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【東京】

小児二次救急患者 受け入れ休止  医師不足 現状に無念さ

2008年9月13日

受け入れ休止の経緯を話す山口総院長=町田市民病院で

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 「常勤医不足の解消に至らなかった。地域医療の拠点としての責任を感じる」−。小児二次救急患者の受け入れ休止を発表した町田市民病院(同市旭町二)。山口洋総院長は十二日の記者会見の席上、全国的な医師不足に困窮する医療機関の現状に無念さをにじませた。 (堂畑圭吾)

 市民病院は一九九九年、都の二次救急医療機関として指定を受けた。病院によると、小児科の当直は当初から常勤医四人体制でやりくりしていた。小児科部長の佐藤裕副院長は「通常なら常勤医が八人は必要で、当初から厳しい船出だった」と明かした。

 病棟の入院患者の主治医を務めながらの当直勤務。外来診療患者も増え、常勤医への負担は年を重ねるごとに増加していった。その影響で、佐藤副院長が昨年から腰痛で当直に入ることができなくなり、今年一月に常勤医一人を増やしてカバーした。

 だが、四月には一人が産休入り。頼りにしていた大学の医局も医師不足を理由に派遣していた若手の常勤医の引き揚げを決め、七月末に一人が退職。アルバイトの若手医局員らを加えてやりくりしたが、救急業務は限界にきた。「受け入れが継続できない状態に至った」。佐藤副院長は重い口調で語った。

 本来、二次に当たる重症患者を受け入れるはずが、当直医が診療する患者の多くは一次に当たる軽症の患者だという。佐藤副院長は「現場の医師の疲弊はピークに達している」とも述べた。

 二十五日以降は、日中(平日)の二次救急患者は通常通り受け入れるが、夜間・休日は原則として、近隣の二次救急医療機関に搬送してもらうという。

 救急以外の休日・夜間診療は、市医師会が開いている「準夜急患こどもクリニック」(午後七−十時)で受診してもらい、入院が必要となった場合は従来通り、市民病院で受け入れる。

 市内では小児科の二次救急医療機関はほかになく、今後の地域医療への影響が心配される。山口総院長は「関係医療機関と連携し、受け入れを再開できるよう最大限努力したい」と話した。

 

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