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2008-09-11 13:12:20 stanford2008の投稿

桜井淳所長の最近の講演内容-国内外の社会科学の原著論文を熟読・吟味して気付いたこと-

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桜井淳所長は、いまでも、定期的に、世界の代表的な理工系学会論文誌と科学技術社会論系学会論文誌の文献調査を継続していますが、最近では、後者に該当する欧州の"Social Studied of Science"(1976-2008, 約1600編、査読付ですが学会論文誌ではありません)と米国の"Science, Technology & Human Values"(1971-2008, 約1600編)を熟読・吟味したそうですが、それに拠ると、最初に気付くことは、日本人の掲載論文が極めて少ないことで、前者の論文誌では4編(Kazuo Tomita, Miwao Matsumoto, Atsushi Akeda, Yasushi Sato)、後者の論文誌では1編(Keiko Tanaka)のみで、それも知っている名前は、たった1名(Miwao Matsumoto)しかなく、その原因は、日本人の投稿が極めて少ないのではなくて、多く投稿しても、査読でリジェクトされ、掲載されないだけで、社会科学の世界的論文誌に原著論文が掲載されることの難しさ示しており、つぎに気付いたことは、両誌とも、世界的に著名なWiebe E. BijkerやTrevor Pinch, Sheila Jasanoff等の論文は、数編掲載されていることで、その原因は、研究者としての実力の高さと英語圏の研究者であることであり、社会科学の論文に欠かせない非微妙な表現による論理展開での有利さがあるためで、つぎに、気づいたことは、査読付原著論文と言えども、文献の引用が不正確であったり、作為的であったりする場合があるため、論文の記載内容をそのまま鵜呑みにせず、自身で引用文献まで遡り、熟読・吟味しなければならないことで、そのようなことは、日本の査読付論文に著しく、たとえば、吉岡斉「戦後日本のプルトニウム政策史を考える」(『年報 科学・技術・社会』、Vol.2, pp.1-36(1993))において、文献引用の範囲からすれば、「これは原研にとって大きな痛手となり、原研は研究開発プロジェクトの企画運営能力を疑問視されるようになった。それに追い討ちをかけたのが人事管理問題の深刻化である。原研では59年6月以来ストライキが頻発し労使関係が極度に悪化したため、原研首脳陣の人事管理能力の欠如が政官界から厳しく問われたのである。この「原研問題」は64年春に収拾されたが、それ以後原研は政府系の原子力開発の中枢機関としての地位を剥奪された(文献19)」までであり、しかし、文献19(原産編『原子力は、いま(上)』のpp.111-124)には、原研のあり方・プロジェクト・人事問題の記載はあるものの、「原子力開発の中枢機関としての地位を剥奪された」かそれに匹敵する表現はなく、明らかに文献引用範囲を間違えており、正しくは、「・・・原研首脳陣の人事管理能力の欠如が政官界から厳しく問われたのである(文献19)。この「原研問題」は64年春に収拾されたが、それ以後原研は政府系の原子力開発の中枢機関としての地位を剥奪された。」とすべきであり、吉岡の描く、非常に重要な「この「原研問題」は64年春に収拾されたが、それ以後原研は政府系の原子力開発の中枢機関としての地位を剥奪された。」ことがあたかも真実かのように、客観的な文献があるかのように、意識的に引用範囲を拡張(査読者に能力がないため、見破れない)したとしか考えられません(文献引用の不適切な例や間違った例は、原著論文より桁外れに、エッセー(査読を経ていない単行本)に多くあり、村上陽一郎のエッセーは、その代表的な例です)。

