○ 左利きの女性は早死にする??ユトレヒト大学
左利きの女性は早死にする危険が大きく、とりわけがんや脳内の血管障害がもとで命を縮めるという。ユトレヒト大学(オランダ)のメイド・ラマドハニ博士と同僚学者の長年にわたる研究の末突きとめたもので、「エピデミオロジー」誌の最新号に掲載された。
オランダ人中・高年女性一万二千百七十八人の協力を得て、約13年にわたり追跡調査を行った。右利きと左利きを単純比較したところ、左利きは全体の約1割を占めていた。調査期間の約13年間に全体の約2%、252人の女性が死亡した。70歳を超える老人のうち左利きの占める割合は目立って少なかった。諸環境や遺伝などを勘案しても、左利きは右利きに対して明らかに短命だった。左利きが右利きより早く死ぬ危険は、心身のトラブルがもとで約40%、がんで約70%、循環系障害で約30%大きいことが判明した。早死にの危険度を個別にみると、大腸がんが最大の5倍で、脳内の動脈障害3倍、乳がん2倍と続いている。
ラマドハニ博士は「数多くの決定的なレポートやデータが左利きと短命の密接な関係を指し示している」と言う。これに異論を挟むのが米国立環境健康研究所のオルガ・バッソ博士。「ラマドハニ博士の説は左利きが出生前に受けた?侮辱“の結果だという仮説にたきつけられたもの。左利きの短命説はうわさに過ぎず、文学上の虚構だ。左利きのわたしにこの説をあてはめるのは馬鹿げている」と反論している。(注)文中の?侮辱”は英語のinsultですが、何を意味するのかよくわかりません。
○ 夫が長生きできるのはがみがみ女房のおかげ?
夫が長生きできるのはがみがみ女房のおかげで、女房が口うるさく言わなかったら夫の多くがもっと早死にするだろうという。豪州前立腺がん基金の理事長、アンドリュー・ジャイル博士と同僚学者の調査、研究で明らかになった。
50歳以上の豪州男性600人を対象に調査および面談を行った。その結果、男性(夫や女性と同棲している男性)が医者に行かないのは女性(妻や男性と同棲している女性)の3倍に達し、男性の3人に1人は定期健診を受けないことがわかった。男性の23%は女性の乳がんを深刻な病気だと認識していたが、前立腺がんを危険な病気だと全く考えていなかった。面談の結果、約80%の男性は枕をともにする女性に口うるさく言われて、しぶしぶ医者を訪ねた。医者に行った男性の60%は口うるさい女性の勘が当たって、前立腺に何らかの問題を抱えていた。豪州前立腺がん基金は広報を通じて、50過ぎの男性は前立腺がんを警戒し、加えて高血圧、コレステロール、血糖値の検査を毎年欠かさないことが長寿の秘訣とアドバイスしている。
ジャイル博士は男性が女性より平均5歳から7歳早死にする要因の一つは医者嫌いにあるとしたうえで、「この研究は二つのことをはっきりさせた。女性は男性の健康に確かな割合で貢献している。男性は前立腺がんをほとんど深刻な問題として認識していない。女性のがみがみがなければ男性の命はもっと短いはず」と指摘している。
○ 受験生にお勧め、目玉を左右に30秒動かすだけで記憶力が10%アップ!
