Print this Post Article Lists Back

金総書記重病説:人民軍、9・9節行事不参加の理由(下)

 こうした雰囲気の中で、軍隊の内部には「反金正日」の兆しも見られ始めた。93年に旧ソ連軍事アカデミー出身の将官11人をクーデターの疑いで摘発・処刑したのに続き、96年には咸鏡南道に駐屯する第6軍団で事件が起こり、多くの幹部将校が命を落とした。北朝鮮内で高い地位にあったある脱北者によると、「第6軍団事件は、軍団政治委員の傘下にいた将官級の軍人らと大佐級の軍人数十人が関与した大規模な反政府グループ事件で、外部の情報組織と連携して活動してきたが、摘発された」と語った。この第6軍団事件以後、軍の将校に対する監視活動が強化されたことが分かっている。師団長級以上の将官ついては、内部情報機関から金正日総書記に対し10分単位で居所が報告されるシステムを備えたという。

 金正日総書記は軍隊と銃隊を最も愛したが、人民軍の忠誠度は地に落ちている。

 元軍人のある脱北者は、「現在服務中の人民軍兵士の大部分は、1990年代後半の食糧難で親兄弟を葬った痛みを抱えている」と語った。今でも大部分の兵士から聞こえる声は「親兄弟がひもじい思いをしている」というものばかりで、若い軍人の体制不満は想像以上に深刻な水準にある。この脱北者は、「軍人が体制に対する希望を持たず、大多数は外部の情報に飢えており、軍隊内で韓国の映画を見たりラジオを聴いたりすることも一度や二度ではない」と語った。

 経済難で発生する軍隊内での暴力や慢性的な飢えは、軍隊組織を瓦解させかねないレベルに至っている。盗みは人民軍の兵士たちにとって、生存に欠かせない条件のようになったという。

 最近韓国入りしたある脱北者は、「最近の人民軍で最も深刻なのは脱走だ」と語った。以前ならば脱走は銃殺刑だが、脱走兵があまりに多いため、軍官(将校)が逃亡兵をなだめて連れ戻す、という事態にまで至っているという。数カ月間準備した閲兵式が突然中止されたことで、そうでなくとも不満だらけだった軍隊全体の士気の状態がさらに悪化した可能性が高まっている。

カン・チョルファン記者

【ニュース特集】金総書記重病説

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事 記事リスト

このページのトップに戻る