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診療報酬改定が医療機関の経営圧迫

 4月の診療報酬改定で、医師が再診時に算定できる「外来管理加算」に“5分ルール”が導入されたことで、開業医の8割近くが減収になるとみていることが、奈良県保険医協会の調査で明らかになった。同協会では、「5分というのは、何ら根拠がない数字であり、断固として『時間要件』の撤廃を求めていかなければならない」と主張している。“5分ルール”については、青森県や神奈川県などの保険医協会の調査でも、大半の診療所などが減収になっていることが判明しており、全国各地の医療機関の経営を“圧迫”している。

 調査は、外来管理加算をはじめ、4月に「後期高齢者医療制度」が始まったのに伴って75歳以上の外来診療に導入された「後期高齢者診療料」などについて、同協会の会員となっている奈良県内の575人の開業医を対象に実施。137人から回答があった。

 外来管理加算では、今年3月と4月の算定割合(再診時に外来管理加算を算定できた割合)を比較した。その結果、3月に67%だった算定割合が4月には50%と、17ポイント下がっていることが分かった。外来管理加算の算定減による減収額は、「10万円未満」が35%、「10万−30万円未満」が31%、「30万円以上」が13%だった。
 “5分ルール”については、「反対」が88%に上り、「賛成」は3%にとどまった。

 複数の疾患の中から主な病気を1つに決めて、1人の主治医が「担当医」として診療報酬を算定できる「後期高齢者診療料」(月6000円)については、届け出をしている診療所が24件で、このうち実際に算定しているのは6件にすぎなかった。同診療料については、「反対」が70%、「賛成」が5%だった。

 回答者が寄せた具体的な意見を見ると、“5分ルール”については、「診察内容を時間で考えるのは、いかがなものか。きちんと説明している場合でも、5分以内であれば、外来管理加算を算定できない。これでは診療時間が長くなり、患者の待ち時間が増える」「適正な診療であれば、時間に拘束されるべきではない。すべての診療を時間で区切るべきではない」「医師の診察だけでなく、看護師による指導なども大切。一律に医師が診察する時間が5分間というのは、患者にとって良くない」などと異議を唱える声が相次いだ。
 「後期高齢者診療料」については、「主治医を1人に限定するなど、医療費削減が主たる目的で、もともとのコンセプトが良くない」「将来の医療費削減が新設の狙いで、現場の医療従事者にも患者にも優しい制度ではない」などと疑問視する意見が多くを占めた。

 また、同協会では、外来管理加算について、県内の中小病院(一般病床200床以下)にも調査を実施。63病院のうち、25病院が回答を寄せた。外来管理加算の算定割合は、昨年4月に61%だったが、今年4月には52%と9ポイント減少。“5分ルール”については、20病院が「反対」と答えている。

 青森県保険医協会の調査では、回答を寄せた公的病院の7割超が年間1000万円超の減収と予測。神奈川県保険医協会の調査でも、約6割の診療所と約7割の中小病院が減収となっている。

【外来管理加算の“5分ルール”】
 今年4月の診療報酬改定で、外来管理加算の算定要件として「おおむね5分を超える診察」などが加えられた。同加算(52点、1点は10円)は、診療所と200床未満の病院で、外来での再診の際、処置や検査、リハビリ、精神科療法などがなく、診察、指導、投薬のみであった場合、医師が再診料(診療所71点、病院60点)に加えて算定できる。


更新:2008/09/12 14:44   キャリアブレイン


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