脳を活性化し記憶力をアップするには、目玉を左右に30秒続けて動かすだけで十分で、記憶促進剤などに頼る必要は全くないという。マンチェスター・メトロポリタン大学(英国)のアンドリュー・パーカー博士らの研究で明らかにされたもので、ブレーン・アンド・コグニション誌の最新号に掲載された。
ボランテイアの大学生102人を集めて、目玉を30秒動かすエクササイズに参加したグループと、普通に何もしないグループの二班に分けた。15から20の単語を男性の声で朗読して聞かせたところ、目玉を30秒左右に動かすエクササイズをしたグループは、何もしなかったグループと比べて、単語の数を平均で10%ほど多く正しく記憶していた。人には魅力に富む必須の単語と、魅力を欠くつまらない単語があるが、目玉のエクササイズに従事したグループは、魅力ある必須の単語をよく記憶し、魅力のないつまらない単語を避ける傾向があった。パーカー博士によると、目玉のエクササイズ組が魅力のないつまらない単語を避ける割合は約15%だった。
右脳と左脳の相互連絡は、ポジテイブに働いて脳の力をアップさせるが、目玉を左右に動かすことで右脳と左脳が相互に刺激を受け、影響しあって記憶力を上げるのではないかという。パーカー博士は「目玉30秒のエクササイズは試験直前の詰め込みにとても便利。そのうえ、詰まらないものを避け、必須のものを覚えさせる働きがあるから急場の暗記にもってこい」と言う。(注)ブレーン・アンド・コグニション誌の無料サイトには記載されていませんでした
○ 喫煙とすい臓がんはリンクする??ミシガン州立大学30年の成果
??タバコの煙はがん発生の主犯ではなくがん助長のファクター??
タバコをふかすことで生じる化学物質はすい臓がんを発生させる主犯ではなく、既に変異を遂げている幹細胞に働きかけてがん化を促すにすぎないという。ミシガン州立大学のジェームス・トロスコ教授ら約30年の研究成果で、インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー誌の最新号に掲載された。
タバコをふかす時に煙化した化学物質は、学会では「多環芳香族炭化水素」(PAH)と呼ばれる有害物質。このPAHは幹細胞を変異に導きがんや腫瘍を発生させる直接の存在ではなく、それまでに既に変異を遂げている幹細胞の成長を後押しする形で発がんプロセスにかかわるとトロスコ教授は言う。したがって、タバコの煙のPAHはがん発病に至る幹細胞変異の主役ではなく、幹細胞の変異自体にはかかわらない。なんらかの関係で既に変異を遂げてしまっている幹細胞をバックアップしてがん化を進めるのがPAHの役目というわけだ。
トロスコ教授は「PAHはすい臓がんを助長するだけの役目で、がんを発病させる直接のファクターではない。だから禁煙すれば多くの発がんを阻止できるはず」と言う。学会ではこれまで、タバコをふかす時に発生するPAHが遺伝子を変異させ、がんのメカニズムにかかわると考えていた。なお、PAHは蛋白質を含む食べ物をもやす時に形成される。喫煙時、ステーキ、ハンバーグをグリルにする時、魚を網で焼く時などに生じるという。
○ 最も健康によいフルーツジュースは?
最も健康によいフルーツジュースは紫色葡萄ジュースだという。フルーツジュースのキングに紫色葡萄ジュースを推したのはグラスゴー大学(英国)のアラン・クロジェー教授らで、アグリカルチャー・アンド・フードケミストリー誌上で発表した。
クロジェー教授らによると、二番目に健康によいフルーツジュースはアプルジュース。ただししぼったままの、ろ過しない状態のもので、市場に出回っている透き通ったアプルジュースは推薦できないという。これと肩を並べるのはクランベリージュースとザクロジュースだが、グレープフルーツジュースのようなシトラス系にみられる栄養価(ビタミンCなど)にやや欠けるのが難点。いずれのジュースも抗酸化物質のポリフェノールを豊富に含んでおり、コレステロールを落とし血液循環を活発にして心臓病を遠ざけ、活性酸素を排除してアルツハイマー病やがんを抑制するという。
