桜井淳所長の最近の講演内容-動燃の業務委託を重視する参謀本部方式の政治的意図-
テーマ:ブログ桜井淳所長は、原産編『原子力は、いま(上)』(原産、1986)の「第9章 動力炉自主開発のスタート」(pp.173-194)の記載内容に疑念を持っており、それは、産業界の立場から、きれいごとでつないでいるだけで、真実らしきことは、記されているかも知れませんが、肝心な真実は、隠されたままになっており、特に、国産動力炉開発のために設置された動燃事業団の設置経緯さえ明確にされておらず(よく話題にされる原子力委員会の機密文書の記載内容さえ真実ではなく、産業界の意見を正当化するための政治的に作り上げられた虚偽事項)、いわんや、業務委託を重視する参謀本部方式(合法的手段で国家予算を産業界に横流しするための方式)の採用についての目的は、形式的な説明だけで(「日本的な風土の中ではひとつの新組織が効率のある有機体として活動できるには数年は必要とされるだけに、先進国へのキャッチ・アップを急ぐ本計画の場合、開発公社案は間尺に合わないものとして排除され、人間を事業団に引き抜くよりも組織ぐるみ各機関の力を活用する業務委託を重視する参謀本部方式に決まった」pp.190-191)、本当の狙いなど何も記されておらず、産業界にとって不都合な真実は、歴史から意識的に消され、歴史家も原産編のそのような文献を鵜呑みにし、疑おうとせず、何が真実か分からないまま、偽装された原子力開発が継続され(国産動力炉開発失敗の原因は業務委託を重視する参謀本部方式)、歴史家もそれを黙認していますが、桜井所長は、それを歴史家の堕落と呼び、たとえ、分野は異なり、戦後の一般科学技術が調査対象と言えども、中山茂・吉岡斉・後藤邦夫編『通史 日本の科学技術 1945-1975』(学陽書房)も何を根拠に調査事項が真実と認定したのか(引用文献には常に正しいことが記されているのか、正しいか否か、何を根拠に判断したのか)、また、そのような調査結果の第三者による査読やそれに匹敵する評価を経ず、記載内容が真実かのように一人歩きしており、そのことに深く憂慮しているそうです。