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東京都、自殺者の遺族100人に聞き取り方針 防止図り

2008年9月14日9時2分

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 相次ぐ自殺を防ぐため、東京都は今年度、自殺者の遺族約100人への聞き取り調査を始める方針を決めた。自殺前の状況や動機と原因、年齢や仕事との関連性を調べ、遺族の苦しみを聴いてケアにも役立てる。

 国内ではこの10年、毎年3万人以上が自殺している。都内では07年に前年より382人多い3047人が自殺し、増加数は全国で最も多かった。

 都は「地方から出てきて相談相手の家族が近くにいなく、仕事上の競争が激しい環境もある」と推測しているが、「実態が分からず対策がとりづらい」として調査に乗り出す。

 調査は、自殺対策に取り組むNPO法人「ライフリンク」に委託。親族を自殺で失った人を含む担当者が遺族を訪問し、自殺前の状況や自殺を選んだ背景、自殺後の遺族の苦しみなどを聞き取っていくという。

 ライフリンクの清水康之代表は「自分の体験を生かしたいと思う遺族から話を聞き、調査と支援を同時にしながら一緒に今後の対策をつくっていきたい」と話す。14日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開くシンポジウムや、都ホームページで遺族に協力を呼びかけていく。

 厚生労働省は07〜09年度で全国的な聞き取り調査を実施しているが、自治体の調査は「聞いたことがない」としている。

 都は、自殺防止に向けて自治体や警察、消防、病院、相談機関が連携するネットワーク作りのモデル事業も足立区で始める。例えば納税や介護保険の窓口職員が、滞納者が多重債務で苦しんだり親の介護で追いつめられていたりする場合、自殺の予兆に気づけるようにする研修を検討するという。(大隈崇)

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