【コラム】韓国軍、多国籍訓練への参加拡大を
韓国の半分ほどもある巨大な空中戦訓練場を持っているこの基地では、毎年世界最大規模の多国籍空中戦訓練「レッドフラッグ」演習が開催される。米国空軍が主催するレッドフラッグには、米国空軍・海兵隊・州兵のほかに同盟国の空軍も参加する。
先月開かれたレッドフラッグには、韓国空軍も参加。最新鋭機であるF15K戦闘機6機とパイロット20人余りをはじめ、整備担当・武装担当の要員など80人余りが参加した。韓国空軍のレッドフラッグ参加は16年ぶりのことだ。
メディアの大きな注目こそ浴びなかったが、今回のレッドフラッグ演習参加は、通常の訓練とは異なる象徴的な意味が少なくないようだ。まず、韓国国内では行えない実戦的な訓練の機会を持った、という点が挙げられる。レッドフラッグは、青チーム(友軍)と赤チーム(敵軍)に分かれて空中戦や地上爆撃の訓練などを行うが、仮想敵軍は高度の訓練を受けた「選手」ばかりだ。ベトナム戦争で米国空軍機が空中戦で敵機を撃墜する比率が急激に落ちたことを受け、1976年に空中戦機動訓練を専門に担当する訓練部隊を創設したのが、レッドフラッグ演習の出発点だ。それだけに、レッドフラッグ演習の赤チームは、ロシアなど仮想敵国の武器システムや戦術をほとんどそのまま駆使する。
今回の訓練では、ロシア・中国・北朝鮮の最新鋭機であるミグ29戦闘機やSu27戦闘機などの役割を受け持つ仮想敵軍が、韓国空軍のF15Kと仮想の空中戦を繰り広げた。またF15Kは、SA2など旧ソ連製の対空ミサイルで構成された防空網を突破し、最先端のGPS(衛星利用測位システム)誘導爆弾でスカッド・ミサイルなど地上目標を破壊する訓練も行った。SA2は現在、北朝鮮防空網の主力となっているミサイルだ。訓練に参加したある関係者は、「韓国でも似たような訓練を行うが、その規模や実戦性などは、レッドフラッグだけが持つ強みだ」と語った。
長距離空輸の経験や軍事外交なども、レッドフラッグ参加の副産物だ。韓国空軍は今回、外国軍の助けを受けずに自力でF15Kを整備して飛ばすために、50人余りの軍需専門要員とC130輸送機2機を投入し、韓国から米国まで必要な物品を運んだ。韓国空軍とともに青チームに参加したインド空軍は、最新鋭のSu30MKI戦闘機の整備を韓国に委託し、友情飛行まで提案するなど、積極的な接近を行ったこともあった。
久しぶりに海外での訓練に参加した空軍とは異なり、韓国海軍は1990年以降、「リムパック(RIMPAC、環太平洋合同演習)」と呼ばれる世界最大の隔年開催多国籍連合演習に継続して参加してきた。今年のリムパックは7月まで米国のハワイ近海で実施され、韓国海軍は韓国型駆逐艦(KDX‐Ⅱ)「文武大王」艦(5000トン級)など水上艦2隻と209級潜水艦「李舜臣」艦、P3C海上哨戒機1機、対潜ヘリコプター「リンクス」2機などを派遣した。参加戦力としては今までで最も規模が大きい。韓国海軍は1990年代、リムパック演習に参加する他国の艦が5000トンを超えるのに対し、大きさが3分の1にすぎない艦で参加し、海軍力劣勢の悲哀を切実に感じた。このことは、イージス艦まで保有する現在の海軍力を建設するに当たり、刺激の役割を果たしたという。
李明博(イ・ミョンバク)大統領はじめ行政当局は、国連平和維持活動への参加など、韓国軍の国際的役割の拡大を強調している。韓国軍が海外の大規模演習に参加することは、そうした役割の拡大のためにも一層必要だと考えられる。
ユ・ヨンウォン記者
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