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「会社は当事者でない」 過労死社員切り捨てたトヨタ

黒井孝明2007/12/06
親子3代のトヨタ社員だった内野さんが30歳で急死した。遺族は月144時間を超える残業が原因と労災申請したのに対し、労基署は却下し、地裁に提訴した処分取消し請求がやっと認められた。労基署が控訴しないように協力要請した遺族に、トヨタの返事は「当事者でない。何も言えない」だった。
愛知 企業 記者会見

 内野博子さん会見=抜粋 (15分59秒 )[ヘルプ]
 若月忠夫さん会見=抜粋 (7分1秒 )[ヘルプ]
クリックすると音声が聞けます 内野博子さん、若月忠夫さん会見=すべて (77分26秒)[ヘルプ]
日本語(通訳英語)
 いつもニコニコしていた人の笑顔が次第に消えていった。――愛知県豊田市のトヨタ自動車堤工場に勤務していた内野健一さんが2002年に30歳で急死したのは過労が原因だとして、労災と認めなかった労働基準監督署を訴えていた妻・博子さん(37)と、裁判をサポートした全トヨタ労働組合が5日、日本外国特派員協会で講演し、訴訟の経緯やトヨタの労働実態について話した。

「会社は当事者でない」 過労死社員切り捨てたトヨタ | <center>元気だったころの内野健一さんと一家の家族写真</center>
元気だったころの内野健一さんと一家の家族写真
 資料や博子さんの話によると、健一さんは1989年にトヨタ自動車に入社した。01年4月から車体部品質物流課のEX(エキスパート=班長)として配属された。死亡したのは翌年2月9日。夕方4時10分から深夜の1時まである「2直」の残業中、午前4時20分ごろ、「椅子から崩れ落ちるように」倒れた。病院に搬送されたが、2時間後に死亡した。死因は不整脈による心停止とされている。

 博子さんが計算したところ、死亡1ヶ月前の健一さんの労働状況は、残業時間だけで144時間35分。健一さんの死後、博子さんは豊田労働基準監督署に労災申請をした。労基署は残業の多数を占めたとされる「業務改善活動」を業務外と見なし、残業時間を45時間35分と判断した。労災認定を退けられて、博子さんは労働保険審査会に審査請求をした。

 ライン作業のとりまとめ役をしていた健一さんは、部品の不具合や見落としの原因究明などの対応に追われ、また複数の業務改善活動を命じられた。過密な業務量とストレスが体調を悪化させたという。

 「夫はいつも夜中の2時、3時に帰宅していた。家族が待つには難しい時間だ。酒をまったく飲まず、ギャンブルもしない人だった。子ども2人は当時1歳と3歳だった。これからかわいくなる時期だったのに、本当に残念でならない」
 
 博子さんは労基署の処分の取り消しを求めて2005年7月に名古屋地裁に提訴。今年11月に出された判決は、残業時間を約106時間と認定、「業務と死亡には因果関係がある」と結論付けた。

「会社は当事者でない」 過労死社員切り捨てたトヨタ | <center>全トヨタ労組の若月忠夫委員長(左)と内野さんの妻博子さん</center>
全トヨタ労組の若月忠夫委員長(左)と内野さんの妻博子さん
 労基署に労災申請するとき、「夢中で会社のために働いていた。夫の祖父も父も、親子3代でトヨタに力を尽くしてきた。それを認めてもらいたかった」と博子さんは言う。判決後、トヨタに「労基署が控訴しないようにしてほしい」と伝えた。だが、トヨタの返事は「訴訟の当事者でないので、何も言えない」だったという。

 全トヨタ労組は昨年結成された新しい組織。若月忠夫委員長は現在の労働組合状況について、「主体性がなくなってしまった。本当は企業と対等でなければならないのに、飲み込まれてしまった。これが悲劇を生んでいる原因なのではないか」と話した。

 若月委員長は会見に出席していた日本の報道陣に「トヨタについて、オープンな取材ができていますか」と問いかけた。今や国際語ともなった「カローシ」という言葉を知ってか、外国人記者らは苦笑していたようだった。

ご意見板

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[31581] 軽蔑すべき役人言葉ですよ
名前:高橋七郎
日時:2007/12/12 00:22


訴訟の当事者でないので、何も言えない



これは常套句です。


責任追及を恐れて当事者がコメントしなというのは「ひきおう」ですね。


黙秘権でもないし、証人喚問の「記憶にない」と同じですよ。



正義感のないやつは、こうやって逃げるんです。








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[31580] パロディです
名前:忍野タカユキ
日時:2007/12/11 23:54
>トヨタ程になれば豊田市そのものがTOYOTAです。<

いつの日か、日本国憲法や労働三法に縛られないように、
バチカン市国ならぬ『TOYOTA私国』独立宣言しちゃうかも・・・。
弱小国の国家予算以上の利益があるんだから、あながちパロディでもないか。
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[31578]   訂正
名前:堀川香一
日時:2007/12/11 22:41

