Print this Post Article Lists Back

【社説】韓国近・現代史教育、健全な常識の下で(下)

 この教科書の初版では韓国のセマウル運動について、「朴正熙(パク・チョンヒ)政権が大衆の支持を基盤に長期政権を正当化するための手段だった」とし、北朝鮮の千里馬運動については「大衆の情熱を引き出すために行われ、社会主義経済建設に当たって大きな役割を果たした」と説明している。2003年に最初に出版されたこの教科書は、「親北反米」という非難が起こったことで翌年に内容が一部修正されたが、基本的な性格は変わらなかった。われわれの子どもたちにこのような教科書を通じて近・現代史が教えられてきたというのだから、子どもたちの頭の中に大韓民国がどのような姿に映るかは想像に難くない。

 市や道の教育長協議会は、高校で使われる韓国近・現代史に関する6種類の教科書のうち、比較的バランスの取れた見方で執筆されたものが現場で教材として採択されるよう努力してきた。学校運営委員会総連合会もソウル市教育庁と協力し、学校で「現代史を正しく知る」ための特別講義を行う予定だ。こうした取り組みは非常に望ましいことだ。

 しかし時代錯誤的な左翼偏向の歴史教育を正そうとする動きは、「日本による統治のおかげでわが民族の経済成長が実現し、近代文明を学ぶことができた」という、また別の偏向へと流れている点を警戒しなければならない。大韓民国の国民を育てる韓国近・現代史教育は、健全な常識を持った国民が受け入れることのできる、バランスの取れた歴史教科書でなければならない。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る