城之崎旅行でのこと
好物のカニ酒に 二人して酔っ払った
カニを食べる時は無口になるって言うけれど
アタシ達は カニの身をほぐしながら
食事の間中ずっと色んな話をした
ダーリンが こんな話を始めた
「最近 俺たち毎回 中出ししてるやん
それってスゴイ事やと思う
お互いに腹をくくらないと出来ない事やもんなぁ
お互いがお互いに責任持つって事やもんなぁ
他に好きな人が居たり
少しでも別れを考えてたら出来ない事やもんなぁ」
「うん そうやね
たまに不安な気持ちに襲われたりする時もあるけど
その時に 中出しの事を考えたら気持ちが落ち着く 笑
だって大ちゃんが
アタシと この先ズット一緒に居ようと思ってなければ
恐ろしくて そんなｺﾄ出来ないでしょう！？
でも大ちゃんはアタシと子供を作ろうとしてくれている
アタシと これからの人生を生きようとしてくれているんだ
そう考えたら落ち着く」
「うん 百合ちゃんの人生に責任持つって
覚悟決めてなければ
中出しは出来ないよ
でも これが本当に愛し合った男と女の
自然な行為なのかもしれへんなと思う・・」
「うん そうだね・・・・」
アタシはズット聞いてみたくて
でもダーリンの答えを聞くのが怖くて聞けなかった質問を
今夜思い切ってしてみたくなった
どうしよう・・・
聞いてみたいけど傷付くのが怖い・・・
かに酒をゴクリと飲んで その勢いで彼に質問してみた
「大ちゃんは最初 子供作る事に反対やったやん
でも色々話合いをして
アタシの願いを叶えてあげたいと思ってくれるようになったでしょ
でも本当の本当は大ちゃんは
子供欲しいワケじゃないんでしょ？
アタシの為に
そうしてくれてるだけでしょう？」
早口で一気に言い切った
彼の答えはスグに返って来た
「俺も百合ちゃんも 年をとって行く
今は そんな実感無いかもしれへんけど
いつかは二人とも確実に死ぬ時が来るねんで
絶対にな・・・
俺らが死んで この世から居なくなっても
子供が居れば
俺たちが愛し合ったっていう証が残るやん
その子供がまた 誰かと出会い愛し合って子供が出来たら
また俺たちの愛の証が次の世代に繋がって行く・・・
だから俺も百合子との子供
欲しいって思ってる」
。・ﾟﾟ･(≧д≦)･ﾟﾟ･｡
アタシがずっと抱えていた不安が また一つ消えた日でした
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ダーリンと過ごした この５年の間に
アタシは 少しづつ少しづつ
強くなったのかもしれない
翌朝 目覚めると
目は腫れ上がったままだったが
心は軽くなっていた
社員とスーパー銭湯に行っていた
というダーリンの言葉を
一点の曇りなく信じたワケでは ないけれど
そんな事は もうどうでも良くなっていた
心は寄り添っていないのに 一緒に居る関係より
離れていても 心が寄り添っている関係でありたい
ダーリンと気持ちを通じ合わせる事が出来て
むしろスッキリとした気持ちになっていた
アタシ達は 互いに色々と予定や用事も溜まっていたが
全てを後回しにし この日 早い時間から会った
ダーリンは この５年の間に
少しずつ 少しずつ
涙もろくなったのかもしれない
「百合子に辛い想いをさせて ごめん
百合子の気持ちを考えると 苦しい・・・」
とアタシを抱きしめながら 泣いた
「これからも 苦しい時 辛い時は一人で抱え込まず
俺に全て ぶつけて！
俺は全て受け止めるから！
一人で気持ちを抑えていると
いつか耐え切れなくなる日が来てしまうから！」
昨夜 ダーリンはアタシの苦しみを
半分 引き受けてくれたのだろう
アタシが泣けば
ダーリンも苦しいんだ
もちろん ダーリンが泣けば
アタシも苦しい
アタシ達は二人で一つだ
アタシはダーリンの強さを身に付け
ダーリンはアタシの涙もろさを 譲り受けてしまったようだ
昨夜 崩れ落ちた「幸せ」という名の砂上の楼閣は
再び 建った
崩れ落ちたら二人で また築けば良い
砂上の楼閣は何度でも 何度でも
しぶとく建て直す事が出来るのだと気付いた