大阪市の米販売会社「三笠フーズ」が工業用に限定された事故米を「食用」に転用していた問題で、基準値を超える有機リン系の農薬成分・メタミドホスが検出されたため事故米とされた中国産のもち米が、赤飯やおこわなどの食用として、近畿2府4県の病院や特別養護老人ホームなど計119カ所に流通していたことが11日、わかった。いずれも給食会社「日清医療食品」(東京)の近畿支店(京都市)から各施設に納入された。多くが消費されたとみられるが、健康の被害は報告されていないという。
日清医療食品によれば、同社近畿支店は今年5月1日から9月8日にかけ、堺市の仲介業者「大和商会」から、事故米とは知らずに約704キロを購入、各施設に配給した。内訳は大阪府が48カ所、京都府が26カ所、兵庫県24カ所、滋賀県10カ所、奈良県8カ所、和歌山県3カ所。いずれも施設内の食堂などで赤飯やおこわ、もちなどに調理されて、職員や入所者らに提供されていた。704キロのうち8キロは保育所向けだったという。
日清医療食品の広報担当者は「もち米を仕入れた大和商会からは、米国産という説明を受けていた。中国産との認識はなかった」と話している。調査した大阪府などは「米は余分な注文をしないし、残っていないだろう」と説明しており、ほとんどが施設内で消費されたとみられる。
同社は大和商会に発注した伝票を集計し、汚染米を各施設にどれだけ納入したかを調査している。
大阪市によれば、配給された同市内9区の病院9カ所、老人保健施設4カ所の計13施設のうち、少なくとも7施設の入院患者や職員ら計五百数十人の給食などに使われた。在庫として保管されていた分を除いて赤飯やおこわなどとして消費されたとみられるという。