 「キャチコピー」は「キャッチコピー」の誤りです。
 訂正します。
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[31576]  タイトルについて
名前:堀川香一
日時:2007/12/11 22:10
 「会社は当事者でない」
 ですが、別に、私はトヨタの肩をもつ気はないですが、判決後、トヨタに対して
 「労基署が控訴しないようにしてほしい」
 と頼めば、
 「訴訟の当事者でないので、何も言えない」
 と返答するのは当然じゃないですか。それをことさら強調するのはキャチコピーではないですか。
 私も2年程前、静岡県浜松市のホンダに期間社員として出稼ぎに行って働いていた事があり、その期間社員の中には四国や大阪から来ている人も沢山いました。つまり近い[愛知県]を飛ばしてまで[浜松]に来る理由はトヨタの労働の過酷さ故です。これはその人たちに聞いた話ですから事実です。
 私は色々な会社で期間社員を経験しましたが、ホンダは期間社員を含め社員の福利厚生は良いほうだと思います。
 そのホンダでさえ労働災害は揉み消します。それどころか頑張って腰をいためた期間社員は現場で労災ゼロの記録がSTOPしたと安全部門の上司から怒られました。全治1週間位だったと思います。これは私の同じ職場の同僚ですから事実です。
 その同僚もトヨタ回避組です。その同僚の話ではトヨタではその「労働の過酷さ」を期間満了退社後、労基署に訴える人もいるが全て労基署は無視するそうです。
 トヨタ程になれば豊田市そのものがTOYOTAです。
 記事のタイトルは大切なものです。せっかくの良い内容もタイトルがキャチコピーでは価値が下がると思った次第で。
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[31546] 政官財司報の癒着
名前:高橋七郎
日時:2007/12/09 10:08



日本のマスコミと外国メディアでは、トヨタに対するスタンスが全く違いますよ。


こんな会社のTOPが経団連の重職を務め、日本の政治を裏であやつるなんて、日本がまともな国家になれるわけがない。


政官財の癒着、これに司法とマスコミも取り込んで、弱い国民をギロチンにかけていく、社会的に許されないことを平然とやってますよ。


キャノンもこいつの仲間ですね。



大量間接殺人を行ってるのは、小泉だけじゃなくて、奥田も御手洗も同じ罪です。



是非、不買運動で対抗したいものです。
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[31538] 外国通信社にニュースとして提供する価値があります
名前:中西俊
日時:2007/12/08 21:43
「品質管理の自主的な活動、つまり会社が命令しないのに、従業員が自分勝手に、自分で決めたテーマについて研究活動をするのは、会社が命じていない活動だから管理できない。管理できないからには、時間外勤務とは見なせない。」
これは40年以上、昔に私が聞かされた言葉です。おそらく。今も通用していると思います。

内野健一さんは、記事によれば会社から命じられています。トヨタの場合、部品の不具合があると、不具合を発見した作業者はラインを止めることになっていると聞きます。
ラインを止めるということは、組立てラインの始めから終わりまで全部が止まるのです。
ラインが止まっている間は、ラインに関わるすべての作業がとまるのですから、会社としては莫大な損失になります。
ラインがとまれば、班長は不具合を発見した作業者のところに、飛んで行って、復旧作業に当ります。
以上は、テレビで紹介された話しです。

おそらく、内野健一さんは不具合部品が生じた原因究明と改善対策に当られていたものと思われます。
これは自主活動ではなく、純然たる会社業務活動です。

過労死との訴えが監督署に出された場合は、監督署は事業所に出向いて、時間外労働が業務命令によるものか、従業員個人が管理すべきものか判断することになっています。

裁判所が適切な判断をしたからよかったものの、推察すると、トヨタでは、かくされた莫大なサービス残業時間が内在しているものと想像されます。

この件は、外国通信社にニュースとして提供する価値があります。
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[31535] トヨタ本体でけでなく
名前:田中秀郎
日時:2007/12/08 20:49
その関連や部品供給メーカーでも相当、過重労働
やらでているそうです。
直接面接を受けた会社もありますし、知人の取引先
であったりしますのでいろいろ聞いています。

大きな利益を上げていると聞きますが、下請けメーカーは
納期確保のために、材料の買占めに走ったりなど
あまりよろしくないことまでしてでも、、、とも
聞いてます。

自動車関連は、ガソリン高騰やら、高齢化の進展に伴う
わが国国内市場の低迷などいろいろありますが、
裾野のひろい業種ですから、トヨタのような大メーカー
の存在は否定しえませんが、、、、、。
こんな阿漕な商売、いつかはもっと大変な問題に
なるんじゃないですか?
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[31502] トヨタはタブー?
名前:高橋七郎
日時:2007/12/06 19:17



若月委員長は会見に出席していた日本の報道陣に「トヨタについて、オープンな取材ができていますか」と問いかけた。


トヨタはタブーですね、タブーなんてあってはいけないんですが。


消費者もトヨタの不買運動で対抗できれば、もうちょっとましな国家になるんですが、、、





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