北京――中国で有機化合物メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児に腎臓結石が多発している問題で、同国衛生省は13日、メーカーの乳製品最大手、三鹿集団が製品回収に踏み切る数週間前、汚染の事実を既に掌握していたことが分かったと報告した。
一方、地元紙チャイナー・デーリーは、発症例は全国で140件に増えたと報じた。甘粛省では約59人としている。1人が死亡している。国営・新華社通信によると、同省の衛生当局者は1歳以下の幼児16人が腎臓の異常を訴えたとの連絡は7月16日に入っていたと述べた。
衛生省は、同メーカーが汚染の事実を把握しながら、早期に消費者に通知、回収を実行しなかった理由には触れなかった。同省は12日、全国的な調査の開始を発表、責任者には「厳重な処罰」を科す方針を示した。
同省によると、三鹿集団は8月の試験でメラミンの混入を確認していた。同社が衛生省などに汚染の事実を連絡した時期は不明だが、8月6日前に生産された製品約700トンの回収の発表は9月11日だった。同社には、ニュージーランドの企業も資本参加しているが、この企業は汚染された粉ミルクは海外に輸出されていないと説明している。
中国紙によると、三鹿集団の幹部は粉ミルクの品質に対する消費者からの苦情は3月と6月にあったが、原因を解明出来なかったと説明。8月に検査装置が外国から到着し、メラミンの混入を初めて確認したとしている。混入の経緯は不明。
新華社によると、腎臓結石の症例は7月中旬に発覚。中国の他のメディアは3月とも報じている。ただ、国家品質監督検査検疫総局などは迅速な品質調査に着手していなかった。
メラミンはプラスチック製品などの原料となる有機化合物で、摂取を続けると腎臓結石の原因となる。窒素を多く含み、食品のタンパク質含有量の測定値を高く見せることができるため、昨年、中国の業者が米国に輸出したペットフードに添加していたことが発覚、批判を浴びた。
中国では04年、必要な栄養素を含まない偽ミルクが出回り、乳児少なくとも12人が死亡、200人が栄養失調に陥る事件があった。偽ミルクを製造したメーカーは40社に上り、47人が逮捕されている。