December 22, 2006

汚水排出:容疑でトヨタを書類送検

●報道

工場の新設工事で出た汚水を処理せずに海に流したとして、横浜海上保安部は14日、トヨタ自動車(本社・愛知県豊田市)と、工事を請け負っていた関連会社の「トヨタT&S建設」(同)の工事責任者(56)を水質汚濁防止法違反容疑で横浜地検に書類送検した。

調べによると、トヨタ自動車と工事長は、横浜市金沢区鳥浜町のトヨタ自動車横浜事業所で整備工場の新設工事をしていた6月23日から7月5日までの間、ガソリン貯蔵タンクを埋めるために掘った穴からわき出た強アルカリ性の汚水少なくとも195リットルを、横浜港に排出した疑い。トヨタT&S建設が施工していた。

汚水は水素イオン指数(pH)が最大12・7あり、同法に基づいて県が定めた基準の5・8〜8・6を大きく上回っていた。横浜海保によると、わき出た水が、穴に流し込まれたコンクリートと混ざって化学反応を起こし、アルカリ濃度が高くなったらしい。

通常は浄化槽で中和して排出するが、今回はポンプで雨水用の溝にくみ上げ、そのまま流していた。生態系への影響は確認されていない。

工事長は「担当者が勝手にやっているのを看過してしまった」と供述しているという。トヨタ自動車広報部は「多大なご迷惑をおかけして申し訳ありません」としている。

トヨタ自動車広報部は「多大なご迷惑をおかけし深くおわびします。再発防止に努めていきたい」とコメントした。


●トヨタのウェブサイトより

今回のことにより、多大なご迷惑、ご心配をおかけすることになりましたことを深くお詫び申し上げます。

当社は、従来より環境問題を経営の最重要課題のひとつと位置付け、積極的な取り組みを進めてまいりましたが、本件を重く受け止め、今後はさらに環境問題への意識を高め、従業員教育ならびに施設管理は勿論のこと、工事施工管理等にも一層留意し、工事施工会社等と連携を図って、再発防止に努めてまいりたいと考えております。



▽事故概要
本件は、横浜事業所の車両積載車用給油設備の設置工事中に、当該工事を当社から受託したトヨタT&S建設(株)の工事担当者が、本年6月22日から7月5日までの間、水素イオン濃度が高くなった工事排水を横浜港に排出したものであります。

当該工事排水の水素イオン濃度が高くなった原因は、小型ガソリンタンク埋設用に掘削した地下ピット内に溜まった雨水と湧水が、地下ピット底面に施工直後のコンクリートに反応したことによるものであります。

上記現象に対する認識が工事担当者に不足していたにも関わらず、工事を監督する立場の者が、十分な指導をしなかったことから、水素イオン濃度が高くなった工事排水を適正に処理することなく、横浜港に排出いたしました。

2006年12月14日
トヨタ自動車株式会社


●考察

私はこの事件については二つの所感があります。

一つ目は、とんでもなくひどい状況かと思いきや、実は「少なくても195リットル」ですから、ドラム缶1本程度です。

誤解を恐れず言えば、海へ排出ということもあり環境への負荷は大したことはないレベルです。

これほどの大問題になるのはトヨタブランドであるが故でしょうか。企業のリーガルリスク(環境法令リスク)は、相当に大きくなっているということでしょう。

二つ目は、毎度のことですが、トヨタのコメントです。
工事担当者の認識不足・・・
従業員教育・・・

「悪いのは担当者」という発想でマネジメントの問題には言及していません。
本当にいつも同じです。

トヨタご自慢のなぜなぜ分析による根本原因の追究に期待したいところです。

この記事へのトラックバックURL

http://app.blog.livedoor.jp/esh/tb.cgi/50857763