ナンバーワンの紫色葡萄ジュースはコップ一杯(200ミリリットル)に400ミリグラム以上のポリフェノールを含んでいる。赤ワインで最もポリフェノールの多いボージョレと互角の含有量で、コップ一杯(同)のポリフェノールが約50ミリグラムというグレープフルーツジュースなどとは比べ物にならない。クロジェー教授は「フルーツジュースにはそれぞれ長所がある。ここに掲げたジュースを日常バランスよく飲むのが健康にとってベストだ」と助言している。
○ 前立腺がんを抑制するクルクミン(カレーの黄色成分)
うこん(ターメリック)の根茎の主成分、クルクミンには前立腺がんをはじめアルツハイマー病、脳梗塞、動脈硬化、多発性硬化症を抑制する働きがあるという。アラバマ大学のリー博士らの研究でわかった。
リー博士らは臨床実験に際し、クルクミン使用組、がん治療薬ゲンシタビン使用組、放射線治療組、何の治療もしない組の4組に分け、4週間にわたって観察を続けた。その結果、クルクミンが前立腺がん腫瘍の成長を著しく抑制し、併用すればゲンシタビンや放射線治療の効果をいっそう高めることを突き止めた。しかし現段階では、腫瘍性蛋白質の活動の抑制を確認できたものの、抗がん効果の分子メカニズムを解明するまでには至っていないという。
この研究結果を知らされたバイオポニック・ホイトシューテイカルズ社のステイーブン・ショア会長兼CEOは「クルクミンを薬品化することで難病治療の可能性が非常に広がる。うこんを栽培すればクルクミンを得られるわけで、経費的にも非常に安く入手できる点が最大のメリット」と言っている。
うこんはしょうが科の多年草で、根茎を水洗いして皮をむき、天日で乾燥したものを細かく砕いてカレーに使う。黄色の色素成分がクルクミンと呼ばれる抗酸化物質。赤血球の酸化を抑え、溶血を止めて血中コレステロールを減少させるほか、肝臓機能を助け胆汁の分泌を促し、脂肪分解酵素リパーゼの働きを促すことも知られている。
○ 睡眠中のよい匂いは記憶力をアップさせる
寝ている間中よい匂いをかがせると、人の記憶力(メモリー)は1割以上強化されるという。リューベック大学(ドイツ)の神経生物学者らの研究で判明、サイエンス誌の最新号に掲載された。
研究のために集めた医学生に、コンピューターでメモリーゲームをさせ、マッチングを目指してペアのカードを出すよう求めた。部屋にバラの甘い匂いをまいた。二班に分かれた医学生のうち、メモリーゲームを終えて深い眠りについた彼らの部屋に、引き続きバラの匂いを漂わせた。もう一方の医学生の寝ている部屋は、バラの匂いはおろか何らの匂いもしないよう部屋のクリーンを徹底させた。そのうえで両者の記憶力反応を調べることにした。
次の朝、バラの匂いの中で睡眠をとった学生の記憶力は、バラの匂いのもとで寝ることのなかった学生と比べて、たった1日のことなのに1割以上も向上していた。バラの匂いの中で寝た学生の正解率は97%、なんの匂いもかがないで寝た学生の正解率は86%だった。
しかし、よい匂いが寝室に漂っていてもそれを嗅ぐ側が熟睡していない場合の効果はないに等しく、バラの匂いと同時にマッサージ記憶向上療法等を行っても何らの記憶増強につながらなかったという。リューベック大学の学者らは「嗅覚を支配する脳は人が眠っている時も活動している。しかし、匂いにしか反応しない脳の一部をマッサージなどで刺激しても、記憶力を上げることはできない」と言っている。
○ 薬指の長い男は女好き??リューベン大学調べ
薬指の長い男ほど女好きで、美人を見ると平常心をなくして判断力をすぐ鈍らせるという。リューベン大学(ベルギー)の研究でわかった。
