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 フォーリン・アフェアーズ日本語版 

  
 
フォーリン・アフェアーズ本語版9月10日発売 2008年9月号
 
 フォーリン・アフェアーズ日本語版は――
 フォーリン・アフェアーズ邦訳論文   
 同誌を発行する米外交問題評議会(CFR)による研究リポート
 時事問題を考える上で有益なCFR研究員へのインタビュー、研究会の議事録
     ――で編集されています。
   
 

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今月のフォーリン・アフェアーズから

 
 

Campaign 2008

 
 
次期米大統領に求められる資質とは
 
   
 次期大統領が直面する遠大な課題 
 

リチャード・ホルブルック/元米国連大使

 

 マケインは自分のことを『リアリスト』、また最近では『理想主義的なリアリスト』と呼ぶことを好むが、彼の各問題に対する立場をみると、マケインといわゆるネオコンの立場が似ていることを無視することはできない。
 (一方)オバマの政策の特徴は、あらゆる課題を前向きに進化させていくとしている点にある。彼は、変化し続ける新しい現実に適応できるように、古い、硬直化した政策を調整していくとし、アメリカのパワーと影響力を強化する手段としては外交が最善であると強調している。……二人の立場の違いに目を向ければ、オバマとマケインが、……『世界におけるアメリカの役割』についての二つのビジョン、そして外交に対する異なる二つの態度を示していることがわかるはずだ・・・

 
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 アメリカは再び希望の地になれるのか
――恐れの文化を克服し、希望の文化を再生するには
 ドミニク・モイジ/フランス国際関係研究所特別顧問
 狂信的なテロリストがアメリカを打ち負かすことはあり得ない。だが、偉大な民主的原則を踏みにじることで、アメリカは自らを滅ぼそうとしている。すでにアメリカのイメージは自由の象徴から、抑圧の象徴に変化している。新しい世界のためにも、そして、恐れの文化を克服し、アメリカをユニークな存在としてきた希望の文化を取り戻すためにも、アメリカを再生しなければならない・・・ 
 

   
 
グルジア・ロシア紛争後の
 
 
米ロ・米欧関係を考える
 
  
 CFRインタビュー
NATOの東方拡大に反発したロシア
 

F・スティーブン・ララビー
/ランド研究所ヨーロッパ安全保障問題担当議長

 

今回のロシアの動きは、旧ソビエト地域に欧米の影響力、とりわけNATOの影響力が入り込んでくるのを押し返そうとする試みだった。とはいえ、NATOの一部メンバーは、(NATOへの加盟を望んでいる)グルジアやウクライナがヨーロッパの一部なのかどうかについて確信が持てずにおり、われわれは防衛上の確約を旧ソビエト諸国に与えることには慎重でなければならない・・・

 
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 「ヨーロッパ」の第二次東方拡大か、
 ロシアの勢力圏拡大か
――今後の「ヨーロッパ」の安定の鍵を握る
   黒海・カフカス地域
 ロナルド・D・アスムス/元米副国務次官補
 
 

1990年代は中央・東ヨーロッパに民主主義を定着させることが課題とみなされていた。だが現在は、さらに東側のヨーロッパとアジアが出会うユーラシアを安定化させるというさらにむずかしい課題にわれわれは直面している。トルコ、ウクライナ、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンなど、バルカン半島から黒海、南コーカサスにいたる地域の安定化が問われている・・・

 
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 CFRミーティング
グルジア紛争後の米ロ関係
 

◎スピーカー
スティーブン・セスタノビッチ
/米外交問題評議会ロシア・ユーラシア担当シニア・フェロー
◎司会
チャールズ・A・クプチャン
/米外交問題評議会ヨーロッパ担当シニア・フェロー

 

 ロシア人は当時から、コソボを独立させれば、アブハジアや南オセチアでの問題を煽ることで報復すると語っていた。ワシントンはこれを口先だけの脅しにすぎないと考えていた。だが、ロシアは実際に言葉どおりの報復策をとってしまった。これは、欧米がロシアのコソボ問題への思い入れを無視し、NATO拡大策をとり、中央ヨーロッパへのミサイル防衛の配備を進めてきたことに対するモスクワの不満がいかに大きいかを軽く見ていたことを意味する。(C・クプチャン)

 
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 CFRインタビュー
ロシアとグルジアの軍事衝突の余波を考える
一時的な衝撃に終わるか、それとも米欧はロシアへの認識を変えるのか
 

スティーブン・セスタノビッチ
 /米外交問題評議会ロシア・ユーラシア担当シニア・フェロー

 「いまやロシアは経済的に繁栄し、自信を深め、地政学的な影響力を強めたいと考えている。こうした認識を背景に、周辺諸国が離反していくという一連のトレンドを阻止し、これを覆す機会を今回見いだし、行動に出たと考えられる」。グルジア紛争に関するロシアの思惑をこう分析する米外交問題評議会(CFR)のロシア専門家、S・セスタノビッチは、「停戦合意の結果、ロシアはグルジアのかなりの領土を占領することになるかもしれない」と予測する。だが、より重要なポイントは、「今回の紛争を機に欧米がロシアへの見方を変えるかどうかだ」と同氏は言う・・・ 
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 CFRインタビュー
グルジア紛争を解決するには
――米専門家5人に聞く
 
