浜松市の土地区画整理事業を巡り、どの段階で住民が事業取り消しを求めて提訴できるか争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は10日、42年ぶりに判例を変更、事業計画決定時点で提訴を認める判断を示した。そのうえで住民の訴えを却下した一、二審判決を破棄、審理を一審・静岡地裁に差し戻した。
自治体の土地区画整理事業では、都市計画で大まかな区域を決め、事業計画で細かい地区や設計を決定。仮換地指定で宅地の具体的な移転先などが定まる。1966年の最高裁判決は「事業計画は青写真にすぎず、特定個人への処分ではない」とし、住民は事業に不服があっても仮換地指定まで提訴できなかった。
大法廷は10日の判決理由で「事業計画が決定されると、換地処分まで当然行われる。事業計画決定で住民個人に直接的な影響が生じるといえる」と指摘。また、仮換地後に提訴しても「事業の混乱を理由に取り消しを認めない判決が出される可能性があり、救済が10分果たされない」と述べ、住民側主張を認めた。(01:43)