同大学の学者が18から28歳の男子大学生176人を集めて彼らの薬指と人差し指の長さを測ったところ、多少の差はあるにしろほとんどの大学生の薬指は、人差し指より長かった。薬指の長短は母親の胎内にある男性ホルモン、テストステロンの影響で変わると言われ、テストステロンの多い男ほどその薬指が平均より長くなるそうだ。しかも統計上から言うと、薬指の長い男ほど女好きで、美人をみただけでメロメロになってしまうという。当然女を手にかけるのも早く、生殖力も極めて旺盛だ。
研究を主宰したシーグフリード・デウイッテ博士は「テストステロンの多い、薬指の際立って長い男性ほど性的なきっかけに敏感。セクシーなきっかけがあれば衝動的になり、判断力をすぐ失う。女性の場合、薬指と人差し指の長さはほぼ同じで、男性のような視覚上の影響をほとんど受けることがない」と言っている。
一方、男子大学生をいくつかの班に分けて、風景写真、美人の写真、老女の写真、若い女性の写真、ブラジャー、ランジェリー、下着を見せた。そのあとの全員参加のマネーゲームでは、テストステロン・レベルの高い、薬指の長い男ほどブラジャーなどの性的イメージにかく乱され、平常心をなくして不公平な取引を平気で行ったという。
○ 8時間以上寝ると長生きできない??カリフォルニア大学
夜間に8時間もしくはそれ以上睡眠をとると、長生きできないという。カリフォルニア大学サンデイエゴ校のダニエル・クリプケ教授らの研究成果で、米国医学学会(JAMA)の一機関誌、ゼネラル・サイカイアトリー誌2月号に掲載された。
それによると、一晩に8時間寝る人は6時間半から7時間半睡眠をとる人と比べて、今後6年間に死亡する危険が12%大きくなるという。さらに一晩に8時間半以上寝る場合も、6時間半から7時間半睡眠の人と比べて、死亡する危険が15%アップするという。
クリプケ教授によると、長寿最高の条件は「一晩7時間の睡眠」で、8時間は寝すぎ。たとえ5時間しか寝ていない場合でも、8時間以上寝る人より長生きできるという。また同じ睡眠状態でも、深い睡眠をとれない不眠症は別問題で、睡眠時間の少ないことより不眠症で起こる「うつ」のために健康をそこなうという。
調査は全米の30歳から102歳の成人約110万人(中間値は女性57歳、男性58歳)を対象に行った。睡眠の集中している時間帯はやはり8時間と7時間で、男女ともに全体の7割をオーバーしていた。男性の場合は8時間38%、7時間34%、女性の場合は8時間39%、7時間34%。逆に4時間の睡眠は男女それぞれ1%、10時間以上は男性3%、女性2%。調査期間の6年間に死亡したのは女性5.1%、男性9.4%で、死因は心臓病、がんなどだった。
○ 肝臓障害、高血圧、狭心症の危険??ばくちの常習者
ばくちの常習者は肝臓障害、高血圧、狭心症などの危険に陥りやすいという。コネチカット大学のナンシー・ペトリ博士らの調査・研究で判明、専門誌「サイコソマテイック」の最新号に掲載された。学界によると、ばくちと病気の関係を明らかにした初の研究だという。
ペトリ博士らが研究対象にしたのは米国の成人4万3093人だった。ばくち常習者には二通りあって、精神障害の一種といわれる「病的なばくち好き」はこのうちの0.5%程度、「問題のあるばくち好き」は「病的なばくち好き」を除いた1%程度だという。ばくちに手を染めない人と比べて、「病的なばくち好き」が狭心症に襲われはげしい胸痛を訴えるケースは2倍以上に及ぶ。肝硬変など肝臓障害を病む危険は約3倍、心拍の変調などに苦しむケースは2倍以上になるという。
「問題のあるばくち好き」も「病的なばくち好き」ほどではないにしろ、ばくちをしない人と比べると、健康上の諸問題を抱え特に高血圧、狭心症、肝硬変などに苦しめられる。ばくちの常習者はたばこを吸いアルコールを飲むことが多いが、それとこれらの病気との因果関係は希薄という。米国でしばしば話題になるのはポーカー狂いの人々だが、ラスベガスなど公認賭博場に入りびたって、貯金、株券のほか乗ってきた車まですり健康を害したうえ住む家まで失う人もいる。日本人の娯楽になっている賭けマージャンなどもほどほどにしないと体を壊すもとだ!
