の怪奇」というよりも「現代のホラー」といった感じの仕上がりとなっている。さらに怪奇大作戦を科学犯罪ドラマとして捉えた場合、どうしても違和感を感じてしまう。
 ニーナの死という結末で幕を閉じるも、物語の鍵であるニーナの謎がわからず終いのこの話。未解決ものとしては第22話の「果てしなき暴走」などもあるが、それよりも何かが引っかかる。「果てしなき〜」は車という近代科学アイテムが出てくるが、こちらは先述どおり直球とも言えるホラー的ストーリーであることも原因の一端か。
 改めて見返して、周作と「白い顔」の水上博士とが、どこか似ているような気がした。片や妻に逃げられた水上博士、片や父親の汚職事件で人間不信となった山本周作。順子とニーナはどちらも寂しい心のよりどころだ。どちらも金城脚本(第3話は途中で上原正三にタッチしてるが)。人間ドラマというか恋愛ドラマというか、そういう見方をするとなかなかいい感じかなと。

 山本周作役に、後年「ウルトラマンA」のTACの梶研究員を演じる中山克己氏。別府で会う刑事役には、前作「ウルトラセブン」でマナベ参謀を演じた宮川洋一氏。ニーナ浅倉役はローラ・マン氏で、吸血鬼役は飯田テル子氏。この人は「8時だヨ!全員集合」のコントでも老女幽霊を演じていた。


 
【第7話:青い血の女】 1968.10.27 制作第7話
●脚本:若槻文三 監督:鈴木俊継 特技:高野宏一
 久しぶりに会った友人・鬼島明宅でくつろぐ三沢。家の前で見かけた鬼島の父・鬼島竹彦の事を口にしたとたん鬼島夫妻の顔色は曇り、鬼島は父と確執がある態度をとるのだった。急にテレビの映りがおかしくなったところで話にキリをつけ、三沢は鬼島の誘いを受け一泊することにした。
 その晩、就寝中の三沢を何者かが襲ってきた。間一髪でよけた三沢だが、手の甲に傷を負ってしまう。同じ頃、帰宅途中のサラリーマンが刃物で殺されていた。警察の調査で、三沢の手の傷がサラリーマンと争ったときの傷であると見られ、事件の容疑者となってしまう。確固たる証拠がないため容疑がグレーゾーンのまま釈放される三沢だが、その帰り道にまたも何者かに襲われてしまう。
殺人人形  三沢の事件を知った鬼島は、一人暮らしの父・竹彦の家を訪ねる。しかし竹彦はろくに会おうともせずに、鬼島は門前払いを食ってしまう。“子供部屋”に戻った竹彦は、ベビーベッドに横たわる何かに向かって話しかけるのだった。
 翌晩、専用車に乗り竹彦の家を見張っていた三沢は、酒に酔った竹彦と、竹彦をタクシーで家まで送り届けた女性に会う。近所に住むという女性を自分の車内に残して竹彦を邸内に送る三沢。しかし車内の女性めがけて何かがにじり寄っていた。恐怖を感じた女性はそのまま車で家に逃げ帰ってしまう。後を追う三沢だが、女性の部屋に着いた時には彼女は既に息絶えていた。
 警察署内。犯人は自分と女性を間違って殺したと力説する三沢だが、証拠がないため信じてもらえない。がしかし、今回も決定打がないことから容疑はグレー。三沢は何かの参考になるかもと、自分が襲われた時に鬼島宅でテレビ画面が乱れたことを告げた。それは警察の聞き込みと一致した。この事から、犯行時にテレビ画面を乱れさすほどの強力な電波が出ていることが判明した。
 調査の結果、電波の発信元は竹彦の家だった。

 懐かしTVの紹介番組なんかで怪奇大作戦が紹介されると、比較的この回が流れるのでけっこう有名かも。「怪奇大作戦」の「怪奇」を「恐怖もの」と考えた場合、この回の殺人人形はインパクト大、映像的にうってつけだ。

 警察と三沢が竹彦邸に踏み込むが門前払いをくらってしまう。その直後に響く竹彦の悲鳴。邸内に戻ると、竹彦の前には三沢を狙っていたあの殺人人形がいた。人形は刑事の発砲で破壊された。その時“子供部屋”から物音が聞こえた。竹彦はそこには4歳の女の子がいるだけだと入室を拒んだ。だが部屋に踏み込んだ一同が見たものは…。

 大人になり結婚し、独立していく子供を親は裏切りと思った。親は自分を裏切った子供を憎んだ。そして決して自分を裏切らない「あれ」を作った。「あれ」は老人の憎しみの念をキャッチし、殺人人形を操った。
4歳の女の子  「
 しかし、次第に「あれ」も自我を持ち始めた。
 「
 「
 「あれ」は部屋を飛び出し屋根の上へ。そして老人を捨てた自分を殺すために飛び降りた。裏切ってもなお最後まで忠実だった「あれ」。彼女から流れ出るのは青い血だった。人形にして人形でなく、もちろん人間ではない「青い血の女」─。
 都会に住む孤独な老人問題をあつかった秀作である。女性が殺人人形に襲われるシーンは、ホラー映画として見てもなかなかのスリル感がある。

