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ベトナムで苦戦する韓国企業(下)

◆なぜ韓国だけが投資を減らしたのか

 しかし通貨危機のうわさにもかかわらず、ベトナム全体では今年に入って外国からの投資が増加している。今年7月までの時点でベトナムに投資された額は444億ドル(約4兆8600億円)で、昨年同期に比べると5倍も増加した。伝統的にベトナムへの投資が多い台湾やシンガポールはもちろん、日本や米国なども投資に熱を上げている。

 ではなぜ韓国だけが投資を減らしているのだろうか。ホーチミン貿易館のイ・ソンフン館長は、「繊維・縫製や不動産にばかり集中して投資を行ってきたのが問題だ」と指摘した。

 現在ベトナムに進出している韓国企業は1500社以上あるが、その中で繊維・縫製関係の企業は3分の1の500社以上に達する。建設・不動産関連の企業も200社以上だ。ウリ銀行ホーチミン支店のクォン・ジュス支店長は、「ベトナムの高成長と低賃金から恩恵を受けやすい分野が繊維と不動産のため、誰もが深く考えずに投資を行っていたという側面がある」と述べた。

 これらの業種は現在、ベトナムの経済危機の直接の影響を受けている。25%以上のインフレの影響で、賃金上昇やストが最大のリスクとなっているのだ。サムジン・インターナショナルのパク・ジュンホ代表は、「賃金を引き上げても従業員を雇うのはさらに難しくなっている」と語る。従業員1万人以上を雇用するファスンビナ、テグァンビナなどは、必要な人員の70%で何とか工場を動かしている。

 錦湖建設ベトナムのノ・ギョンヨン支社長は、「ベトナム開発事業関連のファンディングまでもが中断し、零細不動産業者はお手上げ状態だ」と述べた。

◆技術・資本集約型産業へと目を向けるべき

 興味深い事実は日本、台湾、米国などは逆に投資の比重を高めているという点だ。台湾は今年に入ってフォルモサ・グループが76億ドル(約8320億円)をかけて超大型精油工場の建設を開始し、日本はインフラへの投資や製造業、米国は内需市場を狙った流通業や金融業への投資に拍車をかけている。韓国の通貨危機当時、外資系企業が積極的な投資を行って大きな収益を上げたのと同じようことが起こっているのだ。GE東南アジアのスチュアート・ディーン社長は、「今こそベトナムが必要な時期だ」と述べた。先進国によるベトナム攻略が本格化し、韓国が市場での主導権を失うことを心配する声も高まっている。LSビナ産電のイム・スンサム社長は、「不動産価格と人件費の高騰で、低賃金の業種は競争力を失った。鉄鋼や電子・部品産業など、技術・資本集約型の業種と内需に目を向ける必要がある」と述べた。

ハノイ=劉夏竜(ユ・ハリョン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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