 ドミトリ・トレーニン/カーネギー国際平和財団モスクワ・センター副所長、ラジャン・メノン/ニュー・アメリカン財団研究員、・アリエル・コーエン/ヘリテージ財団シニア・リサーチフェロー、チャールズ・A・クプチャン/米外交問題評議会ヨーロッパ担当シニア・フェロー、アラン・メンドーサ/ヘンリー・ジャクソン・ソサイエティ・エグゼクティブ・ディレクター
 ロシア政府は、今回の行動は、南オセチアとアブハジアという分離地域におけるロシアの市民権を持つ人々と平和維持部隊を守るために必要だったと表明している。ブッシュ大統領は米軍に対して現地へ人道支援物資を届けるように命令し、モスクワに対して「紛争を終わらせるという約束を守るように」と要請している。以下は、「今回のグルジア紛争を経て永続的な平和が実現するか」というテーマでの5人の専門家へのインタビュー・・・
 
 

 米中戦略経済対話の継続を
 ヘンリー・M・ポールソン/米財務長官
 中国がアメリカに取って代わるのではないかと心配する声もあるが、それは杞憂というものだ。真に懸念すべきは、北京が重要な改革をしないかもしれないこと、そして、北京が改革の途上で重大な経済的困難に直面するかもしれないことだ。中国経済が大きなトラブルに見舞われれば、アメリカとグローバル経済の安定も脅かされる。米中戦略経済対話は、グローバル経済の成長を維持する戦略原則から、米中関係を再定義へと向かわせた。(この対話枠組みは)両国の政策立案者に前向きなインセンティブを与え、両国関係の基盤をたんなる協調から共同運営へと進化させ、最終的には純粋なパートナーシップとして開花させていく機会を提供している・・・
 
 

    
 なぜアメリカのキリスト教徒は
ユダヤ国家を支持するのか
――旧約聖書がつなぐアメリカとイスラエル
 ウォルター・ラッセル・ミード
/米外交問題評議会シニア・フェロー
 

アメリカのユダヤ系コミュニティーがまだ大きくも強くもなく、イスラエルロビーなど存在もしなかった19世紀末に、アメリカにおけるキリスト教系の各界指導者たちは、すでに、「聖書の地」にユダヤ人国家を建設する外交努力を支持する態度を明確にしていた。……孤立し疎外された民であり国であるユダヤ人とイスラエルを支援することが、しばしばアメリカの評判を落とし、別の問題をつくることになっても、アメリカ人は気にしない。アメリカがイスラエルの保護者、ユダヤ人の友人という役割を引き受けたのは、神が特有の運命を与えられた国という自らの地位を正当化するためでもあった・・・

 
 

  
 CFRミーティング
宗教と中国の将来
――宗教と市民社会、経済を考える
 ◎スピーカー
アダム・ユエット・チャウ/ロンドン大学社会人類学教授
リチャード・マッドセン/カリフォルニア大学社会学教授
ロバート・ウェラー/ボストン大学人類学教授

◎司会
スーザン・R・ウェルド/ハーバード大学リサーチ・フェロー
   世界各地では宗教が社会に悪影響を及ぼし、民族間の対立意識や地方の不満に火をつけることにもなりかねないが、……台湾では世界の他の地域とは正反対のことが起きている。台湾の宗教は、特定民族間の対立を和らげ、中国本土との懸け橋の役目も果たしている。(R・マッドセン)
 中国では、現地のカルト宗教と地方当局との間で共生関係が生まれつつあり、北京の宗教に関する指令が、地方において文字通りに実施されることはほとんどない。(A・チャウ)
 
 

  
 

CFRブリーフィング
原子力発電へのシフトは本当に実現するのか

  スリーマイルやチェルノブイリでの原発事故以降、原子力産業はこの数十年にわたって衰退してきた。だが、ここにきて流れは大きく変わり、世界各地で原子炉の建設が進められている。流れが変化した要因は数多く考えられる。例えば、途上国でのエネルギー需要の高まりや地球温暖化対策の一つとして原子力発電が脚光を浴びていることだ。だが、世界の他の地域とは違って、アメリカでの原子力発電への再評価はそれほど進んでいない・・・ 
 

 

  
 

アフガニスタンを揺るがす
パキスタン部族地域のタリバーン
――パキスタン軍が国内のタリバーン掃討に
   力を入れない理由

 
 

イルファン・フサイン/ドーン紙コラムニスト

 

 パキスタン政府の意向とは裏腹に、タリバーン掃討に軍が力を入れない本当の理由は、インドがアフガニスタンでの影響力を強め、周りを包囲されてしまうことを恐れているからだ。パキスタン軍がタリバーンの掃討作戦に力を入れないのはこのためだ。軍を完全に管理下に置けるような強い政府がパキスタンに誕生しない限り、軍がインドに対して抱く敵対意識を一夜にして変えるのは非常に難しい・・・

 
 

 

  
 クラシック・セレクション
グローバル化する大学
 

ウィリアム・R・ブロディ/ジョンズ・ホプキンス大学学長

 ボーイングやIBM、インテル、マイクロソフトがそれぞれの産業で世界市場を席巻してきたように、高等教育の分野でも、一握りのグローバルプレーヤー、つまり教育分野における圧倒的強者が現れ、市場を制するようになり、21世紀は、「グローバル大学」の時代になるのだろうか。世界の学界から選りすぐりの教授陣と学生を集め、インターネットでつなぐ巨大研究教育機関としてのグローバル大学が出現するのか。しかし、「中国には20年前から、イタリアには50年以上も前から分校を持つアメリカの大学の学長である私に言わせれば、国際的な教育市場においてアメリカの圧倒的優位を不動のものにするのは、それほど簡単でもなければ、現実味があるわけでもない」。
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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