○ 週5回以上ベーコンを食べると膀胱がんの可能性が59%アップ
一週間に少なくとも5回以上ベーコンを食べると、ベーコンを口にしない人と比べて膀胱がんを患う危険が59%大きくなるという。また、一般に安全食品と考えられている皮抜きチキンも頻繁に食べると危険で、膀胱がんの可能性が52%大きくなるという。ハーバード大学の研究でわかったもので、専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」の最新号に掲載された。
ベーコンに含まれるニトロソアミンとヘテロサイクリック・アミンと呼ばれる化学物質が膀胱がんを誘発するという。13万6000人を対象に22年間フォローアップ調査を行ったところ、この期間中に膀胱がんを発病した人は808人にのぼった。いずれもベーコンやベーコン・サンドイッチをさかんに食べていた人たちだった。ニトロソアミンは亜硝酸とアミン類が化学反応して生成される発がん物質で、ベーコンやハムなどプロセスミートに含まれていることが多い。ヘテロサイクリック・アミンも発がん物質で、肉類をフライ、網焼き、グリルなど高温で料理するときに生成されるという。
研究チームは「ベーコンや赤肉をむやみに食べると膀胱がんの危険が大きくなる。野菜、果物、繊維類などバランスのとれた食事を摂ることがとても大切」と警告するとともに、「ベーコンを好む人には肥満型が多く、ビタミン摂取に無関心なうえに、たばこを吸い運動を嫌がる傾向がみられる」と報告している。
○ 未成年のデートと喫煙に相関関係 ?? ユニバーシテイー・カレッジ・ロンドン
高校卒業前の18歳未満で異性とデートを始める子供は、そうでない子供と比べ高校卒業時点でたばこをふかす危険が数倍となり、この傾向は少女のほうにより顕著だという。ユニバーシテイー・カレッジ・ロンドンの5年に及ぶ研究成果で、専門誌「アデイクション」に掲載された。
英国の少年少女5000人を対象に、デートの有無と喫煙の相互関係を中心に調べた。その結果、小学校に在籍して11?12歳のころからデートを始める少女が、16歳までにたばこを吸う可能性は2?3倍になることがわかった。さらにまた、彼らが18歳になった時点で喫煙家になる可能性は、たばこを吸わない少女と比べて9倍にまで上昇するという。
少年は少女の数字をやや下回っている。たばこを吸っている14?15歳の少女の数が全体の約2分の1を占めるのに対し、同年代の少年で喫煙をしている者はほとんど4分の1にすぎないという。11歳でデートを始める少年が18歳までにたばこを吸うようになる可能性は6倍、12歳でデートを開始する少年が高校卒業までに喫煙家になる危険は2倍だという。
この結果について研究を指導したロバート・ウエスト教授(健康心理学)は、「少年少女のデートと喫煙は密接な関係にあるが、子供たちは大人の真似をしたいというよりも、仲間の人気者になって友達に対し、印象づけよう、彼らの注意を引きつけよう、という動機に左右される」と説明している。
○ 年下の兄弟姉妹が多いのは脳腫瘍の原因になる
姉妹姉妹の数は脳腫瘍発病の決め手になるという。年下の兄弟姉妹を3人以上もつ子供は、兄弟姉妹をもたない子供と比べて15歳までに脳腫瘍を患う危険が2倍から4倍になる。ただし、大家族の中で年上の兄弟姉妹を3人以上もっても脳腫瘍発病の危険が増すことはないという。ドイツがん中央研究所のアンドレア・アルテイエリ博士らが突き止めた研究成果で、ニューロロジー誌12月12日号に掲載された。
脳腫瘍を患うスウエーデン人13600人以上の病状を分析したところ、同じ屋根の下に住む兄弟姉妹の数は、脳腫瘍発病と密接な関係にあることがわかった。年下の兄弟姉妹を3人以上もつ子供は、兄弟姉妹をもたない子供と比べて神経芽腫と呼ばれる神経システム系腫瘍の危険が2倍、髄芽細胞腫と呼ばれる脳腫瘍の危険が2倍、髄腹腫の危険が約4倍になるという。
年下の兄弟姉妹をもつ子供が、思春期に感染病にかかる危険は高く、年下の兄弟姉妹からの再感染の危険も増大することが知られている。この場合の脳腫瘍の原因も、神経システム系腫瘍にかかわる感染性ウイルスのせいではないかとアルテイエリ博士らはみている。社会的経済的なファクターが神経システム系腫瘍の発病に影響を与えることはほとんど考えられないという。このほかがん性ウイルス感染には、ホドキンリンパ腫、乳頭腫、子宮頸がん、C型肝炎、肝臓がん、エイズ、カポン肉腫などがある。
(注)神経芽腫?neuroblastomas, 髄芽細胞腫?medulloblastoma, 髄腹腫?meningioma,
乳頭腫ウイルス?papillomavirus, 肉腫?sarcoma
○ 頭のよい子供はベジタリアンになる!