2008-09-10 13:58:20 stanford2008の投稿

桜井淳所長の最近の講演内容-動燃の業務委託を重視する参謀本部方式の政治的意図-

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桜井淳所長は、原産編『原子力は、いま(上)』(原産、1986)の「第9章 動力炉自主開発のスタート」(pp.173-194)の記載内容に疑念を持っており、それは、産業界の立場から、きれいごとでつないでいるだけで、真実らしきことは、記されているかも知れませんが、肝心な真実は、隠されたままになっており、特に、国産動力炉開発のために設置された動燃事業団の設置経緯さえ明確にされておらず(よく話題にされる原子力委員会の機密文書の記載内容さえ真実ではなく、産業界の意見を正当化するための政治的に作り上げられた虚偽事項)、いわんや、業務委託を重視する参謀本部方式(合法的手段で国家予算を産業界に横流しするための方式)の採用についての目的は、形式的な説明だけで(「日本的な風土の中ではひとつの新組織が効率のある有機体として活動できるには数年は必要とされるだけに、先進国へのキャッチ・アップを急ぐ本計画の場合、開発公社案は間尺に合わないものとして排除され、人間を事業団に引き抜くよりも組織ぐるみ各機関の力を活用する業務委託を重視する参謀本部方式に決まった」pp.190-191)、本当の狙いなど何も記されておらず、産業界にとって不都合な真実は、歴史から意識的に消され、歴史家も原産編のそのような文献を鵜呑みにし、疑おうとせず、何が真実か分からないまま、偽装された原子力開発が継続され(国産動力炉開発失敗の原因は業務委託を重視する参謀本部方式)、歴史家もそれを黙認していますが、桜井所長は、それを歴史家の堕落と呼び、たとえ、分野は異なり、戦後の一般科学技術が調査対象と言えども、中山茂・吉岡斉・後藤邦夫編『通史 日本の科学技術 1945-1975』(学陽書房)も何を根拠に調査事項が真実と認定したのか(引用文献には常に正しいことが記されているのか、正しいか否か、何を根拠に判断したのか)、また、そのような調査結果の第三者による査読やそれに匹敵する評価を経ず、記載内容が真実かのように一人歩きしており、そのことに深く憂慮しているそうです。

2008-09-09 18:21:53 stanford2008の投稿

桜井淳所長が核燃料サイクル施設と高エネルギー加速器施設を見学する理由-MC法による遮蔽設計-

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桜井淳所長は、国内の核燃料サイクル施設や国内外の高エネルギー加速器施設を繰り返し見学していますが、それは、モンテカルロ法による臨界安全解析(核燃料サイクル施設)と遮蔽安全解析(核燃料サイクル施設と高エネルギー加速器施設)の妥当性を確認するためで、主査を務めている日本原子力学会「最適モンテカルロ計算法」研究専門委員会の活動の一環であり、特に、安全審査へのモンテカルロ法による遮蔽安全解析の導入は、兵庫県播磨に設置されたパルス運転のSpring-8(Super photon ring -8GeV)では、まだ、経験式や簡易計算式の適用レベル(ただし、安全審査書類には、記載されていませんが、経験式や簡易計算式での計算値の妥当性を検証するため、モンテカルロ計算コードMARS等の計算値は、参照解として採用していました)であり(日本原子力学会「モンテカルロ計算法高度化」研究専門委員会において、安全審査に携わった経験のある、原研(原研)の笹本宣雄主任研究員を招いて講演していただき、専門的な質疑応答を行いました)、最近のJ-PARCにおいて、初めて実現しましたが、まだ、それでも十分ではなく、トラック競技に例えれば、第一コーナーを通過したに過ぎず、これから、数年かけて、本格化しなければならず、桜井所長は、J-PARC建設初期から(原子炉の安全審査は、建設する前に安全審査をするが、加速器に対しては、建設後、使用前検査として、設計の妥当性の確認がなされ、実際には、建設初期から、繰り返し、設計の妥当性を確認するような専門委員会は、開催されています)、高エネルギー中性子遮蔽安全解析をサポートするため、これまで、学術セミナー「高速PCによる計算演習 MCNPXによる高エネルギー中性子遮蔽安全解析セミナー」(MCNPXは、米Los Alamos National Laboratoryが開発した150MeVまでの評価済み核データライブラリを利用した連続エネルギーモンテカルロ中性子輸送計算コード)を12回開催し(日本原子力学会HP参照)、その分野の高度化に貢献してきました。

