松本第一高校(松本市)柔道部で、2年生男子が上級生らから口に汚物の付いた綿棒を入れられるなどのいじめを受け、この夏に退部し転校していたことが10日分かった。学校側は事実関係を認め、この元部員と保護者に謝罪した。
同校柔道部は高校総体出場歴が多い。監督の津金武寿教諭が松本市内の自宅横に寮を設け、実家が遠い部員を住まわせている。いじめは元部員も入っていた寮内で主に起こった。津金監督は「目を光らせていたつもりだったが、すきがあった。現在寮生活をしている部員(1−3年)の卒業後に寮の運営をやめることを考えている」としている。
元部員や保護者によると、入学後間もなく、同学年のある部員を中心に、おとなしい性格をあげつらうような言葉によるいじめが始まり、頭をたたかれたり、体をつねられたりするようにもなった。今年6月には、3年生2人と、一緒に寮生活をしている地元の中学3年生に体を押さえ付けられ、1年生の肛門(こうもん)に押し入れた綿棒数本を無理やり口に入れられた。
7月、県内の実家に戻った元部員の異変に母親が気付き、綿棒を入れられたことを聞き出した。母親から連絡を受けた学校側が関係する部員に問いただすと、「ふざけ半分だった」としながらも事実を認めたため、山崎泰校長と津金教諭が元部員の実家を訪れて謝罪。その後、綿棒を入れた3人と同学年の1人、それぞれの保護者も謝罪した。
同校によると、現在の3年生を含む複数の部員が、過去に上級生から肛門に異物を入れられた可能性もあるという。山崎校長は「部員との面談を増やして何があったか引き続き調べ、生徒の声を吸い上げられるようにして再発防止に努めたい」としている。