利口な10歳の子供が30歳の大人のときにはベジタリアン(菜食主義者)になっている可能性が大きいという。サザンプトン大学(英国)のキャサリン・ゲール博士らの研究で判明、ブリテイッシュ・メデイカル・ジャーナル誌最新号に掲載された。
1970年に英国で生まれた男女8170人の10歳時に知能(IQ)テストを行い、20年後、つまり30歳になった時点での主要食事が肉食、菜食のどちらを選んでいるかを調べた。その結果、ほとんどの人は肉食に傾き、ベジタリアンと答えた人は366人にすぎなかった。
ベジタリアンと答えた男性の10歳時の平均知能指数は106で、肉食の男性の平均知能指数は101だった。10歳時の女性ベジタリアンの平均知能指数は104で、肉食女性の平均知能指数は99だった。男女ベジタリアンの10歳時の知能指数は、肉食の人より5ポイント高かった。また分析の結果、男女に関係なく知能指数のスコアが15ポイント上昇するごとに、ベジタリアンを選択する可能性は38%大きくなることもわかった。ベジタリアンは概して女性に多く、彼女らの職業的、社会的地位は肉食の女性と比べて著しく高かった。ゲール博士は「頭のよい子供は大人になったとき、健康によい菜食主義を選ぶという結論だ。IQの高い子供が大人になると、冠状静脈系心臓病を患うケースが少ないという学説とリンクするのではないか」とコメントしている。
○ 死の危険は64%大きくなる??背丈が3センチ以上縮む男性の場合
齢とともに背丈も縮むが、縮む程度がはげしいと死や心臓病の危険まで増大するという。ロイヤル・フリー・アンド・ユニバーシテイー・メデイカル・スクール(ロンドン)の臨床実験と医学分析の結果わかった。1980年に英国の24地区で、40歳から59歳までの7735人を選抜のうえ20年後、60歳から79歳になった男性4213人の背丈の変化を調べた。調査の時点で760人もの男性が他界していた。
研究者らは背丈の縮みが1センチ以下の人、1センチから1.9センチまでの人、2センチから2.9センチまでの人、3センチ以上の人の4グループに分けた。その結果、背丈の縮む程度が大きいほど、死や心臓病の危険も増大することがわかった。背丈の3センチ以上縮む男性の場合、1センチ以下しか縮まない男性と比べて死の危険は64%大きくなり、冠状動脈系心臓病の可能性も大きくなるという。20年間の背丈縮みの平均値は1.67センチだった。研究者は背丈の縮みと死、心臓病の相互関係を突き止めていないが、「骨の縮み・変化と関係深い骨粗そう症は死亡の原因になる。深刻な骨粗そう症の場合、背丈は6センチ以上縮んで生命を脅かす」と言っている。骨、筋肉、関節の変化で背丈は縮み、骨組みの複雑な変化が骨粗そう症や呼吸器障害をもたらすというのが従来の学説。研究成果はジャーナル・アーカイブズ・オブ・インターナショナル・メデイスン誌12月号に掲載された。
○ 避妊用ガムが登場??ワーナー・チコット社の「フェムコンFe」
ガムで避妊できる時代になった。米国市場に登場した避妊用ガムの名は、ワーナー・チコット社製の「フェムコンFe」。標準経口避妊薬と同じホルモンを使い、同じ避妊効果を得られるという。
ペパーミント・フレーバーのさわやかな味で、普通のガムのように噛むのもいいが、そのまま飲み込んでもOK。口内で噛まない場合、225グラム程度の水(計量カップ一杯よりちょっと多め)と一緒に飲み込むことを同社は勧めている。1パック(一カ月分)に二十八個のガムが入っており、一個のガムには35ミリグラムのエチニール・エストラデイオール、40ミリグラムのプロゼスチンのほか、75ミリグラムの鉄分が含まれている。商品名「フェムコンFe」のうしろについたFeは、鉄分の元素記号を表すFe。
避妊薬は飲まなければ効かないが、学会調べによると、結婚もしくは同棲している女性の三分の一ないし二分の一は月に一、二回飲むのを忘れるという。当然のことながらその分、妊娠の確率が高くなる。ワーナー・チコット社はこの点に目をつけ、避妊用ガムなら飲むのを忘れなくて済むのではないかと考えた。ノースウエスタン大学のリー・シュルマン教授は「避妊薬をペパーミントガムにしたことで、忘れる女性が激減するのではないか」と期待している。一パックの卸価格は44ドル(5150円)、薬局で求めると48?52ドル(5620?6080円)程度。
○ 育毛剤プロペシアは前立腺がんマーカーを狂わせる!
