国際宇宙ステーション(ISS)に設置された日本の実験施設「きぼう」で、21本ある蛍光灯のうち9本が玉切れで使えなくなっていることが分かった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、半分以下になると作業や実験に支障が出るという。最先端技術を集めた宇宙実験室が、思わぬローテクに悩まされている。
きぼうは、3月に船内保管室、6月に主要施設の船内実験室がISSに取り付けられた。しかし、その直後から蛍光灯の玉切れが相次ぎ、12日現在、点灯できるのは保管室で4本中1本、実験室で17本中11本という。
蛍光灯はISS内の共通部品で、97年米国製。きぼう以外でも玉切れが続出し、予備品は使い果たした。原因について、きぼう運用チームの横山哲朗サブマネジャーは「保管中に蛍光灯の真空度が落ちたのではないか」とみる。JAXAは玉切れの心配のない発光ダイオードを利用した照明を開発中だが、持ち込めるのは10年以降という。
現在、実験室ではISS滞在の米国人宇宙飛行士が流体力学にかかわる実験を行っている。今のところ、支障はない。米航空宇宙局は11月に打ち上げ予定のスペースシャトルで交換品を運び、きぼうの6本を交換する見通しだ。だが、今後も玉切れは続く恐れがある。横山さんは「作業場所に応じて蛍光灯を付け替えたり、持ち運べる物は明るい場所に持っていくことになるかもしれない」と話す。【西川拓】
毎日新聞 2008年9月14日 2時30分(最終更新 9月14日 2時30分)