農薬などに汚染された事故米が食用に転用されていた問題は、14日で発覚から10日目を迎える。朝日新聞が各都道府県や指定市に取材した結果、商品として出荷した可能性が高い企業や店舗と、その商品が出回った地域、事故米を食品として出していた施設は、少なくとも19都府県に広がっていることが分かった。
問題は5日、米販売会社「三笠フーズ」(大阪市)による不正で明らかになった。その後、10日には、接着剤製造販売会社「浅井」(名古屋市)と、肥料製造会社「太田産業」(愛知県)の2社の計3ルートに広がった。
酒造会社で被害に遭ったのは少なくとも9社。総計で100万本分を超す酒が自主回収の対象になっている。
このうち最大なのは、アサヒビール(東京都)で、焼酎約65万本。福徳長酒類(同)の焼酎約8万本も回収対象になった。両社の商品の原酒は、西酒造(鹿児島県)が製造。同社も自社製品30万本分を回収中だ。このほか鹿児島県2社、熊本県3社、福岡県1社が焼酎や清酒に事故米を使っていた。
近畿2府4県では病院や特別養護老人ホームなど約120の施設で、給食などに調理された事故米が患者や職員らの口に入っていた。
このうち、京都市内の保育園と介護老人保健施設に残っていた中国産もち米から、基準値の2倍にあたる有機リン系農薬成分メタミドホスが検出された。両施設で赤飯やおはぎとして調理され、園児やお年寄りらが食べていた。
鳥取県は13日、三笠フーズからの事故米が混ざった可能性があるもち米粉が、鳥取、島根、広島の和菓子店5店に売られていたと発表した。
浅井が流通させた事故米も米菓やもちなどに加工され、京都、愛知、岐阜、三重など1府7、8県に広がったとみられる。太田産業の事故米は千葉県の業者で肥料や飼料になっていた。