育毛剤プロペシアは前立腺がんマーカーを狂わせる!プロペシアを使用している人が前立腺がんテストを受ける場合、育毛養分ファイナステライドの影響で正確な病状を把握できないという。ファイナステライドによって、前立腺特別抗原(PSA)と呼ばれる蛋白質レベルが著しく低下するのが主原因。ブリガム婦人病院のアンソニー・ダミコ博士、テキサス大学のクラウス・ローアボーン博士らの研究でわかり、話題をまいている。
前立腺がんの病状が進むと、血液中のPSAレベルを上げることがわかっているが、プロペシアを使用すると、PSAレベルの低下にいっそう拍車がかかる。プロペシアを使用中の40歳から60歳までの男性355人を選抜のうえ臨床実験を重ねたところ、一年間使用した男性のPSAレベルは実際の半分に減っていた。当然ながら実数はこれの2倍である。ダミコ博士は「プロペシアの影響で、PSAレベルが実数より低くなることを知らないと、前立腺がんが進行している症状を放置して命取りになることもある。プロペシアの利用者が前立腺がんテストを受ける場合、その旨を医師に報告しないと誤診のもとだ」という。
メーカーのメルク社は「プロペシアの利用者が前立腺がんテストを受ける場合、そのがんマーカーが狂うことがある旨ラベルで警告している」といっている。ダミコ博士の研究論文はランセット・オンコロジー誌に掲載された。
○ 乳頭腫ウイルスによる子宮頸がんの危険大??女性スモーカーの場合
女性スモーカーが乳頭腫ウイルスに感染している場合、子宮頸がんを患う危険が極めて大きくなるという。スウエーデンのカロリンスカ研究所の臨床実験でわかった。
同研究所によると、約19種類存在する乳頭腫ウイルスは子宮頸がん発病のもとになるが、なかでも乳頭腫ウイルス16は最も危険だという。スモーカーがこのウイルスに感染している場合、子宮頸がんにかかる危険はノンスモーカーに比べて数倍大きくなる。ノンスモーカーが乳頭腫ウイルス16に感染していたら、子宮頸がんの危険は6倍なのに、ウイルス感染のスモーカーが子宮頸がんにかかる危険は、9年以内に14倍になるという。ウイルス・レベルがもっと濃厚なら子宮頸がんの危険は27倍まで増大するし、ウイルスに感染していながら少なくとも5年以上たばこを吸い続ける場合、子宮頸がんの危険はさらに32倍まで跳ね上がるという。
同研究所のアンソニー・グンネル博士らは初期の子宮頸がんを患っている375人とこれまで子宮頸がんを患ったことのない363人の医療記録を比較し、血液中の乳頭腫ウイルス・レベルをチェックした。その結果、乳頭腫ウイルスに感染しているスモーカーに子宮頸がんの発病頻度の高いことがわかった。また、喫煙は免疫機能を低下させることで乳頭腫ウイルス16の成長を助けることも判明した。キャンサー・エピデミオロジー・バイオマーカー・アンド・プレベンション誌11月号に掲載された。
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