ちょっと前にある研修会に出たとき,印象に残った講師のことば。
「広汎性発達障害の予後(成長して大人になったときの社会適応の程度,といった意味でしょうか)を決めるのは広汎性発達障害そのものの重症度ではなくて,いかに周囲からの理解やサポートが得られているかで決まる」
このことばには,本当に考えさせられます。
どんなに生来的なハンディキャップがあろうとも,まわりからの支援によって社会で適応していくためのスキルは成長とともに補っていくことができる,ということですよね。
生来的ハンディキャップがあってもなくてもこどもたちはみんな発達していくわけですが,ハンディキャップがあるために,定型発達のこどもたちが特に教わったりしなくてもごく自然に身につけていくことのできる部分が,丁寧に教わらないと習得できない。つまり,生まれもった苦手さにはやく気付いて,早期から「普通なら教わらずに済んでいること」をきちんとわかるように細やかに教えてもらえば,そういうスキルもちゃんと身につけることができる。
今の職場では,成人して初めて受診された発達障害の患者さんにお会いすることが決して少なくありませんが,「このひとは本当に上手にまわりのひとたちに支えてもらってきたんだなぁ!」ということがひとめでわかるような患者さんがたまにいらっしゃいます。
そういう患者さんに実際にお会いすると,先に挙げた講師のことばがますます実感されるわけです。
もちろん,こういうケースでは患者さん本人も生来おだやかな性格だったりして,まわりもついついサポートしたくなって,そのサポートを素直に受け取ってますますおだやかに過ごせて,さらにサポートを受けやすくなって…という,考えただけで嬉しくなるようなポジティヴなサイクルができあがっていたりするのですが。
そして,こんな具合にうまくいかなくて,さまざまな二次症状を抱えて成人になられた患者さんも一方ではいらっしゃって…。
患者さんにとって,私は「周囲の人々」のなかのひとりでしかないし,しかもご家族やご友人と比較するとかなり「周囲」のなかでも出会いも遅かったし位置的にも遠目のポジションにいることになりそうですが,それでも「周囲の人々」の一員であることには変わりない。
これから患者さんにお会いするときは「周囲の人々」のひとりとして患者さん本人をサポートするだけでなく,私よりも患者さんに身近なところにおられる「周囲の人々」と大勢で一緒に患者さんを支えていくため私から「周囲のサポート」へも十分なサポートが行えるようにもっともっと意識していきたいと思います。
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