最近,明らかに特別な支援が必要だろうと思われるこどもさんが,何の支援もないまま過ごしている,というケースにお会いしました。
どうして中学生になるまで誰も指摘しないままだったんだろう? と疑問に思いつつこれまでのお話を伺ってみると,ちゃんとこれまで専門機関にも数カ所かかったことがあって,いちおう診断なり評価なりも出ていて。
親御さん曰く,「検査結果を学校には伝えたんですけど,特に何も変わらなかったですね」と。
現在の担任に連絡してみると,「検査の結果は聞いてますが,診断名はついているのかどうか…。それに,お母さんにも発達の問題がありそうですよね」とのこと。
…。
私のあたまのなかでは数々のツッコミが飛び交っていたようですが,どれも辛うじて口に出さずにすませることができたので,双方のお話を整理してこれから徐々に私の果たすべきお仕事「橋渡し」を開始することとしました。
誰にも悪意がないのはわかっているのですが,でもさすがにこのままじゃいけない,と思わされるケース。
もしかしたら,こういうケースって案外多かったりするのでしょうか。
今後の診療に活かすためにも,私がこのケースに対して抱いた危機感について,ちょっと考えてみたいと思います。
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我が子が通う保育園では、園内や家庭での様子を伝える連絡帳があります。それに家庭での気になる行動や表情など記載し続けてました。けれども、いつも良い様子しか記載されていませんでした。しかし、最近子供が他の子を押したり叩いたりしているのを見て、「かなり問題行動があるのでは」と不安が襲い、忙しそうな保育士さんに聞いてみると問題山積でした。私も乳幼児の発達や育児支援について勉強していたので、ショックは小さいもので済みました。保育士さんは、私の障害への受容を考え、言葉を選びながら慎重に我が子の問題行動について、お話下さいました。
それからは、保育士さんから積極的に、発達障害児の関わり方を教えて頂くようになり、見えない保育園での様子に不安を感じることが減りました。
ある日突然、発達障害を保護者に指摘することで園やや学校に苦情がくるケースが多いと聞きますので、
現場の苦労も分かります。それでも先生のような方が増えると、救われる親子や先生がいるので、これからも頑張って欲しいと思います。
私自身は発達障害は病気ではないと思っているし,むしろいろいろうまくいかないことがあってもそれは誰のせいでもなく生まれもった脳の性質によるんだよ,とお伝えしたくて診断告知をします。でも,保育園や学校の先生方が親御さんの動揺や悲しみを予測して,先生方のほうから診断の可能性を切り出すことを躊躇されるというのもとても理解できます。
あかねさんのように,親御さん自らが「我が子はもしかして…?」と勇気を出して口にしてくださることが,どんなにありがたいことか!
そのひとことで,こどもさんのためにみんなが協力して支援を開始することができるんですものね。
園でも学校でも家庭でも医療機関でも,みんなが発達障害のことをもっと正しく理解して,診断を疑ったり診断がついたりすることをタブー視しないで当たり前のこととして受け容れ合えたら,発達障害をもつこどもたちへの支援がもっとずっとスムーズになるだろうな,と思わずにいられません。
あかねさんもきっと毎日大変な日々を過ごしていらっしゃると思いますが,どうかこれからもこどもさんのよき理解者でいてあげてくださいね!
私も,私に今できることを頑張っていこうと思います。
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