私は3年前より、働く側から企業を評価することを目的に、現役社員へのインタビュー取材を続けている。会社の広報などを通すと本当のことを話せなくなるので、一切通さないのが特徴。その数は200人を超え、4冊の著作(最新刊は『
若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか
』東洋経済新報社)と私が経営するニュースサイト「MyNewsJapan」に情報が蓄積されている。今回は、そのなかから、働く側から見た人気企業の実情について述べる。
(本稿は3月28日発売の国際情報誌『
SAPIO』に寄稿した)
◇JAL・ANA
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特集「2008年就職戦争に勝つ!」内の3頁(3月28日発売の国際情報誌『SAPIO』2007.4.11号)
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日本の航空会社の社員は、待遇面で厳格なヒエラルキー構造になっている。全日空の総合職社員が言う。「パイロットは神様。総合職がキャリア官僚。その下に、ノンキャリの地上職や契約社員のスッチーらがいる、という感じ」。
平均年収2,114万円(2006年3月期)のパイロットは待遇が別格で、会社側としても「手当てなどを削ると、万が一事故が起きた場合に責任問題になる」(社員)ことを恐れ、手を付けにくい。そこで、しわ寄せは安全にさほど影響がない客室乗務員や空港で働く地上職(グランドアソシエイツ)にくる。
客室乗務職は、全員がまず3年、契約社員として働き、20代で辞める人がほとんど。不規則労働で、正社員になる前に激務から辞める人も多い。地上職も、総合職と同じ仕事をし、むしろ教え役となることもあるが、待遇は他企業の一般職並みに抑えられている。
総合職は、事務系だと、まず空港か予約センターに配属され、地上職と同じ仕事をする。チェックインや客の誘導、チケット切り作業、端末入力作業など単調な作業を6~7年もやるため、20代ではキャリアを積みにくい。
これはJALも同じで、新入社員をはじめとする若手は、別会社化された空港の現場部門などに出向する。本社で総合職らしい仕事をできるのは30歳くらいからと、若いうちからバリバリ仕事をしたい人には退屈な会社だ。
◇トヨタ
トヨタ自動車は、社員の生活環境に投資を渋ることで利益を捻出している面がある。新入社員が入る独身寮は、未だに4畳半が主流。「月額6千円くらいですが、窓の隙間が空いてガムテープを貼ってとめて凌いでいるような古いタイプが多く、キッチンもないから料理もできない」(若手社員)。
休日は社外活動への半強制的な参加で潰されることも多い。部対抗の駅伝大会やフットサル大会、バーベキュー大会など「インフォーマル活動」が重視され、「若手は全員参加するのが当然とされている」という。
◇4大総合商社
人気が高い大手商社は、圧倒的に待遇がよいのは確かだ。30代前半には全員が年収1200万円を超え、これは大手メーカーの約2倍にもなる。外資の金融やコンサル、民放キー局、大手出版を除くと、待遇面ではトップに君臨する。
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