 帰宅途中のサラリーマンが殺された際、三沢の手の傷がこの時争ったものだと見なされて容疑がかかるが、どういう調査でそこに解釈が辿り着いたのかが謎。踏み込む前日に、酔った竹彦を邸内に送り届けているはずの三沢との絡みが描かれてないのもちょっと不自然かと。30分枠(本編正味約25分)という時間のせいか、端折ってるのか。
 鬼島明夫役に山中紘氏。鬼島竹彦役に浜村純氏。
 幼い頃に人形が怖かったという話を見たのだが、後年ビデオでこの話を見て、その話がこれであったことがほぼ確定した。EDでうねうねと動く人形(とその影)が不気味だ。


 
【第8話:光る通り魔】 1968.11.3 制作第8話
●脚本:上原正三,市川森一 監督:円谷一 特技:的場徹
 北斗公団勤務の清水課長は部下の林陽子をタクシーで家に送り届けた。タクシーから降りた清水課長は、陽子に失踪した山本信夫から連絡はないか、何か預かっているものはないかとしつこく聞いた。陽子は困惑し、山本とは関係ないことを言い放ちアパートの階段を駆け上った。すると階下の課長がうめきだした。苦しみ、そして倒れ息絶える清水課長。倒れた課長の体の下からは、光る液体のようなものが流れ出した。
侵入する燐光人間・山本  警察の調査で、清水課長も目撃者の林陽子も怨まれるような人物ではないとの証言が取れるも、町田警部は陽子を洗う必要があるとにらんだ。
 一方SRIの調査で、ボゥっと青白く光る何か、そして玉子の腐ったような臭い−硫黄の臭いがしたという陽子の証言が取れた。ケミカルスプレーを散布した結果、死体周辺から燐反応が検出された。青白く光る何かは、光る人間−燐光人間と牧は考えた。検屍の結果、清水課長の死因は亜硫酸ガスによる中毒死と判定された。検出された硫黄は阿蘇のもの。
 さらに陽子のフィアンセである青木係長が殺されかけるという事件が起きた。公団の再調査の結果、山本信夫という男が三ヶ月前に失踪している事が判明。だが町田警部は山本は無関係と考え、あくまでも痴情のもつれとにらむ。
 山本信夫の出身地は九州の熊本。バカが付くほどの真面目男で、この男が事件に関係しているとは思えない。しかしかえってそれが牧を動かした。山本が借りていたアパートの部屋を調べたところ、部屋は硫黄臭にあふれていた。そこへ燐光人間が現れるが、野村の機転で追い払うことが出来た。
 山本が燐光人間を操っていると考えた牧は陽子の部屋を訪ねる。たが山本は故郷で自殺していると聞かされ、遺書を手渡される。そこへも現れる燐光人間。窓から侵入しようとする燐光人間をたたき落とす牧。燐光人間はマンホールへと消えていった。
 牧は事件の鍵を見つけるために的矢所長と共に阿蘇へと飛んだ。

 『会社のために』という考えが当たり前とも言える時代に生き、そして犠牲となった男の哀しい物語。さらには人間が人間以外のものになっても復讐を遂げるために生き続ける話、生き物の生への執着心を描いた話だ。

人間・山本の最期  牧と的矢は山本の自殺現場へと赴く。阿蘇の火口へ降りた牧は燐光人間の可能性を考える。人間が人間以外のものになっても生きられるのか?だがそれはもはや「人間」とは呼べない。「恐怖人間」である。
 燐光人間=山本と断定した牧は、何でもいいから思い出してくれと陽子に食いさがる。そこで陽子は山本から1冊の本を預かっていた事を思い出す。本からはコインロッカーの鍵が出てきた。ロッカーの中からは、公団の汚職の証拠を記した帳簿が出てきた。山本は汚職の詰め腹を切らされていたのだ。
 汚職事件が片づき、陽子と青木係長の結婚式が行われた。だが陽子を自分の世界へ道連れにしようと考えたのか、結婚式場に姿を現す燐光人間・山本。あらかじめそれを見越していたSRIは陽子そっくりのマネキンを用意し、近づいた山本めがけ火炎瓶を放ち、山本を本当に眠らせてやるのだった。

