最高裁の横尾和子判事(67)が依願退官することが4日、明らかになった。在任期間が6年9カ月と現職の最高裁判事で最長となっていることや、大法廷で審理されている案件が今月でなくなるなど事件処理に区切りがついたことが理由という。近く閣議で正式に退官が決まる。最高裁判事が、健康上の理由ではなく、定年(70歳)前に退官するのは異例。
横尾氏は元社会保険庁長官。年金記録漏れ問題で歴代社保庁長官の責任を問う声が強まる中、最高裁判事にとどまっていることに批判も出ていたが、最高裁は「退官理由とは聞いていない」と話している。
任期途中での退官は、健康上の理由で01年12月に退いた大出峻郎氏(故人)以来で10人目。横尾氏の定年は11年4月で、任期は2年7カ月残っていた。
横尾氏は旧厚生省出身。年金局企画課長や老人保健福祉局長などを歴任し、94年9月から96年7月まで社保庁長官を務めた。退官後、アイルランド大使などを経て、01年12月に女性として2人目の最高裁判事に就任した。 最高裁の裁判官は15人いて、横尾氏は行政官出身2人のうちの1人。【北村和巳】
毎日新聞 2008年9月4日 11時50分(最終更新 9月4日 13時38分)