卓球の北京五輪代表・福原愛(早大2年)が10日、不審な男に追いかけ回されるハプニングに見舞われた。東京・代々木第二体育館で行われた関東学生秋季リーグ戦の日体大戦に出場した福原は、会場内で突然、不審な若い男から婚姻届へのサインを求められ、帰り際もしつこく追いかけられた。五輪後初の試合で、約1年半ぶりに出場した学生大会での思わぬ出来事に、いつもの笑顔はなかった。
あまりの恐ろしさに顔がこわばった。早大の2番手で登場した福原は「自分が勝って、チームに良い流れを作ろう」と奮起した。日体大の主将を寄せ付けず、12分で料理。その直後、ハプニングは起きた。
試合後、福原は会場内の1階にあるトイレへ。2階観客席から白地に黒のチェックの入ったシャツ、ジーンズ姿の20歳代とみられる男が、かばんを提げたまま福原の後を追った。男は女子トイレの前で福原に声をかけ、「ここにサイン下さい」と婚姻届を広げて見せた。あまりに唐突なプロポーズに、19歳の福原は大困惑。あわてて走って、試合会場へと戻った。福原は試合後、「婚姻届を初めて見ました。こんな形で見るなんて…。怖かった」と苦笑いを浮かべながら恐怖体験を打ち明けた。
悪夢はそれだけでは終わらない。取材を終えて帰ろうとした福原を、同じ男が会場内で密着マーク。それに気づいた福原は、リュックサックを背負ったまま、全力で会場内を駆けた。他の学生が会場の後かたづけをする中、男も猛ダッシュで階段を駆け上がり、先回りして2階の出口へ。福原は別の出口を探して必死の形相で1階のコートへと駆け下り、中国人コーチとともに裏口から会場を後にした。
正面玄関から外に出た男は、裏口に回った福原の姿を見つけると、生け垣を跳び越え、裏口に回ろうとした。それを目撃した早大卓球部の河原智監督が男を呼び止め、約10分間にわたって口頭で厳重注意。男は、同監督に「好きだ、と伝えたいだけ」と説明。同監督は「こんなことをされたら、愛ちゃんが試合に出られなくなる。何かあれば私が聞く」と話し、警察には行かず男を帰した。
福原が約1年半ぶりに参戦した学生大会。入場料は一般600円、学生400円で高校生以下は無料。関東学生連盟主催とあって予算の都合もあり、警備員はほとんどいない。代々木第二体育館には200人を超すファンが観戦したが、場内に観客と選手の仕切りはなく、接触可能な状況だ。福原は15日まで同会場でリーグ戦に出場予定。同監督は今後の対応策として、早大の男子部員に福原の警備に当たらせることを検討している。
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