したがって、この乗車券の券面表示事項(「1日間有効」)のみにしたがった乗車をすることはできず、旅客営業規則第155条(継続乗車船)に定める取り扱いを受ける必要があります(具体的には、上川駅において一夜を明かすことが必要)。
なお、当日中に上白滝駅まで旅行するには、(現行ダイヤ上)少なくとも上白滝⇔白滝間の往復乗車券(400円)を別途購入する必要があります。
「JR旅客営業制度のQ&A」(著者:小布施由武 発行所:中央書院)では、継続乗車船について、「入場後の救済措置であり、趣旨は、そのまま「券面着駅」までの乗車を保証するものです。」としたうえで、「本来の乗車券としては無効となっており(期限切れ)、したがって、途中下車・乗車変更の取扱いを行わないのは当然です。」と解説しています。
つまり、この乗車券は制限つきの「救済措置」を受けることが必要で、券面表示事項どおりの運送債務を履行することができないことが、「あらかじめ分かっていながら」発売された乗車券であるといえます。
このような乗車券の発売が運送契約の締結という観点から見た場合に適切であるかどうかという疑問も生じてきますが、運送約款である旅客営業規則に継続乗車船について明記されている以上、旅客がこれに同意して運送契約を締結(乗車券の購入)したという解釈で差し支えないものと思われます。