【第44回】 2008年09月11日
衆院解散の熱気も幻か?
「麻生総理」で固まった自民総裁選の茶番
選対から出てきた議員のひとりが酒の臭いをさせながら出てくるなり、こう話しかけてきた。記者のたまり場に遊びにきたスタッフもやることがないのだろう、みな笑顔で夜の街に繰り出していく。
もはや、総裁選は始まった日に終わってしまった。茶番は一日しかもたなかった。
では、福田首相のあの辞任劇はいったいなんだったのか?
焦点となる衆院解散も
新首相の思惑次第では…
一昨日、自民・公明の連立与党は、臨時国会における懸案事項であった新テロ特措法(給油法案)の継続で合意した。さらに、夜のテレビ番組(報道ステーション)では、麻生氏自ら、臨時国会での補正予算の成立を宣言してしまった。
もはや、きょうの出陣式を経て、どの記者も「麻生首相」の誕生を信じて疑わなくなった。
メディアの焦点は、衆院解散の時期に移っている。麻生選対の幹部議員が語る。
「マスコミは、解散の日程まで決めているけどナンセンスだ。解散権を持っているのは、首相だけだ。誰が〈11月9日〉なんて日付まで決めているんだ。だいたい次の選挙でいくら勝っても、国会のねじれ状況は変わらないだろう。新テロ特措法もやろうと思えば通るんだ。ならば、麻生さんは解散しないよ。だいたい言われたとおりに解散したら、解散権のない首相というレッテルを貼られるだけだ」
終日、取材をしていて、何もかも茶番に思えてきた。
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上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」「小泉の勝利 メディアの敗北」「田中真紀子の恩讐」など著書多数。
永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。