熊本市議会は10日まで4日間にわたって一般質問があり、市立熊本産院の廃止問題で、全会派が幸山政史市長に考え方をただした。最大会派の自民(17人)が「(会派の判断は)白紙。委員会や党内議論を経て判断したい」とするなど、市の説明姿勢に批判が集まっており、議案の行方は流動的だ。【結城かほる】
「3000万円以上の赤字で廃止」という市議会が2年前出した条件に対し、産院は07年度決算で赤字額を2653万円に圧縮してこの条件をクリアした。
自民の倉重徹議員は、それなのに、市は議論もなく廃止方針を打ち出し、市民を説得もしていないと指摘。「反対運動が広がり説明もしていない状態では、議会への責任転嫁だ」と述べた。
産院廃止議案に賛成しているのは、未来(10人)。市民連合(10人)も、市民病院のNICU(新生児集中治療室)の増床や、助産師外来の新設には理解を示すが、「執行部の産院への態度は怠慢。産院の職員が共感できるまで市の考え方を説明してほしい」(東美千子議員)とくぎを刺している。
反対している公明(7人)は、産院は「母乳外来」に定評があり、他の病院で出産後に訪れる母親も多いと指摘。「市の母乳育児を産院が下支えしてきたのは明確で、その根には医師や助産師らへの信頼感がある。市が提案するように、産院廃止後にこの機能を全市に広げられるか疑問」(藤岡照代議員)として、再度、経営状況を見守るため5年間の維持を提案した。
共産(3人)は、市が「産院を建て替えた場合、10億円の費用がかかる」とした試算に対し「民間では約5億円でできるという。市民を惑わすやり方だ」(益田牧子議員)と批判した。
議論は、12日に始まる保健福祉委員会(自民3、公明2、市民連合2、未来1)に舞台を移す。
毎日新聞 2008年9月11日 地方版