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【静岡】

県ナースセンターが職場復帰を支援 結婚や出産で離職の元看護師らに

2008年9月12日

血糖チェックに挑戦する元看護師たち=藤枝市立総合病院で

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 看護師不足が深刻化する中、結婚や出産で離職した元看護師に注目が集まっている。全国に55万人いると推定される「潜在看護師」だ。県ナースセンターでは、より多くの潜在看護師に現場復帰してもらおうと、講習会と病院派遣型研修からなる「再就業支援事業」に取り組んでいる。(藤川大樹)

 9月上旬に藤枝市立総合病院で開かれた講習会。9人の元看護師が3日間、座学で最新の看護について学んだり、採血や血糖チェックなどの実技を体験したりした。

 9人の平均年齢は37歳。平均離職年数は3・8年で、20年近く医療現場から離れている人もいた。10年以上前、結婚を機に病院を辞めた藤枝市の主婦日浦美奈子さん(42)は、現場復帰を前に、現状を知りたいと講習会に参加。「多少の不安を感じていたので、こうした講習はためになる」と話した。

 潜在看護師の再就業支援事業は1980年に始まった。当初は講義が中心だったが、看護師の需要の高まりを受け、3年前に事業内容を拡大。座学が中心の講習会と、県内の病院で5−15日間の実習に参加できる「病院派遣型研修」コースを立ち上げた。

 藤枝市立総合病院の臨時職員として働く櫛田あずささん(41)は昨年、講習会と派遣型研修に参加し、15年間のブランクを経て復帰を決めた。櫛田さんは「研修に参加しなければ、復帰への一歩を踏み出せなかったと思う。電子カルテの導入など医療の進歩は早いが、『看護の基本は変わっていない』と感じることができた」。

 県ナースセンター本所の坂元玉枝所長は「再就業に不安を持っている人は多いが、看護の基本が大きく変わることはない。研修で『現場に戻れる』という感触を持ってもらいたい」と話す。

 日本看護協会などによると、常勤看護職員の2006年度中の離職率は12・4%。潜在看護師は全国で約55万人に上ると推定されている。

 

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