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2008年9月13日

 能登半島を抱えた石川県の海岸線は約580キロある。富山県の150キロ弱に比べるとずいぶん長いのが特徴だ

20回を迎えた「ツール・ド・のと」は、石川と富山の海岸線中心に417・8キロを3日間で走る。直線距離なら東京―大阪間に匹敵する距離だからいかに長いか分かる。海と山と街と。変化に富んだ魅力のコースである

能登半島1周道路の完成は昭和40年代はじめだった。30年代末に開通した能登線より遅いのは意外だが、奥能登は船便に頼っていた歴史的な事情もあって、車社会への対応が遅れたとも言われている

昭和初期に金沢一中の生徒が能登半島を歩いて1周した旅行記を読んだことがある。時計回りに羽咋から輪島を経て珠洲から七尾に出て汽車で金沢に帰るまで10日かかっている。外浦ではほとんど道路がなく、海岸伝いに進むしかなかったとある

塩田が多く、農耕用の牛が目立ち、学校の相撲場が立派なことなど、80年前の貴重な風景が記されている。自分の足で巡らないと見えないものがある。郷土の現状も、明日の能登の姿も。脚力自慢の参加者の記憶に残しておいてほしい。


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