2008-09-09 16:13:52 stanford2008の投稿

桜井淳所長は今年5月にCERNのLHCを見学-世界最高エネルギー15TeV衝突型加速器の世界-

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今年5月にCERNのLHCを見学した桜井淳所長に拠れば、世界の高エネルギー(素粒子)実験用加速器の開発の潮流は、ふたつあり、ひとつは、カレント(current, ビーム電流)は少なくとも、素粒子反応の新現象を狙った高エネルギー化、もうひとつは、エネルギー数十GeVそこそこでも、精密実験が可能な大カレント化(従来よりも一桁多い十数μA)であり、そのうち前者の象徴的な装置は、これまでの米Fermi National Accelerator Laboratoryのパルス運転の500GeV陽子-500GeV陽子の正面衝突型陽子シンクロトロンによる1TeV(テバトロン)の実現、さらに、9月10日から本格運転がスタートする欧州CERN(本欄バックナンバー参照)の地下150mに設置された円周27kmのLHC(Large Hadron Collider, パルス運転の7.5TeV-陽子7.5TeV陽子の正面衝突型陽子シンクロトロン, スイスとフランスの国境にまたがる、http://public.web.cern.ch/Public/Welcome.html )による15TeVの世界最高エネルギーの実現であり、後者の代表的な例は、試運転中のパルス運転のJ-PARC(本欄バックナンバー参照)であり、まさに、同時期、ふたつの特徴的な加速器が本格運転しようとしており、特に、LHCは、従来よりも一桁高いエネルギーであるため(エネルギーが一桁高くなると、新現象が発見され、過去に、少なくとも、ひとつ以上のノーベル賞が受賞されてきた)、素粒子の新現象が期待できるため、いま、世界で最も期待されている加速器ですが、はたしてその延長に、従来と同じパターンの加速器開発が保証されているかと言えば、そうではなく、費用効果論からして、いくらでも費用をかけて高エネルギー化が可能となる従来の研究者の考え方は、根源的に考え直さなければならない時期に差しかかっているそうです(桜井所長は、吉岡斉『科学革命の政治学-科学からみた現代史-』(中公新書、1987)の「第2章 加速器がひらく世界」(pp.52-82)を読み、良く文献調査しているものの、加速器を利用した実験をしていないため、細部が分からず、意識的にぼかしている箇所があり、現象が良く分かっていないと断定せざるをえない記載に遭遇し(どの加速器がカレント何μAの連続ビームで、どれが平均カレント何μAのパルスビームなのか、本質的な項目が記載されていない、さらに、「ただしSLACはシンクロトロン方式ではなく、線型加速器で加速した電子と陽電子を各々、ループ状の加速管に沿って走らせ、正面衝突させる独創的な線型コライダー方式を採用している」(p.71)とあるが、「電子と陽電子を各々、ループ状の加速管に沿って走らせ」の意味が読者に伝わらず、それは、吉岡自身がその独創的な加速原理をまったく理解できていないため)、複雑な心境のようです)。


2008-09-08 21:51:18 stanford2008の投稿

桜井淳所長は昨年原子力機構J-PARCそして今年ORNLのSNSを見学-世界最先端の研究施設-

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桜井淳所長は、日本原子力学会「モンテカルロ計算法高度化」研究専門委員会(設置期間2002.10.1-2006.9.30)の会合において、原研東海サイト(2005.10から原子力機構)に原研と高エネルギー物理学研究所の共同で建設中のJ-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex, 400MeV陽子線形加速器と3GeV陽子シンクロトロンと50GeV陽子シンクロトロンからなる加速器複合研究施設、パルス運転)の加速器施設と中性子科学研究施設のモンテカルロ遮蔽計算について、2回ほど、原研(当時)の中島宏研究グループ長から報告していただき、専門的な討論をしましたが、昨年1月、中島氏の案内で(原子力機構広報をとおして見学申し込み)、試運転中の400MeV陽子線形加速器、建設調整中の3GeV陽子シンクロトロン、3GeV陽子による水銀ターゲット(発熱量1MW)の核破砕反応(nuclear spallation)によって発生させた中性子を物質科学研究に利用する建設調整中の中性子科学研究施設を見学し(見学報告の詳細と感想については本欄バックナンバー参照)、さらに、今年の5月、米テネシー州ノックスビルにあるOrk Ridge National Laboratory(実際には郊外の山中にある研究施設)の広大な森の中に建設され、J-PARCに先駆け運転中のSNS(Spallation Neutron Source,http://neutrons.ornl.gov/aboutsns/aboutsns.shtml , http://neutrons.ornl.gov/aboutsns/how_sns_work.shtml , 1GeV陽子線形加速器、パルス運転、水銀ターゲットの発熱量1.3MW(まだ、0.3MWで調整運転中))を見学しましたが、両施設は、非常に良く似ており、両者のターゲット発熱量から判断すると、SNSの方が、いくぶん、高性能のように感じたそうです(この件については、専門のモンテカルロ法での遮蔽計算を中心に、国内外で講演していますので、改めて、継続的に報告予定)。


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