 準備稿及び、影丸譲也によってコミックス化された同話では、燐光人間は本編同様アメーバ状になるも、復讐時は人間の形にもなる。「美女と液体人間」のような東宝の変身人間シリーズに近い感じだ(ちゃんとそれを映像で見せてくれた方が、視聴者的にも牧の『燐光人間』という考えをスムーズに受け入れられるんだが)。
 怪奇の前身案「チャレンジャー」では、この東宝・変身人間シリーズをベースとした話が考えられていた。とするとこの話は、手掛けた脚本家こそ違えど、金城哲夫の考えていたイメージに近いエピソードの1つなのかもしれない。(シナハンの阿蘇旅行には同行していたそうだが)
 林陽子役には、「ウルトラQ第5話/ペギラが来た!」での紅一点、田村奈美氏。そのフィアンセ、青木係長に中村孝雄氏。

 一般的イメージの九州男児らしからぬ性格の山本。その逆に、一般的イメージの九州男児らしさという性格設定の三沢。ストーリーを根本から変えてしまうかもしれないが、山本をもう少し三沢に近い位置の人間(例えば幼馴染みとか)に置き換えて、さらに牧ではなく三沢をメインに持ってきて、山本と絡ませてみたかった気も。三沢の持ち合わせた、『情にもろいヒューマンさ』というのが生かされたかもしれない。


 
【第9話:散歩する首】 1968.11.10 制作第9話
●脚本:若槻文三 監督:小林恒夫 特技:大木淳
 夜毎起こる交通事故。タクシーやトラックの運転手の間では「散歩する首」という噂が囁かれており、これが事故の原因ではないかと言われていた。
散歩する首  その噂はSRIにも届いたが、牧は世田谷で起きた死体遺棄事件に興味を示していた。死体から『ジキタリス』の成分が検出された変死体。ジキタリスの葉には猛毒があり、その成分には強心作用があった。事故死ではない別の殺しかと問う的矢所長だが、検屍の結果、死体はあくまでも交通事故死だったと牧は言う。
 夜の山道を走る1台の車。運転する星野は会社の金を使い込んでいた。しかもそれを、同乗している同僚の律子に知られていた。この事から、律子は星野が自分を殺そうと考えていることを察していた。二人きりではいつ殺されるかわからない。これを防ぐため、星野の反対を振り切り、途中で出くわしたハイカー二人を同乗させた。しぶしぶ運転する星野。すると目の前に女の首が現れた。驚いた星野はハンドル操作を誤り、車を崖下に転落させてしまう。
 奇跡的に助かった星野。しかしその星野が首を見たという事から、牧が現場へと赴いた。
 死体の仮置き場である山小屋に案内された牧だが、そこで会った事故の発見者という男に見覚えがあった。牧の友人の勤める大学の研究室で見かけた男。ある植物から、米や果物、野菜などの生長促進を高める特殊なガスの開発に成功した男。だがその植物のもつ、生物に対する強心作用実験を巡って研究室長と対立し、そして自ら研究室を去った男。名前を峰村。その植物は『ジキタリス』…!牧は繋がりを感じざるを得なかった。

 同時期に放映されていた怪奇もの番組とは一線を画した番組である「怪奇大作戦」。作品の説明のために見せる映像としては、この話は先の「青い血の女」とは違った意味合いでのビジュアルインパクトのある話だ。何しろ、『生首』という恐怖アイテムがそこにあるのだから。

 小屋に戻った星野は、律子の死体が棺桶から消えているのに気付く。警官の証言で部外者の侵入は無いという。死体消失の報せを受けた的矢は、大学の研究室から去った後の峰村の消息を牧に知らせ、さらに現場へと赴いた。現場付近にある峰村の研究所には、ベッドに寝かされ、実験装置を装着された律子の死体があった。さらに部屋を調べる牧と的矢は首のトリックを見つけ、隠れていた峰村を発見する。
 黒装束に女のマスクとカツラ。これこそが暗闇に浮かび上がる『散歩する首』の正体であった。さらに場合によっては人形の生首や、鏡を使ったトリックをも併用していたのだ。運転手たちを脅かし事故を誘発させ、そして死体を実験のために…。
 「
 「

 律子の死体が横たわる峰村の実験室にいる星野。近づく足音に気づき、嘘泣きで同情を誘おうとする。だがその時律子の死体の上半身が起きあがり、何かを言いたそうに星野を指さし、そしてうなだれた。
 死体の状態からして律子は確かに昨夜の事故で死んでいる。牧たちがやってくる直前までやっていた実験では、ピクリともしなかった律子。はたして律子が起きあがったのはジキタリスのせいなのか、それとも…。
 自らの欲望のために犯罪を犯した2人の男。恐怖のあまり悲鳴をあげる星野と、実験が成功したと狂喜する峰村であった。

 星野役に笠達也氏。律子役に都築克子氏。番小屋の婆さん役に本間文子氏。峰村役は「マイティジャック第5話/メスと口紅」の水棲人サイボーグ1号・新庄誠の鶴賀二郎氏。改めて見ると、首よりも番小屋の婆さんの方がよっぽど不気味だ…。
 冒頭のプラッシーはスポンサー絡みのご愛敬(笑)。


TOP  解説1  解説2  解説3  スタッフ  グッズ  音楽  会員手帳  ‖  メニュー