「誰がなっても同じ」−。11日午後、東京・渋谷のハチ公前広場で開かれた自民党総裁選の街頭演説会。立候補した5氏は、時折降る雨にも負けじと熱のこもった論戦を繰り広げたが、渋谷の若者たちの間では冷めた声が相次いだ。知名度は麻生太郎幹事長が圧倒的。ただ、「オタクを強調し過ぎてそろそろ鼻につく」と辛口の意見も出た。
「選挙前だけ政策を論じるけれど、当選したらそれで終わりで何も変わらない。誰でも結局同じ」。都内の専門学校に通う野崎明美さん(25)は、こう断じた。東京都世田谷区の会社員、染谷辰雄さん(22)も「どうせ(総裁選には)投票できないし、興味がない。口だけじゃなく行動で見せてくれというのが本音」とあきらめたような顔で語った。
渋谷の若者の多くが「次期総裁は麻生氏」。もっとも、その理由は「何となく」「テレビが言ってるから」とメディアに流された感があった。神奈川県内の大学に通う中田俊介さん(19)は「麻生さんで決まりだから盛り上がりに欠ける。サブカル好きやオタクを強調し過ぎて、鼻につく」とばっさり。
「あえて選ぶなら」という条件つきで人気があったのは、石原伸晃元政調会長と小池百合子元防衛相。若さと女性という点で「日本を変えられるかも」と淡い期待が寄せられていた。
逆に、知名度が低かったのは、与謝野馨経済財政担当相。「名字も名前も読めない」という女子高生(16)も。石破茂前防衛相に至っては、ほとんど言及がなかった。
札幌市の高校2年、古山航さん(17)は「日本のトップがころころ変わって、外国から情けない国だと思われる。とにかく任期を全うしてくれる人ならいい」と苦笑いしていた。
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