米国で日本アニメのテレビ放送を数多く手掛けてきたカートゥーンネットワーク(CN)の日本アニメ離れが鮮明になってきた。
9月11日に新たに更新された同局のテレビ番組表で、土曜日深夜の放映枠「アダルトスイム Adult Swim」から、日本アニメ番組が大きく削られていることが明らかになった。同局の日本アニメ放映後退の動きとして、現地のメディアやファンの間に波紋を呼んでいる。
今回の番組放映時間の改編では、日本アニメの中で『NARUTO』と並んで人気の高い『BLEACH』が、従来の放映時間12時半スタートに代わり11時スタートに繰り上げられる。また、11時半からは、日本で新シリーズの制作発表が行われた『鋼の錬金術師』の再放送が入る。
『BLEACH』の放映時間繰上げは、人気シリーズの放送をより早い時間に放送することで、視聴率の底上げを狙っていると言える。同様に米国でかつて絶大な人気を誇った『鋼の錬金術師』の再放送は、確実に視聴率が稼げるという読みがありそうだ。さらに、日本での新シリーズ発表から、人気の持続を必要と判断した可能性もある。
しかし、一方で、これまで深夜0時から2時間連続放送していた日本アニメの放映枠、深夜3時からのそのリピート放送枠は消える。全体としては、日本アニメの放映時間は大幅に削減される。
これまでこの枠で放映されていたのは『BLEACH』、『クレヨンしんちゃん』、『コードギアス反逆のルルーシュ』、『精霊の守り人』である。このうち『クレヨンしんちゃん』の放映は打ち切られる。
さらに『コードギアス反逆のルルーシュ』はリピート放送なしで翌朝5時から、『精霊の守り人』は5時半からの放送となる。この時間帯はこれまで旧作アニメの再放送に利用されていた時間で、視聴者を集めるにはかなり不利な時間帯である。
CNとその深夜放映時間を同じチャンネルでシェアするアダルトスイムは、1990年代後半から2000年代初頭にかけて数多くの日本アニメを放送してきた。
同局はケーブルテレビのなかでは、無料で視聴出来るベーシックチャンネルに組み込まれることが多い。このため日本アニメ普及の大きな牽引となっていた。
しかし、ここ数年は、CN、アダルトスイムとも、日本アニメの放映時間を次第に減らすようになっている。その理由は、アニメにテレビコマーシャルがつき難くなっていることや、CNが自社製作の作品を優先して放映するようになっていることなどである。
一方で、長年好調とされてきたCNとアダルトスイムの視聴率は、ここ数年で急激に勢いをなくしている。日本アニメの視聴率が以前ほど稼げなくなっている一方で、自社製作番組の視聴率も思うように伸びていないためである。今回の番組改編は、こうした複雑な流れの中で決まったアダルトスイムの新方針と言えるだろう。
一方で日本アニメは、CNやアダルトスイムと比べてよりマイナーなチャンネルであるSi-FiチャンネルやIATVなどでの放映を急激に増やしている。
こうした放映は、アニメファンにとってはCNやアダルトスイムの代替となる。しかし、アニメが大衆的な視聴者から離れ、よりマニアックな視聴者に向けたジャンルに向っているとも言えるだろう。
カートゥーンネットワーク http://www.cartoonnetwork.com/
アダルトスイム Adult Swim http://www.adultswim.com/
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